能登半島地震 車中泊の現実 宿泊施設への“2次避難”ためらいも…【バンキシャ!】
能登半島地震の発生から15日で2週間。被災者らが避難所から宿泊施設へ移動する、いわゆる“2次避難”を促す動きが加速している一方で、バンキシャ!が出会ったのは地震が発生した日から車の中で寝泊まりを続ける人。「車中泊」を続ける理由とは──。(真相報道バンキシャ!)
13日、雪が降りしきる石川県輪島市。バンキシャ!が出会ったのは、地震直後から車中泊を続けているという男性。車の中に積まれていたのは、マットや毛布など。後部座席を倒し、寝床にしていた。
──このマットがあるのとないのでは全然違いますか?
車中泊をする地区長
「全然。下からの冷気が。エンジンもずっとつけっぱなしだと、ガソリン代があれなんで」
ガソリン代を考え、エンジンをかけることはほとんどないという。そのため…
車中泊をする地区長
「寒くて起きることがたまにある。それにつられてお手洗いもね」
この地区の区長を務めているという男性。地区ではまだ駐車場に14人が車中泊をしているため、自分だけがこの場所を離れるわけにはいかないという。
車中泊をする地区長
「『オレも被害者だから、みんなバイバイ』とはいかんでしょ。『あとは一生懸命やってね』とは、なかなかならんのよ」
地震発生から15日で2週間。いまも厳しい避難生活が続く中、懸念されていることが…。
12日午前8時半、石川・穴水町の医療対策室の本部に集まっていたのは、医療支援のため全国から駆けつけた医師や看護師たち。
富山DMAT・伊藤医師
「きょうはですね、いま避難所班・施設班と分かれて活動していますが、避難所班をきょうは手厚くして…」
そこで話し合われていたのは…
東京JMAT・髙見医師
「震災関連死ではないですけど、“体のストレス”とか“メンタルのストレス”が出てくる時期ではあります」
避難生活で病気やケガが悪化するなどし、命が失われる「災害関連死」。これまでに災害関連死の疑いで亡くなった人は、13人にのぼっている(14日午後2時現在)。
いまある命を、どう守ればいいのか。バンキシャ!は12日、日本医師会の災害医療チーム「JMAT」の活動に同行した。向かったのは、およそ20人が生活する穴水町にある避難所。まず確認したのは、体調の変化や持病の薬について。
栃木JMAT・長島医師
「いまインフルエンザとかコロナがはやってて、具合が悪かったら遠慮なく声をあげてください」
「薬とかちゃんとあるんですよね? ちゃんと飲まれてます?」
避難者
「はい」
さらに…
栃木JMAT・長島医師
「トイレの掃除とか、みんなで交代で動ける人でやってるってことでいいですね?」
避難者
「はい」
栃木JMAT・長島医師
「ゴミを収集する人は来てくれてます?」
避難者
「来てます。来てます」
生活環境の悪化はストレスなどにもつながるため、ひとつひとつ聞き取りをしていた。
栃木JMAT・長島医師
「問題なさそうでした。こういう確認も大事です。何も(問題)ないという確認」
しかし、これから長引くことが考えられる避難生活。政府や県は災害関連死を防ぐためとして、避難している人たちをホテルや旅館などへ移送する「2次避難」を加速させようとしている。
13日、石川県の馳浩知事は「命を守るためにも、ぜひ2次避難所に移ってください」と述べています。ただ、住み慣れた穴水町を離れることについて避難している人は…
避難所にいる住民(71)
「私はやっぱり穴水町かな。なんでかって言われたらわからない」
「長いこといたら、思い出もあって」
避難所にいる住民(85)
「穴水町から離れるのはイヤ」
「こっちに猫がいる。エサやりにいかないと」
「だって猫は3匹ほどおる。連れていかれませんよね」
中には、「隣近所の人たちと2次避難できれば」という人もいたが…
避難所にいる住民(90)
「そういうワガママなことも言えない。できない」
それぞれの理由で聞かれた、「2次避難」をためらう声。一方、金沢市内にある2次避難所のホテル。ホテルビスタ金沢は、90人ほどが避難していて、宿泊や朝食は無料。いまは満室だという(現在、個人からの支援物資は受け付けていません)。
6歳と1歳の子どもを連れ、穴水町からこのホテルに2次避難してきた笛木さん夫婦。
夫の笛木勝さん(40)
「みんなでおせちを食べているときに、ドーンと(地震が)来た」
長男の鑑くん(6)
「ドーンって。ガチャガチャってなって。ガーンって」
自宅アパートは傾き、部屋の中は棚などが倒れ家財が散乱していた。地震当日の1日は避難所で過ごし、次の日の2日には金沢市内に避難したという。宿泊している部屋はツインルーム。バスルームの中には、支援物資が置かれていた。
妻の真優さん(38)
「子どもらはこういう感じ。床で遊んでる」
長男は4月から小学1年生。このまま金沢市内で入学させることも考えているという。
妻の真優さん(38)
「大好きですけどね、穴水町。できればずっといたかった。でもあそこまでの状態を見たら、踏ん切りがつくというか。こっちに来ないとダメだなって気持ちになるぐらい」
「生活するのは厳しい」
志賀町から2人で避難してきた夫婦。8日間、避難所で過ごし、このホテルにたどり着いたという。
妻(71)
「最高です。余震がない。感謝、感謝です。涙出てきた」
志賀町で生まれずっと過ごしてきたという。しかし…
夫(75)
「志賀町にはもう戻らんかもしれんね」
「もうあきらめ。すべてあきらめてここでリセットしてやり直し。仕方ない。誰が悪いというわけではないから」
(1月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)
13日、雪が降りしきる石川県輪島市。バンキシャ!が出会ったのは、地震直後から車中泊を続けているという男性。車の中に積まれていたのは、マットや毛布など。後部座席を倒し、寝床にしていた。
──このマットがあるのとないのでは全然違いますか?
車中泊をする地区長
「全然。下からの冷気が。エンジンもずっとつけっぱなしだと、ガソリン代があれなんで」
ガソリン代を考え、エンジンをかけることはほとんどないという。そのため…
車中泊をする地区長
「寒くて起きることがたまにある。それにつられてお手洗いもね」
この地区の区長を務めているという男性。地区ではまだ駐車場に14人が車中泊をしているため、自分だけがこの場所を離れるわけにはいかないという。
車中泊をする地区長
「『オレも被害者だから、みんなバイバイ』とはいかんでしょ。『あとは一生懸命やってね』とは、なかなかならんのよ」
地震発生から15日で2週間。いまも厳しい避難生活が続く中、懸念されていることが…。
12日午前8時半、石川・穴水町の医療対策室の本部に集まっていたのは、医療支援のため全国から駆けつけた医師や看護師たち。
富山DMAT・伊藤医師
「きょうはですね、いま避難所班・施設班と分かれて活動していますが、避難所班をきょうは手厚くして…」
そこで話し合われていたのは…
東京JMAT・髙見医師
「震災関連死ではないですけど、“体のストレス”とか“メンタルのストレス”が出てくる時期ではあります」
避難生活で病気やケガが悪化するなどし、命が失われる「災害関連死」。これまでに災害関連死の疑いで亡くなった人は、13人にのぼっている(14日午後2時現在)。
いまある命を、どう守ればいいのか。バンキシャ!は12日、日本医師会の災害医療チーム「JMAT」の活動に同行した。向かったのは、およそ20人が生活する穴水町にある避難所。まず確認したのは、体調の変化や持病の薬について。
栃木JMAT・長島医師
「いまインフルエンザとかコロナがはやってて、具合が悪かったら遠慮なく声をあげてください」
「薬とかちゃんとあるんですよね? ちゃんと飲まれてます?」
避難者
「はい」
さらに…
栃木JMAT・長島医師
「トイレの掃除とか、みんなで交代で動ける人でやってるってことでいいですね?」
避難者
「はい」
栃木JMAT・長島医師
「ゴミを収集する人は来てくれてます?」
避難者
「来てます。来てます」
生活環境の悪化はストレスなどにもつながるため、ひとつひとつ聞き取りをしていた。
栃木JMAT・長島医師
「問題なさそうでした。こういう確認も大事です。何も(問題)ないという確認」
しかし、これから長引くことが考えられる避難生活。政府や県は災害関連死を防ぐためとして、避難している人たちをホテルや旅館などへ移送する「2次避難」を加速させようとしている。
13日、石川県の馳浩知事は「命を守るためにも、ぜひ2次避難所に移ってください」と述べています。ただ、住み慣れた穴水町を離れることについて避難している人は…
避難所にいる住民(71)
「私はやっぱり穴水町かな。なんでかって言われたらわからない」
「長いこといたら、思い出もあって」
避難所にいる住民(85)
「穴水町から離れるのはイヤ」
「こっちに猫がいる。エサやりにいかないと」
「だって猫は3匹ほどおる。連れていかれませんよね」
中には、「隣近所の人たちと2次避難できれば」という人もいたが…
避難所にいる住民(90)
「そういうワガママなことも言えない。できない」
それぞれの理由で聞かれた、「2次避難」をためらう声。一方、金沢市内にある2次避難所のホテル。ホテルビスタ金沢は、90人ほどが避難していて、宿泊や朝食は無料。いまは満室だという(現在、個人からの支援物資は受け付けていません)。
6歳と1歳の子どもを連れ、穴水町からこのホテルに2次避難してきた笛木さん夫婦。
夫の笛木勝さん(40)
「みんなでおせちを食べているときに、ドーンと(地震が)来た」
長男の鑑くん(6)
「ドーンって。ガチャガチャってなって。ガーンって」
自宅アパートは傾き、部屋の中は棚などが倒れ家財が散乱していた。地震当日の1日は避難所で過ごし、次の日の2日には金沢市内に避難したという。宿泊している部屋はツインルーム。バスルームの中には、支援物資が置かれていた。
妻の真優さん(38)
「子どもらはこういう感じ。床で遊んでる」
長男は4月から小学1年生。このまま金沢市内で入学させることも考えているという。
妻の真優さん(38)
「大好きですけどね、穴水町。できればずっといたかった。でもあそこまでの状態を見たら、踏ん切りがつくというか。こっちに来ないとダメだなって気持ちになるぐらい」
「生活するのは厳しい」
志賀町から2人で避難してきた夫婦。8日間、避難所で過ごし、このホテルにたどり着いたという。
妻(71)
「最高です。余震がない。感謝、感謝です。涙出てきた」
志賀町で生まれずっと過ごしてきたという。しかし…
夫(75)
「志賀町にはもう戻らんかもしれんね」
「もうあきらめ。すべてあきらめてここでリセットしてやり直し。仕方ない。誰が悪いというわけではないから」
(1月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)