コメの品薄傾向は来月中旬まで続く見込み 生産現場 ふるさと納税返礼品にも影響
県産米の出荷が始まりましたが、依然としてコメ不足の状態は続いています。影響は店頭だけでなく、生産現場やふるさと納税の返礼品にも。品薄の傾向は、コメが出回る来月中旬まで続く見込みです。
この日取材班が訪ねたのは永平寺町内の食品スーパー。本来コメ袋が積んであるはずの売り場は空っぽに。8月上旬からすでに入荷が途絶えていました。
買い物客
「家族が7人なので10キロは欲しいが、5キロしかなくてきょうはそれもない 先が不安」
空いた棚にはあられやせんべいといったコメ菓子が。店側も困惑しています。
ハニー中吉 中村泰啓専務
「迷惑かけている 売り場を切らしてこのような状態 業者に問い合わせても新米が出るまでごめんなさいと」
大野市ではふるさと納税の返礼品として人気のコメ。一部で在庫がなくなり、今月と来月分が発送できない状態です。100人分も不足していて、市ではこの秋に収穫する新米に替えて10月から順次発送する予定だということです。
大野市産業政策課米村冬美さん
「ふるさと納税で届くと思っていたのに、遅れてしまったので、食べるコメが無くて困っていると お叱りの声も受けて非常に申し訳ない」
一方、新米の先行予約には寄付が殺到し、集まった額は去年のおよそ4倍の4000万円にのぼっています。
米村さん
「米不足のところで今のうちから新米の米を頼む人が増えている 新米の先行予約すら受付を止めるほど寄付が入るところがある」
さらに、生産現場でも争奪戦が起きていました。
田中農園 田中勇樹さん
「まったくコメがない 並んでいるコメもすべて利用客の予約分ということで、出せるコメは一粒もない」
米どころ坂井平野の生産農家では、毎年この時期には1トンほどの在庫がありますが、今シーズンは速いペースで無くなったといいます。
田中さん
「県内外ともに買い付けに来る業者が多い印象 例年と比べても買い付け価格も上がっている」
福井市内にある卸業者の倉庫には農家から買い取ったコメが積み上げられますが、例年と比べて在庫は3割に。影響は新米の仕入れ価格にも広がっています。
樋田 光生 社長
「仕入れ価格は去年の倍の40億円増える 売れるので今年はコメの発注をもらい、仕入れ資金は上がるがそれに応じた金額で販売が進んでいる状態」
去年の猛暑によるコメの不作やインバウンド需要の高まりで全国的に不足しているコメ。農林水産省によりますと、全国のコメの在庫量は156万トンで過去25年間で最も少なくなっています。
こうした中JA福井県は、早生のハナエチゼンの買い取り価格を1万6000円と前の年と比べて4800円引き上げました。この額は記録が残る2009年以降最も高く、冷夏による凶作で外国産米が輸入された1993年の「平成のコメ騒動」に迫る水準です。
きょう、売り場からコメが消えていた永平寺町内のスーパーでも、窮地を救う新米が並びました。
買い物客
「すごい 高くなっている」
待ちに待った新米が入荷しましたが、前のシーズンと比べ価格は3割から4割ほど高くなっていて、食欲の秋に家計への影響も懸念されます。
品薄の傾向は主力のコシヒカリが出回る来月中旬まで続く見込みです。