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0.7グラムのデブリから分かること 福島

2025年3月12日 18:46
0.7グラムのデブリから分かること 福島

14年前の3月12日、水素爆発を起こした福島第一原発。廃炉に向け去年初めて採取できた燃料デブリの分析が進められています。

14年前、巨大地震による津波で電源が喪失し、水素爆発した福島第一原発。1号機から3号機では、核燃料が構造物とともに溶け落ち、大量の放射性物質が県内を襲いました。溶け落ちた核燃料が冷えて固まったこの「燃料デブリ」…今も強い放射線を出していてその取り出しは廃炉作業の中でも最も困難とされています。こうした中、去年、2号機で事故後、初めて取り出しが行われ、およそ0.7グラムの燃料デブリを採取することに成功しました。私たちは今回、その燃料デブリが持ち込まれた研究施設へ。

■野尻英恵アナウンサー
「茨城県にあるJAEAの研究所に来ました。こちらでは去年11月に取り出された燃料デブリの分析が進められています」

日本原子力研究開発機構=JAEAの「大洗原子力工学研究所」です。燃料デブリは施設に搬入された後、厚い鉛で遮蔽された特殊な装置の中で分析が進められています。

■野尻英恵アナウンサー
「この装置の中にあるのがデブリの実物です。分析のために砕いた後なので肉眼で見るとかなり小さいですが電子顕微鏡を使って、詳細な分析をすることができます」

ロボットが掴んでいる透明な容器。中央にある小さな物体が福島第一原発で採取された「燃料デブリ」です。実物が報道陣に公開されるのはこれが初めて。ごくわずかな燃料デブリ…ただ、分析によって得られる情報は多いといいます。

■JAEA 荻野英樹 技術主幹
(野尻「どのように廃炉につなげていきたい?」)
「今回、小さなサンプルであっても分析という観点からいうと、「かなりの情報が得られる」。外観だけでもそうですし、どういうような密度、分布になっているかやウランがどれくらい含まれているか、今後、詳細分析を進める計画」

全体的に赤褐色で表面の一部に光沢なども確認できる燃料デブリ。これまでの分析で核燃料に由来する「ウラン」が含まれることもわかっています。また、今後は別の装置も使い詳しい分析が進められます。

■JAEA 大洗原子力工学研究所 燃料技術開発課関尾 佳弘さん
「この設備はグローブボックスといって核燃料物質を安全に手作業で扱える。今後は(燃料デブリを)溶かしてどういう組成か、ウランがどれくらい入っているか、ウラン以外の鉄など想定される元素がどれだけ入っているか、そういうようなところを把握していきたい」

半年から1年程度かけて分析をし、結果をまとめる予定ですが、そこから得られる情報が今後の廃炉にどのようにつながるのか、聞くと…

■JAEA 荻野英樹 技術主幹
「デブリを分析することで事故がどんな環境で起こったのかがわかる。燃料デブリが酸化物なのか、金属なのか、取り出し工法の検討では重要。各号機にあるデブリがどんなものなのか推定していくことに貢献していければと考えています」

事故から10年以上が経ち、ようやく始まった燃料デブリの分析。いまだゴールの見えない廃炉工程に道筋を立てるためにもその特徴や分布を明らかにしていくことが重要となりそうです。

最終更新日:2025年3月12日 18:46
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