「気づいたらパチンコ店に」ギャンブル依存症の当事者の告白 “見えない病”との闘い 福岡
ドジャース・大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏は解雇される前、チームメートに「ギャンブル依存症である」と告白したといいます。のめり込むと、ウソや借金から日常生活は不安定なものに。しかし、周囲は気づきにくい“見えない病”とも言われています。ギャンブルにのめり込む人、その周りの人。私たちはこの病と、どう向き合うべきなのでしょうか。
■ミズキさん(31)
「(パチンコで)勝つためには、これだけの金額をこれぐらいの時間毎日打たないといけない。でも、家族に対してだったり、借金のことを隠しながらこういう顔をしないといけない。考えることがすごく多かった。」
福岡市に住むミズキさん(31)は、3年前からギャンブル依存症の治療を続けています。
社会人2年目だった6年前、同僚の誘いでパチンコにハマり、次第と毎日、店に通うようになりました。
■ミズキさん
「負けても明日はどれくらいお金で、どのお店に行ったらどれくらい勝つはずだと。楽に稼げる方法がギャンブル以外になかったので、これしかないと。」
負けた金をパチンコで取り戻そうとする"負のループ"。借金は300万円あまりにまで膨れ上がりました。自動車ローンの返済なども滞り、ギャンブルを辞める決意をします。しかし。
■ミズキさん
「もう2度としないと思っても、気づいた瞬間にはパチンコ店に入っていて。」
パチンコや競馬などといった賭け事にのめり込み、借金や不安定な精神状態で日常生活に支障をきたすギャンブル依存症。厚生労働省によりますと、この病に苦しむ人は全国でおよそ320万人に上るとみられています。
ギャンブル依存症の治療を行う福岡市西区の倉光病院です。
■ギャンブル依存症患者
「絶対にしないという意志と、それにつながる行動をセットで持たないと回復に向かえないというのを、今までの再発から学びました。」
有効な治療薬はないとされるギャンブル依存症。この病院では治療の一環として、さまざまな依存症を抱える人たち同士が自らの経験や悩みを打ち明け合います。
ギャンブルにのめり込む「脳」のメカニズムが、アルコールや薬物などと同じためです。
“見えない病”との闘い
■倉光病院・倉光かすみ院長
「脳は大きな刺激を受けたときに平静を保とうというシステムがある。最初はよかったものがだんだんと物足りなくなって、どんどん増えていく。回数も増えていく。」
やめたいのにやめられない依存症という病。中でもギャンブル依存症は、アルコールや薬物よりも周りが気づにくく「見えない病」とも言われています。
■倉光院長
「ご本人も隠す、嘘をつくというのもあるし、周囲にお金のことがバレない。(オンラインなどで)部屋で一人でできますから、簡単に、すごくハードルが低くなっている。ということは依存症になりやすい。」
この日、ギャンブル依存症の治療を続けるミズキさんが訪れたのは、福岡市の福祉施設です。依存症の人たちが集う自助グループに参加しました。
■参加者
「もうやっぱり、分からなくなるんですよね。どれが本当の自分なのか。」
「もう少しという時に、自分は前回も違うアディクション(依存症) にスリップ(=再ギャンブル)しているので。」
このグループでは定期的に依存者同士で集まり、匿名で悩みや葛藤を共有しています。同じ経験を持つ人たちに悩みを打ち明けることで、ミズキさんも心が救われたと言います。
■ミズキさん
「つらかった経験を話せる場所がないので、自分で抱え込むしかない。それが爆発して、またギャンブルに手を出すことをやってしまったことがあるので。自助グループで話せる方が楽になる。」
仕事をやめ、回復施設に入所し、治療に専念することを決意したミズキさん。今では2年間、ギャンブルから離れた生活をしています。
■ミズキさん
「ごはんも食べられるし、ガス電気水道が止まることもないというのは人間らしいかな。心健やかで人間らしいかなと今では思えています。」
※2024年4月4日午前6時20分ごろ放送 バリはやッ!ZIP!より
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