2025年春に広島電鉄の新ルート開通! 廃線となる『猿猴橋ルート』の今後はどうなる?【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。今回プレゼンするのは、木村和美アナウンサー。「変わりゆく広島の街」と題して、広島電鉄の広島電鉄の新ルートと廃線ルートについてプレゼンします。
2025年の春 、広島電鉄が新しい広島駅の2階に乗り入れる際に開通するのが、駅前大橋ルートです。このルートの開通で、現在通行しているルートでの市内中心部までの時間が、4分短縮されます。そして、駅前大橋ルートの新設によって、猿猴橋ルートの廃止に伴い、猿猴橋電停も廃止になります。
猿猴橋ルートは、広島駅を出発した路面電車が、バスやタクシー、一般の車両など交通量の多い大州通りを横切り、荒神橋から的場町へ向かいます。そして、最初に停まる電停が猿猴橋町電停です。広島電鉄によると、広島駅から相生橋までの路線が開通した1912年からあり、戦時中の1942年5月に一旦廃止されたものの、戦後1949年3月に地元の声もあって復活しました。
猿猴橋町電停の幅は73.5mmほどで、電車と近い位置で乗降します。広島では、日常の中に路面電車があると感じますが、県外から広島を訪れた人々は、広島らしさを感じることができます。
猿猴橋町電停を通過する猿猴橋ルートを見ていきます。沿線には、飲食店や古くから営業しているカメラ店など、味のあるお店も並んでいます。
また、原爆投下で被爆した手押しポンプ、通称『被爆ポンプ』と呼ばれるものがあります。多くの負傷者が水を求めて集まったポンプです。ポンプには「被爆ポンプです」「残してください」と書かれたメッセージの他に、千羽鶴もつけられています。
2025年春に廃止となる猿猴橋ルートについて、川のすぐそばにある『焼肉・赤いラーメンさん幸喜』を訪ねました。この場所に50年以上店を構えていた知り合いから引き継ぎ、2024年5月にオープンしたお店です。店内には、外国人観光客や近くのホテルに宿泊する観光客、広島駅方面から訪れる利用客も多いそうです。
店長の大川亘さんは、猿猴橋ルートが廃止されることに関して「電車の中からお店を見て来店してくれる方もいるだろうから、多少廃止による影響はあると思う。広島の街並み、そして電車が通っていて、川がある風景が好きな ので、目の前のルートを電車が通らなくなるのは寂しい。」と話してくれました。猿猴橋ルートが廃止になってからも、地元の人々がどのように生活していくか、注目していきたいと思います。
猿猴橋町電停周辺を含めて、路面電車が通らなくなった後の活用方法につい て、現在地元関係者と広島市による話し合いが行われているところだそうです。廃線となる部分を活用し、歩道を広げて「にぎわい空間」を作るという案が出ているということです。現在、道路の中央に路面電車が走っており、その両側を車が通り、1番端に歩道があります。整備を進めた後、現段階のイメージでは、中央に車道、両側に「にぎわい空間」を4mで作り、歩道を現在よりも0.5m広く整備する案が出ているということです。「にぎわい空間」には、ベンチや植木など緑も置く予定だそうです。今後、引き続き地元主体の勉強会を進めて、駅前大橋ルートの整備が完了した後に、速やかに工事に着手できるように測量や設計などをしていくとのことでした。
猿猴橋ルートの廃止に伴い、駅前大橋ルートに合わせて新しくできるルートが循環ルートです。的場町、段原一丁目、皆実町6丁目、市役所前、紙屋町前、八丁堀を結ぶ循環ルートを新設します。広島電鉄によると「駅前大橋ルートに合わせて循環ルートを整備することで、市民や観光客の利便性を向上させるとともにさらなる都心の賑わいや回遊性の向上させたい」ということでした。
循環ルートも駅前大橋ルートと共に、新しい広島駅が完成して路面電車が駅の2階に乗り入れる2025年春に開通の予定です。