広島県初の快挙! 「職員の人間力が入居者の安心に繋がる」 全国の模範にふさわしい介護事業所をプレゼン ~前編~ 【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。馬場のぶえアナウンサーのテーマは「子育て」や「福祉」。今回は「最優秀賞を受賞した介護事業所」についてプレゼンします。
介護労働安定センターが選ぶ、働きやすい職場作りや地域貢献で全国の模範となる事業所として、2023年度は広島県の事業所が選ばれました。その事業所は、広島市西区に本社を置く不二ビルサービスのケア事業部「ふじの家川内」にある「ふじケア」です。広島県内の事業所が最優秀賞を取るのは、初めてだそうです。
「ふじケア」が最優秀賞に輝いたポイントは3つあります。1つ目は「ふじケア版キャリア段位制度の制定」、2つ目は「ICT(情報通信技術)を活用した働きやすい職場作り」、3つ目が「ユマニチュードのブロンズ認証取得」です。
1つ目の「ふじケア版キャリア段位制度」は、職員の能力を8段階に分けて、レベル0から7で認定するというものです。働きやすく、長く勤めることができる職場を目指す目的で、8年前に作られました。
介護のスキルを評価する制度は国にもありますが、「ふじケア版」の特徴は、人間力という項目が62もあることです。例えば「立ち止まって挨拶ができた」「清潔感のある頭髪・化粧」「自分の思いが先行したり、強い口調にならなかった」「電話で3コール以上待たせた場合、『お待たせしました』と添えられた」などがあります。
なぜ、人間力を重視するのか、ふじケアのケア事業部の冨田祐介部長は「介護には知識も必要だが、ベースは人間力。入居者に『この人といたら安心』と思ってもらえる職員を育てたいから」と話していました。
段位は年に1度、自己評価と上長の評価で認定されます。レベルが上がると、キャリア手当てとして昇給したり、また、スタッフの名札にレベルを表す星マークが明示され、さらなるモチベーションにつながります。スタッフからも好評の制度で、「自分の介護が合っていたか見直せて自信になった」「次のステップでは何をすべきか、勉強する機会になった」という声もありました。
2つ目の受賞理由「ICT(情報通信技術)を活用した働きやすい職場作り」についてです。デジタル技術を活用して、職員の負担軽減とサービスの質の確保を目指しています。
ふじケアを運営している介護付き有料老人ホーム「ふじの家・観音」と「ふじの家・川内」には、2023年に同意を得た入居者の部屋にカメラを設置しました。ベッドから立ち上がったり、ナースコールを押したりすると、カメラが起動し、スタッフが持っているスマホにその映像が映し出されます。同時にナースコールが鳴った場合、どちらが緊急性の高い呼び出しかどうかを確認することができます。また、映像の録画もできることから、部屋に1人でいる時に転んだとしても、どうやって転んだのかを確認でき、具体的な対策を立てられるメリットがあります。このシステムを導入したことで、夜勤スタッフが削減でき、日中ケアの充実に繋がりました。
介護スタッフは、食事やトイレの介助など直接的な仕事も多数ありますが、それ以外の大切な仕事として「生活を記録すること」があります。入居者の食事の量、レクリエーションでの様子、トイレの回数、夜中2時間おきのスタッフの見回りで睡眠が取れているかなど、1人ずつ確認して細かく記録します。今までは全て紙に手書きで記入していましたが、非常に時間がかかっていたことから、タブレットやパソコンを利用するようになり、記録時間が随分短縮されました。また、介護現場に外国人スタッフも増えており、漢字などを調べながら記録するなど大変だったそうですが、タブレットで音声入力ができるようになったことで、作業しやすくなったということです。
では、どうしてデジタル技術を活用するのかを、ケア事業部の冨田祐介部長に話を聞くと「スタッフが心身共に健康であることで、入居者に直接関わる力と時間を確保することは、入居者にとっても素晴らしい終の住処になると考えているから」ということです。そして、3つ目の受賞理由「ユマニチュードのブロンズ認証取得」の、ユマニチュードとは、フランス発祥の介護の技術です。とても奥が深い技術なので、次回、詳しくお伝えしたいと思います。