2月22日はネコの日 野良ネコを地域で管理する『地域猫活動』 猫も人も住みやすい街づくりを目指す【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。馬場のぶえアナウンサーのテーマは「子育て」や「福祉」。今回は、2月22日の『猫の日』にちなんで、「地域猫活動」についてプレゼンします。
地域猫活動とは、野良猫に不妊去勢手術を行い、餌やりの始末などのルールを決めて、地域で管理することです。これにより、野良猫によるトラブルや不幸な野良猫の数も減り、より住みやすい街づくりを目指していくものです。
この活動は広がっており、2023年の3月時点で、広島県の動物愛護センターが確認しているもので、広島県内では207件となっています。独自の愛護センターがある広島市・呉市・福山市は、この中には含まれていません。
今回は、廿日市市の地域猫活動を取材しました。廿日市市は、8年前から地域猫活動の支援を行っており、現在32の団体が登録しています。今回お会いしたのは、阿品・阿品台地区で地域猫活動を行っている代表の方々です。皆さんは、「過酷な環境にいる猫の命を救いたい」「誰かがやらなければならない」という思いで始めたそうです。
地域猫活動の柱になるのは、毎日の餌やりです。代表の皆さんと地域の協力者の皆さんと手分けをして行っています。大事なのは「毎日決まった場所に、決まった時間に行う」ということです。置き餌や餌の残りが、放置されたままということがなくなることで、猫がゴミをあさらなくなり、カラスやネズミなどの被害も減っていきます。また、猫はテリトリーを守る習性があり、他の地域からの猫の侵入を防ぐことにもつながるそうです。餌やりには、当然餌代がかかりますが、自費で行っています。また、地域の人が「足しにしてもらえたら」と、キャットフードを提供してくださることもあるそうです。
地域猫活動で大事になってくるのが、不妊去勢手術です。餌を与えるだけではなく、子供が新たに生まれないようにして、数を減らしていくのが大切なことです。猫の繁殖能力が旺盛なので、1匹の猫が1年半後には30匹ぐらいに増えることもあるそうです。不妊去勢手術をした猫は、片方の耳をV字にカットし、一目で分かるようにしています。手術をすることで、盛りの鳴き声がなくなり、尿の匂いも薄くなり、穏やかになって管理もしやすくなるという効果もあります。
不妊去勢手術には、やはり費用がかかります。2021年度調べによると、中央値は、オスが1万2500円、メスは2万2500円かかります。広島県では手術数に制限はあるものの、無料で手術を行っており、2023年度は500匹を手術しました。廿日市市は独自に、オス1万5000円、メス2万5000円を補助しています。
阿品・阿品台地区の皆さんは、地域猫の手術を少し離れた安佐南区のおおまち動物病院で行っています。この動物病院は「犬猫みなしご救援隊」という動物愛護団体のNPO法人の賛助医院です。動物病院と救援隊が協力して、手術を半分の費用で行うそうです。犬猫みなしご救援隊が、12年前に広島県内で初めて地域猫活動をした際に、効果があると病院も感じて、活動を始めました。手術だけではなく、3種混合ワクチンの接種なども行っています。地域猫活動は、地域住民・動物愛護団体・行政・動物病院など、さまざまな協力で成り立っています。
阿品・阿品台地区のみなさんに、地域猫活動を始めて出てきた効果を聞きました。野良猫の数が3つの地域を合わせて、139匹減ったそうです。また、最初は餌やりをしていると「可愛いから餌をやっている」と誤解されることもあったそうですが、地域猫を知ってもらうことで、管理をしていると理解し、野良猫を見る目が変わったという人もいるとのことです。さらに、地域猫活動をする人同士の交流も嬉しいということでした。
最後に、今回取材した阿品台3丁目で地域猫活動をする福重さんは、「地域猫活動は人間関係をよくするもの」と感じるそうです。野良猫のトラブルが起きやすいのは、地域づきあいの希薄なところが多く、猫の問題ではなく、地域の問題・人間関係の問題解決につながるのが地域猫活動と、話していました。野良猫は、元々は飼い猫、もしくは飼い猫が産んだ猫です。人間の都合で野良猫にされたため、猫に罪はありません。猫を捨てるのは犯罪です。人も猫も幸せな社会になるように、ルールやマナーを守りましょう。
【テレビ派 2024年2月21日放送】