１１月７日に行われた、大阪商業大学のドラフト２位、高太一（たか・たいち）投手の指名あいさつ。最速１５１キロ左腕の指名を強く推したのが、カープのスカウト鞘師智也（さやし・ともや）さんです。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「先日のドラフト会議におきまして、御校野球部所属、髙太一選手をドラフト２位で指名させていただきました。将来の主力投手として期待してます。」
カープのスカウトは９人。そのうち７人が担当エリアを受け持ち、それぞれの地区に住みながら１年中、選手の視察に駆け回ります。近畿担当のスカウトになって１３年。これまで、２０１８年ドラフト１位の小園海斗選手や、２０２１年のドラフト２位森翔平投手、今シーズン初の２ケタホームランでブレークした末包昇大選手らを獲得してきました。
７月、高校野球の地方大会が行われている大阪府内の球場に、鞘師さんの姿はありました。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「高校生って結構、短期間でうまくなったりするので、社会人とかと比べたら、（見る）頻度は多めにしてますけどね。」
球場や練習グランドに足を運び、選手の力量を見極めるスカウトの仕事。試合中は、スピードガンやストップウォッチを片手に、選手の情報を集めていきます。毎年春先には、およそ７００人がリストアップされるというカープのドラフト候補。５回のスカウト会議を経て、最終的に７０人程度まで絞り込んでいきます。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「もちろん足とか肩とか基本的なところは見ますけど、やっぱり内面ですよね。そこが入ってから左右するっていうことを、何年か前から感じているので。ただ、面白い選手は獲りたいですね。お客さんが、その選手見に行きたいって思えるような選手や、人気ある選手を獲りたいなと思いますけどね。」
２００２年、俊足巧打の外野手としてドラフト４位でカープに入団した鞘師さん。５年目でプロ初ヒットを放ちますが、１軍に定着できず、８年目の２０１０年に戦力外通告を受けました。失望の中で、球団から「スカウトをやらないか」と誘われたのは、現役引退を決めて間もなくのことでした。
ドラフト前夜、滞在しているホテルの部屋を訪ねました。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「僕も１３年目になりますけどドキドキしますね、多少は。評価は基本的に終わっているので、きょうの話はどっちかというと、何位ぐらいだったら獲れそうとか、こっちとこっちどっちか、こいつがいた場合、どうしようとか、そういう順位付けみたいな。」
シミュレーションを重ねるスカウト会議
カープは今年のドラフトで、青山学院大学の常廣羽也斗（つねひろ・はやと）投手の１位指名を事前に公表していました。この日のスカウト会議では、他球団の動向を探りながら、何パターンもの指名順をシミュレーションする時間に費やしました。
鞘師さんには、スカウトの仕事に懸ける人一倍強い思いがあります。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「プロ野球の世界に入れてもらったけどっていうところなんで、力になれなかった分、恩返しさせてもらえるチャンスを頂けたと思ってます。」
いよいよドラフト会議当日！
ドラフト会議当日。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「ニッカンは（常廣の）１本釣りになってますね。スポニチは阪神が（常廣の１位で）来てますけど。まあ、当たるか当たらないかあるので、わからないですけど。こっちだったらいいなと思いますね。ははは。」
Ｑ．気持ちは高ぶってきましたか？
■カープスカウト 鞘師智也さん
「高ぶるのか…だんだんでしょうけど、長い１日が始まるなっていう感じがします。行ってきます。」
迎えたドラフト会議。育成を含め、８人の選手を指名したカープ。鞘師さんが担当する近畿地区は、大学生と高校生の２人の投手を指名しました。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「いや、よかったですよ。予定通りいきましたね、ある程度。僕の担当としては、大学生の１番として高が優先順位できていたので。それが予定通り指名できたので。」
■大阪商業大学 ドラフト２位高太一投手
「いろいろな方から応援される、愛されるような選手になりたいです。」
■カープスカウト 鞘師智也さん
「一番評価しているのは、角度のあるストレート。変化球もひと通り投げれますし、何よりも将来性を買ってます。」
かつて自分も飛び込み、はね返されたプロの世界。そこに導いた鞘師さんは、同じ道を行く新たな若鯉の背中を優しく押します。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「じっくりじっくりじっくり。応援団だから。」
■大阪商業大学 ドラフト２位高太一
「ありがとうございます。」
■カープスカウト 鞘師智也さん
「自分を出すところは出して。みんな先輩も優しいし、わからんことあったら連絡して。」
■大阪商業大学 ドラフト２位高太一
「はい。」
球団と選手の架け橋になる
鞘師さんにとってスカウトの仕事とは。
■カープスカウト 鞘師智也さん
「球団と選手の架け橋になって、それをなんとか下で支えて、彼らが活躍する、サポートする役目じゃないかなと思いますけど。なんとか頑張ります。一人でも多く（活躍できるように）。」
【テレビ派 ２０２３年１１月９日放送】
