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新年度どうなる富山のコメ作り 現場の課題

2024年2月27日 19:32
新年度どうなる富山のコメ作り 現場の課題
エブリイでは、県の新年度予算案から県政の課題を考えるシリーズを27日からお伝えします。

1回目は、コメ作りについて。

2023年、猛暑の影響を受けたコシヒカリから富富富への転換、そして能登半島地震からの復旧を図る取り組みと現場での課題です。

「(富富富の)申請者数は、今年度より185増加の798経営体」

2月初め、県や県内のJAなどで作る協議会は、富富富の栽培面積を2028年度までに1万ヘクタールに増やす生産戦略を決定しました。

これは今年度のおよそ6倍。コシヒカリに並ぶ主力品種にしようという計画です。

その背景にあるのが猛暑の影響です。

コシヒカリは穂が出る時期に暑さの影響を受けやすく、記録的な猛暑だった2023年、県内の1等比率は48パーセントと大きく下がりました。

一方、富富富は93.1パーセント。暑さに強い品種であることが裏付けられました。

しかしコメ作りの現場では、富富富の増産に簡単には対応できない事情があります。

富山市のJAあおばです。

およそ1300の農家が作ったコメを、乾燥する施設がカントリーエレベータです。

しかしこちらの施設はこれまで富富富を受け入れていません。

コシヒカリと富富富は収穫時期、そして乾燥時期が重なるため、今の施設では品種が交じり合わないようにするのが大変なためです。

JAあおば 舟津克彦部長
「悩ましいです。簡単に施設を改善できたりとか、いっぺんに切り替えられるということであれば 単純にコシヒカリから来年から切り替えますと言えるんですけれども、なかなかそれが色んな障害があって 簡単にいかないというのは、今の悩みどころになっているということです」

そこで県は、予算案に富富富の生産振興対策として8200万円余りを盛り込みました。

コシヒカリと富富富をともに受け入れられるよう、カントリーエレベータの受け入れ口を2つにするなどの改修を支援する費用や、富富富の種もみを増産する費用など栽培拡大の前提となる対策です。

しかし現場では課題が残ると感じています。

舟津部長
「うちの場合、受け口を2つにしても総合的に改善しないと、なかなか富富富を受け入れるというある程度、良い環境にはないぐらいというのがうちのカントリーの現状です」

カントリーエレベータ改修の補助率は2分の1で残る半分は事業者の負担です。

舟津部長
「こういった施設的な部分というのは大変時間とお金もかかるというところもありまして、簡単に切り替えをすぐに進められるという状況ではないということは、ご理解いただきたいなというふうに思っております」

JAあおばは、今後の富富富の取り扱いについては検討中だとしています。

さらに新年度のコメ作りに大きな影響を及ぼしているのが能登半島地震による被害です。

岡田キャスター
「こちらでは道路が崩落し、土砂が田んぼに流れ込んでいます。今年の作付を諦めざるを得ないということです。堀田地区で一番被害が大きいのはここですね」

津沢清人自治会長
「いやぁ、ちょっとずつ、またずれていっとる」

扇組合長
「うん」

流れ込んだ土砂を取り除く復旧作業は、めどが立っていません。

堀田地区では、農道や用水路も大きな被害を受け、復旧作業が続けられています。

作業員
「支線で入ってくる所を僕ら今検査している最中で、その後水を通して、水漏れがないか確認をすると」

扇組合長
「その検査2月中に終わる感じ?」

作業員
「なかなか厳しいと思います」

扇組合長
「3月上旬に各農家に水、通水大丈夫ですという」

作業員
「多分僕らきょうやったところは、来週通水してみてOKなら、今言われたように2月中にいけるかも。すいません。だいぶ途中ずたずたになっているところも見えそうなので」

県は、農地農業用施設を含む公共インフラの復旧に、予算の専決処分や補正予算案を合わせて129億円余りを盛り込んでいます。

また、3月半ばまでには復旧の目途を示したいとしていて、修繕可能な範囲については4月下旬までに復旧を完了したいとしています。

扇組合長
「私ら営農組合としては 困ったな、作付けできんなって、うん。今の総合かんぱい(灌漑用水)の水の漏れないか、時期まで間に合うか、それが一番心配ですね」

地震の被害復旧が進まないと、富富富の栽培拡大という目標にも大きな影響を及ぼします。

米所富山を守るための対策は待ったなしです。

県は、今年の富富富の生産者数にも地震による影響が及ぶ可能性があるとしています。

シリーズ28日は、地震対策全般について考えます。
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