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【解説】“110万県民”は遠くなり…人口減少のメカニズムと対応策は 富山県

2024年5月1日 19:18
【解説】“110万県民”は遠くなり…人口減少のメカニズムと対応策は 富山県

上野キャスター
県政担当の神林記者です。私がこどもの頃、富山県の人口は110万人という印象が残っていて、100万人を切るというのは大きな衝撃です。

神林賢範記者
そうですね、最近のデータから想定はされていましたが、いよいよ現実となり、やはり重く受け止めないといけないですね。
女性が平均して持つ子どもの数が2人か3人、という時代が戦後しばらく続き、県の人口は第一次ベビーブームやその子ども世代の第二次ベビーブームなどにより増え続けました。
しかし未婚化や晩婚化などから少子化が進み、1998年の112万6千人余りをピークに県の人口は減少に転じ、人口減少時代へと突入していきました。
人口100万人未満の県は、全国では2023年10月時点で10県で、ここに富山県が加わりました。
富山県の次に人口が少ない香川県は92万6000人、全国で最も人口が少ないのは鳥取県で、およそ53万7000人などとなっています。

上野キャスター
富山駅で話を聞くと、昔は今より人が大勢いたよ、という方が多くいました。

神林記者
はい。こちらは県内の人口が増え続けていた昭和40年代の富山駅と高岡駅の映像です。高度経済成長期は最も街が賑やかだった頃ともいえます。

こちらは富山城址公園でKNBが開いたイベントの様子です。一晩で5万人もの人が集まりました。

上野キャスター
こうしてみると今とは全然違いますね。人口減少の最大の要因は、少子化、子どもが減っていることですよね。

神林記者
はい。県内の出生数は第二次ベビーブームの1972年、1万8975人をピークに減少し、2023年は過去最も少ない5859人でした。

上野キャスター
ピーク時の3割ほどしか子どもが生まれていないということなんですね。基本的なことを聞きますが人口が少ないのはよくないことなんでしょうか?

神林記者
人口減少は緩やかに進んでいくなら、それほど大きな問題ではありません。人口構成がいびつなところが課題だと言われています。
こちらは、県の人口がピークだった1998年の人口構成を表した人口ピラミッドです。上に行くほど年齢が高く棒グラフが長いほど数が多いことを示しています。
そしてこちらが2023年の人口ピラミッドです。そしてこの2つを重ねてみます。

上野キャスター
こうやってみると、違いが歴然ですね。ボリュームゾーンがだんだん、上の年齢に向かっているのがわかります。

神林記者
第2次ベビーブームに生まれた人たちが現在50歳前後の人たちです。

上野キャスター
そのあとの世代がだんだん先細っているのがわかりますね。

神林記者
年齢別に3つの区分でみると、15歳未満の人口は10万人あまりで、25年前のピーク時に比べおよそ6割強にまで減りました。
一方、65歳以上の高齢者は、およそ33万人と25年前に比べて1.5倍にまで増えました。
また生産活動を中心となって支える15〜64歳の人口は、55万あまりと25年前に比べ20万人近く減っています。

上野キャスター
社会を支える世代、そして15歳未満の将来支える世代が激減し、支えられる側の割合が大きくなっています。
県は新たな対策本部で人口減少対策を進める、ということですがこうした状況は変えていけるんでしょうか。

神林記者
人口の推計を行っている国の研究所の専門家は「状況を変えるのは極めて厳しい」と指摘しています。

国立社会保障・人口問題研究所 小池司朗 口構造研究部長
「今0歳の人たちと言うのが、20年後30年後には母親世代になるということになりますので、この細い世代が今後親世代に参入していくということを考えると、これがどんどん細る一方になっていくというのが そうなる可能性が極めて高いというのが、この人口ピラミッド見るだけで明らかかなと。やはりその、それに適応した地域社会を作っていくということと、合わせて減少を緩やかにしていく、それを同時に考えていく必要があるのかなと」

上野キャスター
少子化による人口減少は、今いる県民にどんな影響を与えるのでしょうか。

神林記者
社会を支える側の世代が減るわけですから、これまで通りの行政サービスや社会インフラでは立ち行かなくなり、見直しが迫られます。また、地域経済も規模が縮小し、労働力が足りない、地域コミュニティも維持できるのかなど、様々な課題に直面していくことになります。地域が縮小することで、魅力が減り、人口流出も加速するという負のスパイラルに陥らないよう、本腰を入れた人口減対策は待ったなしです。

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