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能登半島地震で被災 氷見の酒蔵 新酒に込めた思い

2024年3月22日 19:26
能登半島地震で被災 氷見の酒蔵 新酒に込めた思い
能登半島地震で被災した氷見市唯一の酒蔵が、地震の後に仕込んだ新酒をこのほど出荷しました。地震の被害を乗り越えた新酒に込める思いを岡川記者がお伝えします。

22日、富山市の酒店で販売されていたのは…

リカーポケットみずはた 水畑幸司社長
「こちらが震災後にしぼられた髙澤酒造さんの新酒です」

氷見市唯一の酒蔵・髙澤酒造場が、能登半島地震の後、初めて仕上げた日本酒「曙」です。

待望の新酒を求めて多くの客が訪れ、3月14日の入荷から、90本近く売れたということです。

リカーポケットみずはた 水畑幸司社長
「震災後のお酒ができあがって、すごくうれしかったですね。お客様にも喜んで飲んでいただいております」

元日の地震で震度5強を観測した氷見市。

液状化現象や家屋の倒壊など被害が特に大きかった北大町に、明治5年創業の髙澤酒造場はあります。

蔵元杜氏でもある髙澤龍一社長は、「まだまだ現実を受け止めきれない」と話します。

髙澤酒造場 髙澤龍一社長
「ここに年末にお酒を詰めて置いてあったのが、地震でこっちに倒れたって感じです。ケースごと倒れました」

出荷待ちの酒が倒れ、壁には穴が。割れてしまった瓶もありました。

大正時代につくられた蔵にもひびが入ったり、土壁が崩れたりする被害が。断水の影響で、仕込みも中断を余儀なくされました。しかし、髙澤さんは再びこの地で酒をつくると決意しました。

髙澤酒造場 髙澤龍一社長
「前向いてしっかり歩んでいくには、氷見市内の他の業者とも一緒に歩んでいきたいので、やっぱりうちができることはまず、しっかりとしたお酒をつくることかなと思いました」

酵母を培養した「酒母」は砂ぼこりが入ったため、1月下旬に一から作り直しました。麹は、2023年の大みそかに仕込み、元日の地震で被害を受けなかったものを使用。およそ1か月半後の3月14日、ついに出荷の日を迎えました。

髙澤さんが新酒のボトルに記したのは、「ありがとうございます」の文字です。

髙澤酒造場 髙澤龍一社長
「地震直後から県内の酒蔵さん・蔵元さんから『お水断水してるんだったら持ってくるよ』とか、たくさんの社員さんも来てくださってマンパワーをお借りして、割れた瓶(の掃除)とか製品の酒瓶の洗浄に取りかかりました」

地震の被害を乗り越えて酒づくりができたことへの感謝。一方で髙澤さんの頭をよぎるのは、未だ復旧のめどが立っていない能登の酒蔵のことです。

髙澤酒造場 髙澤龍一社長
「(能登の酒蔵とは)みんな仲よくて、良き先輩だし良き友だし良きライバルです」

髙澤さんは、石川県珠洲市周辺を発祥とする杜氏集団「能登杜氏」のひとり。再び、一緒に酒づくりができる日が来ることを願っています。

髙澤酒造場 髙澤龍一社長
「できる限り能登の杜氏組合の皆さまと能登の蔵元さんに寄り添って、私ができることをやっていきたいなと思います」

髙澤さんは、今後は大吟醸や純米酒などさまざまな種類の酒をつくりながら、能登の酒蔵への応援を続けていきたいと話していました。
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