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奥能登豪雨の被災地の現実 KNB記者が取材

2024年10月1日 21:38
奥能登豪雨の被災地の現実 KNB記者が取材

先月に能登半島で発生した豪雨は、元日の地震で被災した地域を襲い甚大な被害を及ぼしました。

災害発生後からKNBの取材クルーが現地に入り、家族を探し続ける人や広がり始めた支援の動きなど現地の今を取材しました。

記者「いま輪島市内にいますが、左手に見えるのが輪島市役所です。すぐ前には川が流れているんですが、橋の欄干部分には、かなり大量の流木が押し寄せているのがわかります。地震もひどいエリアだったんですが、大雨による爪痕も残ったままになっています」

9月21日に記録的な大雨に見舞われた石川県の能登地方。

KNBは、NNN取材団として先週火曜日から1週間現地を取材しました。

「日差しが照り付け、立っているだけで汗が出てくるような、そんな暑さの中で、懸命な捜索活動が続けられています」

河川が氾濫し、住宅4棟が押し流された輪島市の久手川町。

当時、この地域では、中学3年生の喜三翼音さんを含む2人の安否がわかっておらず、警察や消防、自衛隊による捜索が連日続いていました。

石川県内ではこれまでに13人の死亡が確認され、4人の行方や安否が今もわかっていません。

携帯音声「…電波の届かないところにあるためかかりません。こちらはNTTドコモです…」
記者「こんな状態が続いている?」
中山真さん「そうです」

能登町で私たちが出会ったのは、輪島市に住む中山真さん(28)。

大雨の後から安否がわかっていない姉の美紀さん(31)を捜し続けているといいます。

真さん「現場はここ、ここで(姉の車が)脱輪した」

職場から仮設住宅に戻るために道路を車で走っていた美紀さん。

そばを流れる川は、道路を崩落させるほどの勢いで、そんな川を避けて走行していると車が脱輪。

車を降りて歩いていたところ、濁流にのみこまれたとみられています。

「太陽みたいに明るい姉です」「あきらめたくなる気持ちも正直あります。でも、でもですよ。可能性はあると信じて探し続けたい」

「うわあ、車流されとる」

大雨災害が残した爪痕は市民の生活インフラにも。

記者「こちらのスーパーには川の水が押し寄せました。店に並んでいた商品などは、店の奥のほうに流され、大量の泥がたまっています」

元日の地震の後も営業を続けてきた輪島市町野町で唯一のスーパーマーケットです。

従業員 朝川英則さん「この自動ドアですね」
「これが自動ドアだった?」
「そうですね。ここに自動ドアがあったところに徐々に水がたまっていく様子が確認できた」
「大木が流れてきて、突き破るほどの衝撃だったので、相当の勢いですごい水圧で流れてきた」

元日の地震に続き、今度は、水害を被りました。

従業員 朝川英則さん「このくらいの高さまで上がったので、地面からは2メートルくらい上がったと考えられますね」
「復旧から少しずつ復興に向かってきた、向かうぞっていう機運はやっぱりあったんですけど…」

こうした中、支援の輪が少しずつ広がっています。

店には県の内外からボランティアが集まり、泥のかき出し作業などにあたっていました。

能登町から「同じ奥能登でもまだ大丈夫な地域に住んでいたので少しでも力になればなと思って」

中には、富山県内から軽トラックや支援物資を届ける人たちも。

とやま311ネット酒井隆幸代表「(大雨の前から)炊き出し屋台をしようとしていたので」
「豪雨災害があったということでみんなに呼びかけたら大量の物資が集まったので、人間も集めて(支援に来た)」

酒井さんと本谷一知社長「またやりましょうよ。復興イベントじゃないけど、ここに屋台持って来ますから」「本当ですか」「うちの道具持ってくるから」「またよろしくお願いいたします。また活気が戻ればね」「活気戻しましょ」「がんばろう!」「ありがとうございます!」

大きな災害が続き、日常を奪われた人たち。支援の手は広がっていますが、生活の再建にはまだ多くの時間が必要です。

【スタジオ】
スタジオには、現地で取材をした吉田記者です。まずは現地を実際に取材をして何を感じましたか。

はい。復興への道のりが見通せない被災地の惨状を目の当たりにして言葉を失いました。元日の地震でひび割れた道路や倒壊した家屋に、今回の大雨で大量の土砂が流れ込み地震被害と大雨被害の境界線がわからなくなっていました。

地震と水害の複合災害で、復興にはかなり時間がかかりそうですね。

そうですね。輪島市や珠洲市で取材をしてみると大量の流木の撤去のために解体業者が入っていたのですが、その影響で、地震で被災した住宅の公費解体に遅れが出るなどしわ寄せが広がっていました。また住まいを失い、地震後に移り住んだ仮設住宅でも大雨による床上浸水被害があり、生活再建などの課題が浮き彫りになっていました。災害は本当にいつ起こるかわかりません。地震や大雨、大雪などそれぞれのケースごとに何を持って、どこに逃げるのか、家族で話し合うなどして決めておくことが大切だと感じました。

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