新田県政3年 「女性の活躍」は…富山県
エブリィは、シリーズで新田県政3年の現在地について考えています。
18日は「女性活躍」です。若い女性の県外への流出が続く状況を変えることはできるのでしょうか。
新田知事
「若い女性出ていくことがデータにあるので。分母が減っている。女性が県外へ出ていっていることが大きい。分母を増やす、富山への転入を増やすことに力を入れたい」
少子化や人口減少の主な要因として、県は「若い女性の県外への転出」をあげています。
2010年から10年間の女性の県外転出は、男性のおよそ4倍。県はこうした背景を踏まえ、女性の働く環境の改善など「女性活躍」に力を入れています。
新田知事
「どうか厳しい状況にある富山県、ということをぜひ富山県の産業界の業界のリーダーの方に共有していただきたいというのが今日の目的」
企業のトップ向けのセミナーを開催するなど、「働きやすい環境の整備」を呼びかけています。また、女性活躍を推進する企業を認定する制度も創設。取り組みを紹介して参考にしてもらうことで、ほかの企業にも浸透させたい狙いです。
認定企業の1つ。富山市で金属部品の製造を手掛けるシンコーです。
溶接作業をロボットで行っているのは女性です。この会社では、男性が中心だったものづくりの現場に、ロボットやAIを導入することで女性も携われるようにしてきました。
シンコー 溶接リーダー 東明美さん
「元々、体を動かすことが好きだったので、現場でものづくりっていうのに携わりたいなと思っていました」
こちらはボクササイズ。就業時間内に定期的に体を動かす時間を設けて社員の健康づくりにも力を入れています。1割ほどだった女性従業員の比率は、3割にまで上がったといいます。
中川社長は、誰もが活躍できる会社づくりに取り組んできたと話します。
シンコー 中川真太郎社長
「仕事とプライベートを、いかに充実させていくかっていうところが大切なところで、企業もスタッフと共に持続的な成長ができるような、そんなイメージにしていきたいって思っています」
一方、県内では様々な人が企業で活躍できる環境づくりに向けては、まだまだ課題があります。
「よろしくお願いします」
保護者が仕事を休めない場合などに、病気の子どもを預けられる富山市の病児病後児保育施設「ラグーン」です。
保護者
「年に何回も使わせてもらっています。大事ですね。 親もまだ働き世代で簡単に頼れなかったりするので。自分たちの力で、働きながら 子育ても両立しながらやるのは、ありがたい存在になっています」
「共働きしてて、休んでいけないとなると、ちょっとやっぱ どちらか休まないといけなくなると、 職場に迷惑かけるので。予約が埋まって使えないときは、どっちか休んで対応していますね。もっと広まってほしいですね」
病気の子どもを預かる病児・病後児保育は、共働き家庭などには欠かせない存在です。
病児病後児保育室ラグーン 森忍病児保育専門士
「(利用者は)かなり増えています。今、月100人は優に超えますね」
利用料は1回2000円。施設には国や県、市から補助金はでていますが、利用者の人数は感染症の流行などにも大きく左右されるため、経営は難しいといいます。
「10人受け入れよう 、8人受け入れようとして整えているのに、 ふたを開ければ1人、2人の日もある。子どもさん、来なければ 、補助金の人数まで届かなければ補助金は減らされるし、増えればもちろん増えますけど、そういう綱渡りな そういう事業なので」
また、補助金が出るのは、富山市の施設では富山医療圏の市町村の利用者に限られるなどの課題があり、県は解消に向けて「ワンチーム会議」で検討中です。
病児病後児保育室ラグーン 森忍病児保育専門士
「もちろん、氷見とかそういうところはだめで 、向こうもあまり病児保育室がないので困っている人がいらっしゃいます。そういう方たちも、皆さんどこの施設でも入れてあげられるように、行政がちゃんとしてくれればいいなとつくづく思っています」
女性活躍に詳しい相模女子大学大学院の白河桃子教授は「富山は共働き県なのに、育児の外部化がうまく機能していない」と話します。
相模女子大学大学院 白河桃子特任教授
「育児の責任はすべて女性でしょ、といったような、古いやり方のまま女性に活躍を強いているのではと思います。育児のシェアや外部化は、本当に進んでないと思います」
そして、男女間の賃金格差の解消や、男性の意識改革に取り組むべきだと指摘します。
相模女子大学大学院 白河桃子特任教授
「女性をなになにしたいであろうと決めつけない。やりたいことの後押ししてあげる。それくらいのことができて初めて女性に選ばれる街になるのではないかと思います」
県内では、学童保育の受け入れ先がなくて困っているという声もあります。育児や介護など個人の事情にも対応して誰でも安心して働ける環境づくりを進めていってほしいと思います。