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立山町で助産院開業「産んで幸せと感じて」

2024年6月12日 20:21
立山町で助産院開業「産んで幸せと感じて」

少子化が進む中、県内では妊産婦の多様なニーズにこたえる助産院の存在が見直されています。

2024年春、お産のできる施設のない地域に開業した助産院。

願うのは、ひとりひとりが幸せを感じられる出産です。

立山町に2024年4月に開業したきなり助産院。助産師の桃井さやかさんがひとりで運営しています。

助産院は健康診断やお産のサポート、産後のケアなどをする施設で、医師は常駐していません。

比較的小規模な施設が多く、利用する人はニーズやライフスタイルに合わせて必要なケアを選ぶことができます。

桃井さやかさん
「何で助産院なの?お産増えているの?って言われて。勿論増えている わけがなくて減っているんですけど、誰もやらなかったら減っていく一方なので」

桃井さんは14年間、富山市内の病院に勤務して多くの出産に携わってきました。

幸せなはずの出産。しかし退院する母親の表情に不安を感じる場面があったといいます。

桃井さやかさん
「辛い思いを抱えているんだなという方がぽつぽつおられたので。(全国で)産後のお母さんの死亡原因が産後のひだちが悪くてというのではなくて、自殺がいちばん多いので、それを食い止めるのはやっぱり助産師じゃないかなと 思って」

出産した女性の10人に1人は「産後うつ」を経験すると言われています。

専門知識のある自分ですら出産後、悩んだという桃井さん。不安を抱える母親が気軽に頼れる場所を作りたい。助産院は自宅のある富山市ではなく分娩施設のない立山町に設けました。

来院した人
「肯定してくれるし全部。認められている感がすごい嬉しいです」

県内には個人で開設する助産院が49か所ありますが、このうちお産を扱っているのはわずか2か所です。

背景のひとつには、助産院と連携する産科医の確保が難しくなっている現状があります。

県助産師会の理事をつとめる野澤昌子さんは、入院出産ができる助産院を入善町で開業し、200人の分娩介助をしてきましたが受け入れを止め、現在は富山市で出産前後の親子のケアを行っています。

助産院が分娩介助をするには産科医との連携が必要ですが、近年は、病院の集約化によって難しい状況だといいます。

野澤昌子院長
「少子化もあるのでお産を集約化させて、その中でリスクのある 人もみてあげようとなると集約化する必要も医療者側としては感じられるんですけれども、産んで終わりじゃないので、生まれる前から、生まれた後赤ちゃんが大きくなってのびのび育てるような地域力が求められていくかなと思っています」

立山町で開業した桃井さん。現在、分娩は取り扱っていませんが、数年以内には取り扱う予定です。

出産をめぐる環境が厳しい今だからこそ、ひとりでも多くの人が生まれてくる命と自分自身を大切に思える場所にしたいと考えています。

桃井さやかさん
「産前産後幸せだと思えるようなサポートができたら、また産みたいなと思ってもらえると思うのでそのお手伝いが少しでもできたらいいなと思います」

子育てに悩む母親は多いですよね。

昔は近所の人たちのサポートで、自然と地域で子育て支援ができていたと野澤さんは話していました。

助産院は子育てを支援する地域コミュニティの拠点としても期待されていてこうした場が増えていけばと感じました。

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