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【解説】“能登の木材” 地震・豪雨で例年の半分に 能登半島の林業の現状 復活のカギは…

2025年2月28日 19:08
【解説】“能登の木材” 地震・豪雨で例年の半分に 能登半島の林業の現状 復活のカギは…

能登の木材の取り扱い量がいま、減少しています。その背景にあるのは去年の地震と豪雨です。能登の林業の現状を取材しました。

27日、穴水町で行われた能登の木材の競り。今回は能登ヒバやスギなど約2750本の木材が競りにかけられました。

ただ能登半島地震以降、競りにかけられる木材の量は減っているといいます。

競り人:
「ちょっと少ないですね。これから出ると思いますよ」
「きょうは少ない。今までは結構出てたんだけどね」
「こんな少ないのはここ最近やろ。雪あってももっと出てたけどね前は」

越崎 成人 キャスター:
ここからは、能登の林業の現状について担当の川島記者とお伝えします。

川島 行人 記者:
よろしくお願いします。

越崎:
川島さん、能登の木材といえば、能登ヒバが有名ですが、いま、生産量が減っているんですね。

川島:
そうなんです。こちらは能登木材総合センターの年間の取扱量です。能登の木材のほとんどを扱っているんですが、去年1年間の数字は例年の半分ほどとなっています。

越崎:
理由は何なんでしょうか?

川島:
その最も大きな理由としてあげられるのが、林道の変化です。能登の林業にいま、何が起きているのか生産の現場を取材しました。

2月。能登の木材の生産、流通に携わる組合の担当者に輪島市内の山間部を案内してもらうと…

能登森林組合・山田 峻伊智 さん:
「地震の影響で山が崩れて、道を完全にふさいじゃっているような状況です」

のり面の崩壊と倒木で完全にふさがれた林道が…

能登森林組合・山田 峻伊智 さん:
「この先、道の先で仕事があるんですけど、現場に行くことができない状況です」

去年元日の地震以降、木を伐採する場所までたどりつけない状況だといいます。

能登森林組合・山田 峻伊智 さん:
「この道を使ってトラックとかで搬出して… とかを計画していたんですけど、現状ですとなかなか。こういった道が開くまでどれくらい掛かるんだろうなっていう、不安ですね」

こうした中、別の職員が行っていたのは…

能登森林組合・竹田 正平 さん:
「啓開(作業)も今だいたい終わってきたもんで、今復旧事業をやってます」

国道249号の復旧に向けて工事車両が使う仮設道路を作る作業です。組合ではこの1年、従業員の約半数が木材の生産ではなく、道路の復旧作業に掛かりきりだといいます。

能登森林組合・竹田 正平 さん:
「山の木は生きてるもんで、間伐とか手入れができない分、手遅れの山になるもんで、それがちょっと残念かなと。この復旧復興が終われば(本来の)仕事やってきたいと思います」

越崎:
相次ぐ災害で未だに本来の仕事ができていないんですね。

川島:
そうですね。石川県によりますと、こうした林道の被害は県内全体で2200箇所あまり確認されています。そして能登森林組合では、もうひとつ大きな課題を抱えています。

川島:
こちらのグラフのように、地震や豪雨の影響でこの1年で約2割が離職し担い手の確保も課題となっているんです。一方で、全体の6割を占めるスギの価格が能登ヒバに比べてまだまだ低いということや、林業従事者の収入をどう上げていくかという課題もあります。

越崎:
能登の木材というと、輪島塗のうつわに使われたりと能登の文化に根差したものでもありますし、早く本来の姿に戻ってほしいですね。

川島:
まずは林道を復旧させることが復活へのカギとなりそうです。

越崎:
ここまで、川島記者とお伝えしました。

最終更新日:2025年2月28日 19:08
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