「震災遺構」として後世へ 能登半島地震の被災建屋など保存への動き
海沿いにある能登町の白丸郵便局。
能登半島地震で津波の被害を受けいまも業務を休止しています。
白丸郵便局・大形 格 局長:
「正面から(津波が)来たと思われるんでこういう感じ、出窓がもう完全に根本から折れている」
特別に中を見せてもらうと…
白丸郵便局・大形 格 局長:
「見ていただければ、ここ一面、痕がついていると思うんですけど、たぶんガラスがあって流れ切らなかった水がここまであがったと思われます」
4メートル近い高さまで水が流れ込んだことがわかります。
この郵便局は公費解体をする予定でしたが、町からの提案で震災遺構として保存されることになったといいます。
白丸郵便局・大形 格 局長:
「東北の津波とかの映像は見てたんですけど、実際、私らのところにこれだけの高さの津波がくると想定していなかったので。ということは海岸線どこでも津波が来てもおかしくないと思うので、少しでも参考に残していければそれはそれでいいかなと」
町では2025年度以降に内部を修繕し、津波の高さを示す看板の設置も検討しています。
一方、こちらは地震で隆起した輪島市内の海岸。
川島 行人 記者:
「こちらでは私の胸元くらいの高さまで地盤が隆起しています。また奥を見てもかなり広い範囲で隆起が確認できます」
こうした海岸も市が震災遺構として保存・活用しようと検討を始めていて、自転車で巡るサイクルルートにできないかといった案も浮上しています。また、輪島朝市通り周辺で焼け落ちずに奇跡的に残った樹木のタイサンボクも候補の1つになっているということです。
東日本大震災の際も、各地で保存された多くの建物。
その一方で、現地では「遺族への配慮から取り壊すべき」という意見もあがっていたといいます。
震災から10カ月たったいま、能登に暮らす住民の意見は…
輪島市民:
「観光の分野では、いままでにない景色が浮上した。この地区でなければ見られないというような。逆にいえば財産かなと思います」
「後世にそんなことがあったと残しておいたほうがいいと思うんで、私はいいと思いますけど、見て嫌になる人もいるかもしれないですね」
輪島市では今後、市民の意見を聞きながら保存するかを検討していくとしています。