開設から1か月の福祉避難所 新しいすみかへ送り出す「通過点」として歩みを止めず…
高齢者らを受け入れる輪島市の福祉避難所。
開設から1か月がたち、連日、炊き出しが行われるなど、生活環境は徐々に改善されていますが、運営側はある悩みを抱えていました。
輪島市釜屋谷町の福祉施設「ウミュードゥソラ」。
先月9日から「福祉避難所」として通常の避難所での生活が難しい高齢者らを受け入れています。
「お茶飲む?ペットボトル開けられる?」
この避難所で運営にあたる看護師の中村悦子さん。
大みそかから施設に泊まり込んで勤務していた際に被災しました。
「自慢じゃないけど今年入って2日しか休んどらんもんで」
もともとこの施設に入所していた利用者は職員とともに県外へ避難。
中村さんは一人残ってボランティアの看護師らと避難所の運営にあたっています。
上大沢町にある自宅には道路が寸断されているため一度も帰っていません。
中村悦子さん:
「毎日知らない間に朝が来て知らない間に夜になって…」
福祉避難所となってから1か月。
断水は続いていますが、知人の協力を得て食料のほかに衛生用品などの物資も増えてきました。
さらに、避難者の心を温めているものが…
ボランティアによる炊き出しです。
今月に入り、連日のようにボランティア団体が炊き出しに来ているといいます。
この日は、三重県から来たボランティア団体が炊き込みご飯や白菜の煮物などを提供しました。
温かいご飯を大きな口で頬張ります。
こうした支援もあり、生活環境は徐々に改善しています。
避難者:
「だいぶ慣れましたね。自分のすみかに近いようなね」
ただ、中村さんは今、葛藤を抱えていました。
中村悦子さん:
「だんだん居心地が良くなるんですけど、ずっとじゃないんだよということも少しずつ示唆しながら。とてもつらいことなんですけど…」
市外の福祉施設への2次避難を進めていますが、出る人がいればすぐに新たな避難者の要請が…
1か月前に40人だった避難者は今も30人から35人ほどと、ほとんど減っていません。
地元を離れられないという高齢者も多く、福祉避難所のニーズは高いままです。
避難者:
「ここにずっといるわけにはいかないんじゃないかと思っています」「どこ行けばいいか迷ってる」
福祉避難所は、避難してきた人の健康を守り、新しいすみかへ送り出す「通過点」だと中村さんは言います。
中村悦子さん:
「ここから送り出すのが私たちの仕事だと思っているので、ここの人がゼロになるまでは頑張らないといけないなと思います」「止まられんですよ。止まったら動けなくなると思うし止まりません」
福祉避難所に身を寄せる人がいなくなるその日まで、中村さんはの歩みは止まりません。