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なぜ?原告団は落胆「原告44人中 “15人に被爆者健康手帳” 交付命じる」被爆体験者訴訟《長崎》

2024年9月9日 19:45
なぜ?原告団は落胆「原告44人中 “15人に被爆者健康手帳” 交付命じる」被爆体験者訴訟《長崎》

国が定める被爆地域の外で原爆にあった「被爆体験者」らが被爆者認定を求めた裁判の判決が言い渡されました。

長崎地裁は長崎市と県に対し、原告44人のうち15人への被爆者健康手帳の交付を命じました。

被爆地域の外で原爆にあった被爆体験者らが被爆者認定を求めた今回の裁判。

長崎地裁前には多くの報道陣が集まる中、高齢化した原告たちも詰め掛けました。

(原告団長 岩永 千代子さん)
「これまでの証言以外に覆すものは出てこない。勝利に導くと確信している」

(原告 山内 武さん)
「被爆体験者は被爆者だと、ずっと願いながら良識ある判断を(願う)」

裁判では、被爆体験者らが雨や灰を含む放射性降下物を体内に取り込み、健康被害が出ていると訴えました。

9日の判決で長崎地裁は、被爆体験者の地域のうち、旧矢上、旧古賀、旧戸石の3つの村について「黒い雨が降った事実が認められる」と判断。

その3つの村で原爆にあった原告15人について「長崎原爆由来の放射性降下物が降った相当程度の蓋然性」があると認め、被爆者として認定しました。

原告側は 雨に限らず灰などが降ったとし、原爆投下の約40日後にアメリカの調査団が各地の残留放射線量を調べた報告書を提出していましたが、判決では「精度が劣る」などとして3つの村以外の地域で原爆にあった人については被爆者と認めませんでした。

(原告団長 岩永 千代子さん)
「正直に言って落胆ですね。合理的な根拠が全くわからない」

(原告 濵田 武男さん)
「情けない。なぜ裁判所はそんな判決をしたのか。納得がいかない」

最初の提訴から17年。

裁判の先頭に立ってきた原告団長の岩永 千代子さん88歳は、記者会見で悔しさをあらわにしました。

(原告団長 岩永 千代子さん)
「分断されたのは意味不明。こういう事実にもとづいての判決ではない。お粗末、疑わしい思いがある」

広島で原爆投下後に降った黒い雨を巡る裁判では、「原爆の放射能による健康被害を否定できない」として、原告全員を被爆者として認める 広島高裁の判決が確定しています。

原告側は、同じように認めてほしいと訴えてきましたが…。

(原告 山内 武さん)
「また広島と差別され、44人の中も分断した。本当に残念でならない」

長崎市の鈴木市長と大石知事は、「判決の内容を精査して、国とも十分協議し対応を検討したい」としています。

原告側は勝訴した原告については、長崎市と県に対し控訴しないよう働きかけるとともに、敗訴した原告については控訴して闘う方針です。

(原告団長 岩永 千代子さん)
「最後まで戦う」

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