【読み解く】4月から始まった「後期高齢者の保険料増加」 負担額増加の背景や具体的な増加額は?
気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナーです。今回テーマは「後期高齢者の保険料増加」。去年成立した改正健康保険法などに基づいて、今年4月から75歳以上の人が支払う公的医療保険料が上がります。
■なぜ後期高齢者の保険料が増加するのか?
理由は2つありまして、まず1つ目は少子高齢化で医療費が膨らんでいるため。
75歳以上である約2000万人が該当する後期高齢者医療制度の医療費は、現役世代の保険料によって支えられています。「後期高齢者1人当たりの保険料」と「現役世代1人当たりの後期高齢者支援金」は、少子高齢化により、制度導入時の2008年に比べ、後期高齢者は1.2倍、それに対して現役世代は1.7倍に増えていて、現役世代の負担がより重くなっています。
そこで、現役世代の負担上昇を抑え、持続可能な仕組みにするため、「後期高齢者1人当たりの保険料」と「現役世代1人当たりの後期高齢者支援金」の増加率が同じとなるよう見直されました。
理由の2つ目は出産育児一時金の費用の一部を後期高齢者の保険料から支援するためです。出産育児一時金に必要な費用のうち、7%を後期高齢者の保険料から支援することで、少子化に歯止めをかけ、全世代で支え合う仕組みになるということです。物価も高騰する中で、法改正による保険料の増額。街の声を取材しました。
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高齢者
「いろいろ上がる時期だけど…。年金も上がったらいいねえ」
「我々は年金生活ですから、年金が目減りするのがいけない。上がった物価とスライドして一緒に上がらなきゃいけないけど、上がらずに物価だげどんどん上がって、介護保険なんかもどんどん上がっていくでしょ」
「やっぱり人口が減ってるから、特に鳥取県なんか一番人口少ないじゃないですか。だから子育てに使われるのは良いと思いますよ」
戸惑いの声と、未来への期待の声。さまざまな意見がありましたが、物価の高騰に加え、高齢世帯の家計には大きな打撃となりそうです。具体的にはどのように増額が行われるのでしょうか。専門家に話を聞きました。
鳥取県後期高齢者医療広域連合 池口栄夫 業務課長
「今回の国の制度の改正によって増加する保険料につきましては、賦課限度額の引き上げや所得割率を引き上げる形で負担能力に応じた負担としております。また、負担の急激な増加を和らげるために、令和6年度は激変緩和措置が講じられています」
■「激変緩和措置」とは?
この緩和措置によると、”負担能力に応じた負担”ということで75歳以上の方全員が対象になるわけではありません。年収153万円が基準となり、これよりも収入が少ない全体の約6割の方は今回の改正による増額はありません。対象となる年収153万円を超える人たちも2年かけて、段階的に引き上げることになっています。多くの方が増額対象ではないといえ、保険料のベースが年々上がっているため今後も負担は増えていくこととなりそうです。
少子高齢化が進む中、どのように健康保険の体制を維持していくのかが、引き続き大きな課題となりそうです。