王将戦第三局による地元大田市の"藤井フィーバー" 会場宿舎でのペア80万円の宿泊プランや地元洋菓子店の"勝負おやつ"で盛り上げ 大盤解説の参加者には能登半島地震の影響も… 島根県大田市
藤井八冠がタイトル防衛に王手をかけ、多くのファンが熱狂した今回の王将戦。盛り上がりを見せた地元・島根県大田市。特別な思いで王将戦を見つめる人たちを取材しました。
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現役最強棋士の一手を一目見るため、対局当日の朝、去年に引き続き会場となった島根県大田市のさんべ荘には、県内外から大勢の人がー。
大田市民
「そりゃもうねこの一戦を大田でやるということは、やっぱりわくわくしますので来ました」
県外の人
「福岡県の筑後市からです。車で来たんですけど6時間くらいかけてきました」
国民宿舎 さんべ荘 宇谷義弘 社長
「(去年も)非常に注目されて、おかげさまでお客さんも周辺にたくさんおいでいただきました。雪解けとともに春に向けて大田市においでになっていただければありがたいです」
■王将戦の対局が行われた宿泊施設が行った驚きのプランとは
この反響を次に繋げるべく、さんべ荘では事前に、ある驚きの策に打って出ました。
国民宿舎 さんべ荘 高原 充 支配人
「こちらはペア2人1組で80万円となっております」
それが、初手や感想戦などを生で見られる特権つきの、スペシャル宿泊プラン。7組の抽選の中から選ばれたのはー。
愛知県出身 藤原真由美さん
「お金で買えないもの。確かに高いんですけどでも来たいという気持ちのほうが強かった」
徳島県出身 多田眞澄美さん
「同じくです」
県外からきた藤井八冠大ファンの藤原さんと多田さん。緊張感漂う対局室で、王将戦の初手を見学できました。
藤原さん
「ずっとこの時間が続くとよいのになとか思ったりして、一生の宝物という感じ」
多田さん
「迫力があるというか、秘めた感情がすぐそばなので伝わってきます。現実か⁉という感じですごい感動しました」
■大盤解説は500人以上の応募が…そこには特別な思いで参加する人も
一方、にぎわいを見せていたのが別室の大盤解説会。定員300人に対し、県内外から500人以上の応募がありました。そこに、ある特別な思いで参加した高校生たち。
島根県立松江南高校 将棋部 堀江優一さん
「きょう石川県で行われる予定だった全国新人大会が地震の関係でなくなってしまったので、ここに来ました」
島根県松江市や出雲市の高校から来た将棋部員たち。実はこの日、石川県金沢市で開かれる将棋の全国大会に出場する予定でした。しかし、能登半島地震の影響で大会は急遽中止に…。落ち込む彼らに何かできないかと、顧問の先生が連れてきたと言います。
先生は、会場のさんべ荘に彼らのことを相談。その結果、王将戦の初手の際、特別に対局室へ入れることになったのです。憧れの棋士を間近で…思いがけないサプライズでした。
将棋部員
「すごいオーラが違って、見ているだけで緊張しました」
「本当圧巻というか、最初に見たときはもう『本物⁉』みたいな感じで臨場感があって非日常な雰囲気が味わえました」
■藤井八冠の傾向を研究したおやつとは?
こうした中、戦いの行方とともに注目されていたのが対局者の勝負飯やおやつ。1月27日の午後、藤井八冠がおやつに選んだのはー。
ガトーサンマリノ 重富 洋介 店長
「過去の藤井さんの勝負おやつをネットで検索したところ、イチゴを使ったスイーツやキャラクターのケーキを選ばれる傾向があったので…」
かわいらしくデコレーションされた大田市産のイチゴに、将棋駒。大田市の洋菓子店、ガトーサンマリノが開発したイチゴのモンブランです。
ガトーサンマリノ 清水 幸枝 マネージャー
「これをつくるまでに店長とかスタッフ全員で全力を尽くした商品なので藤井さんに食べていただけて、素直に本当にうれしいです。」
今回、藤井八冠のおやつに選ばれたと報道されて以降、注文や問い合わせが相次ぎ、28日だけでも100個が売れたといいます。29日も客が続々と買い求めにやってきました。
客
「(目当ては)このイチゴのモンブランです。かわいらしいって感じですね」
「藤井さんがおやつでこれを食されたと聞きましたので、食べてみようかなと思っています。楽しみです」
王将戦に合わせた限定メニューのいちごのモンブランですが、店では来年以降もイチゴのシーズンに売り出していきたいとしています。今年も大田市から大きな反響を生んだ将棋の王将戦。藤井フィーバーをこの先へどう繋げていくか、注目です。