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海外からもファンが…“トド寝”発祥のドバドバ秘湯を継承!雪国で奮闘する移住親子の挑戦「何十年、何百年でも続けていきたい」 青森県平川市

2025年2月11日 20:13
海外からもファンが…“トド寝”発祥のドバドバ秘湯を継承!雪国で奮闘する移住親子の挑戦「何十年、何百年でも続けていきたい」 青森県平川市

全国から温泉ファンが訪れる平川市の山あいにある秘湯です。
後継者がいなかったこの温泉宿を後世にも残していきたいと、県外から移住した親子が受け継ぎ奮闘しています。

秋田県との県境に近い平川市碇ヶ関。
雪深い山道を進むと一軒の温泉宿があります。
ここ古遠部温泉は1964年鉱山の発掘調査のためボーリングしたところ豊富な温泉が湧いたというのが始まりです。
ドバドバと湧き出る温泉が湯船からあふれ、浴場の床に流れ出たお湯が川のようになっています。

この床にトドのように横たわって楽しむ「トド寝」ができるといつしか温泉ファンの間で有名になりました。
「トド寝」発祥の地とも言われています。

★温泉客
「お湯流れているので背中あったかいし 結構(温度が)ちょうど良くてすごい気持ち良いです」

1986年に温泉宿として営業を始めた古遠部温泉は2年前、当時の経営者が体力的な理由から引退を決意。
跡継ぎがいないことから温泉宿を引き継いでくれる人を一般から募集していました。

★古遠部温泉 木村達夫 社長(当時)
「他にはあまり無いような温泉なので何とか残したい」

そこで手を上げたのが宮城県仙台市に暮らす親子の二人でした。

★古遠部温泉 湯守 後藤裕次郎さん
「もともとここのファンで通っていたんですけれど」
「仙台から片道300キロ仕事終わってからブーンって来て」
「やっぱりここの温泉が無くなったら困るのは自分ですし、本当にこの温泉残しておきたいなと思ったので」

★古遠部温泉 後藤正男社長
「息子が急にやりたいんだけどどう、っていうことで誘われて」

親子がここへやってきたのは2023年8月。
息子の裕次郎さんも仕事を辞め、新天地青森へ二人で移住。
事業を継承しました。

★古遠部温泉 後藤正男社長
「こっち来て去年初めてスノーダンプ買って初めてやりました」
「大変ですね特に今年は雪が」

慣れない青森での暮らし。
全ては受け継いだ温泉を守るためです。

★古遠部温泉 湯守 後藤裕次郎さん
「このそうじを1日朝と夜2回ですねここのお湯も完全に抜きます」
「(掃除しないとどうなっちゃうんですか?)こうやってどんどん、ここみたいに固まっていっちゃいますね」

後藤さん親子が惚れ込んだこの温泉の湯量は毎分500リットル。
ポンプなど使うことなく自然に湧き出ていて、水を加えることも温めることもせず、浴槽の中は常に適温の42度ほどに保たれています。
このお湯を求めて地元青森はもちろん遠くからも温泉ファンが訪ねてきます。

多くのお客さんは「トド寝」を楽しんでいます。

★大阪のから
「『トド寝って寝るだけでしょ』って思っていたんですけど、実際にやってみたらこんなリラックス出来ることは無いですし 何か忘れますね日常を」

★りんご農家
「疲れてきたりすればここに来て養生して、そうするとまた元気が出てくるんですよ」

多くの人に愛される古遠部温泉ですがある問題が・・・。

★古遠部温泉 湯守 後藤裕次郎さん
「ここが斜めになっているので、あとここも隙間が開いちゃって」

建物の老朽化が深刻な悩みとなっているのです。
館内はいたるところで雨漏りも。
自分たちで応急処置も施していますが、根本的な解決にはなっていません。

そこで親子が始めたのはクラウドファンディング。
今月1日から改修工事に充てる資金の支援者を募っています。

★古遠部温泉 湯守 後藤裕次郎さん
「何十年、何百年でもここを続けていきたいと思っているので」

★古遠部温泉 後藤正男社長
「とにかく本当に自然の恵みだけである温泉なので、それを絶やさないようにがんばっていきたいと思っています」

先月温泉好きが所属する団体が選ぶ「湯量が豊富で本当にいい温泉」で全国1位に選ばれた古遠部温泉。
このお湯を守ろうという親子の挑戦が続いています。

最終更新日:2025年2月11日 20:13
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