富士山登山の実態は?静岡側の規制は今後どうなる(静岡)
今月10日、富士山は、夏の登山シーズンを終えましたが、今年は登山者の事故が相次ぎました。背景には、ルールやマナー、登山の常識を無視した無謀な行動が・・・山頂で住み込みで活動した女性カメラマンが映像に収めていました。
9月10日、小山町須走ルートの入り口にある「冨士浅間神社」で閉山式が行われ、出席した観光関係者らが夏の登山シーズンを終えたことを感謝しました。
7月10日に開山した富士山、その直後から死亡事故が相次ぎました。
県警によりますと、今シーズン、静岡県側では46件の遭難が発生。去年より件数は減少したものの5人が死亡、23人がけがをしました。
富士山で一体何が起きているのか。
(植田めぐみさん)
「海外の登山客で片手に缶チューハイを持って歩けないからブルドーザー乗せてくれと。ちょっと観光気分というか命に係わる危険な山と意識しないで登っている方が結構いた」
こう話すのは夏山シーズンの2か月間、山頂で生活していた「富士山カメラマン」の植田めぐみさん。
植田さんは、毎年、山頂の神社で住み込みで働きながら写真を撮影したりSNSを通じて情報発信を行っています。
話を聞くと驚くべき実態が明らかに。
ドローンをとばす外国人登山客や…登山道を外れて危険な岩場に出て御来光の写真に夢中な登山客まで…
そして、こちらは、須走口の山頂で撮影された写真。
岩の間には寝袋が…
危険なため植田さんが声をかけましたが・・・
(植田さん)
「納得するまで1時間以上おりたくないと駄々をこねられて知らないよと言っても大丈夫だと」
命を落としかねない危険な行動はほかにも。
登山道ではない崖を登り御来光を待つ登山客。
崖は岩が崩れやすく、すぐ下にいる登山客に岩が落ちて当たれば大惨事となりかねません。
(植田さん)
「登山道の石がふってきたらそれで亡くなった方も今までいるし、そういった危険性があるということを伝えてもわかったわかったと笑って大げさな、と取る方が多いこちらからしたら恐怖で」
また、今シーズンは落雷による事故も発生。
親子3人が落雷で転倒し軽傷を負いました。
それでも、写真を撮ることをやめず危険性を認識しない人が後を絶たないといいます。
無理な登山で、“最悪の事態”が起きてしまったケースも。
今月、グループで登っていた50代の男性が山頂で体調を崩して倒れ、植田さんも救助に向かいました。
(植田さん)
「途中で頭痛薬を飲んだという話も聞いて同行者の方に登っている途中に体調不良は出ていたと思う。頭が痛いとか 吐き気がするだとかそういった 中でちょっと無理をして登って しまったのかなと感じた」
男性はその後5合目まで搬送されましたがその場で死亡が確認されました。
今後、静岡県側で本格的に“登山規制”が検討されていきますが、植田さんは「富士山のリアルを伝える必要がある」といいます。
(植田さん)
「事前登録の時の動画も見たが危機感が足りないと思って富士山で多い強風や雷とかそういったリアルな実際晴れていてもこういうこと は突然起きるかもしれないからそういう時に備えての装備をしてきてくださいというのをちゃんと伝えてかなくちゃだなというのをすごく思う
この夏、富士山の登山者数は環境省の速報値で19万9千人あまり。去年に比べ1割ほど減少しました。ただ、静岡県側でみるとほぼ去年と同程度でした。
ことしは山梨県側で新たな“登山規制”が始まりました。弾丸登山や混雑への対策として吉田ルート5合目にゲートを設置。1日の登山者数を4000人に制限し、また通行料として2000円を徴収しました。
一方、静岡県側は登山前に宿泊予約の有無などを入力する「事前登録システム」を導入しましたが、あくまで“任意”で、強制力はありません。
静岡と山梨で「登山規制」が大きく異なることで開山前、山小屋関係者からは不安の声が聞かれました。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「うちの山小屋ばかりではなく、ほとんどの山小屋がもう一杯ですね。山梨県が規制という報道が出始めてから、インバウンドの方々が一気にこっちへシフトした」
こう話していたのは須走口5合目で山小屋を経営する米山千晴さん。弾丸登山の登山者も静岡側に流入することを心配していました。
閉山となる10日、再び須走口5合目を訪ねました。山小屋で休憩する登山者を見るとほとんどが外国人です。
(外国人登山者)
「アメリカのオレゴン州から」「カリフォルニア州サンディエゴ」「カナダから来た」「イスラエル3人とも一緒」「日本と言ったら富士山だよ」
米山さんの山小屋の登山ガイドが下山してきました。背負っているのは大量のごみ。小山町から委託され、登山道のごみ拾いをしています。
(登山ガイド)
「ごみの量はきのうきょうは多い、土日の日帰りが多かったので」
2人が1泊2日で集めたごみは45キロあまりになりました。こうして登山ガイドたちが交代で、山頂までゴミ拾いをしています。
この夏は20回ほど実施し、期間中、拾ったごみは合計でおよそ1200キロにもなったといいます。
(登山ガイド)
「ごみはごみを生むと言います、ごみがちょっとあるとそこへ捨てる人がでてくるだからマメに拾っていくのが大事なのかな」
登山シーズンを終えて、米山さんにあらためてことしの夏を振り返ってもらいました。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「登山者数はさほど変わらない、しかしながら各山小屋が忙しかった、というのは今までの日帰り登山、夜の弾丸登山が減って山小屋を利用する人が多かったということ、山小屋にとってはありがたいこと」
米山さんは開山前に心配した混乱はなかったといいます。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「やっぱり富士山はどこから登ってもよかったという形にするべき、やはり静岡県の考え方が私は少し遅れていると常々言わせてもらっているそういう状態がこれから改善されていくならどういう形になるか分からないけれど、私は期待しています」
一つの山に2つのルールが存在することとなった今年の富士山。来年は、静岡側も山梨側に足並みを揃える方針です。
9月10日、小山町須走ルートの入り口にある「冨士浅間神社」で閉山式が行われ、出席した観光関係者らが夏の登山シーズンを終えたことを感謝しました。
7月10日に開山した富士山、その直後から死亡事故が相次ぎました。
県警によりますと、今シーズン、静岡県側では46件の遭難が発生。去年より件数は減少したものの5人が死亡、23人がけがをしました。
富士山で一体何が起きているのか。
(植田めぐみさん)
「海外の登山客で片手に缶チューハイを持って歩けないからブルドーザー乗せてくれと。ちょっと観光気分というか命に係わる危険な山と意識しないで登っている方が結構いた」
こう話すのは夏山シーズンの2か月間、山頂で生活していた「富士山カメラマン」の植田めぐみさん。
植田さんは、毎年、山頂の神社で住み込みで働きながら写真を撮影したりSNSを通じて情報発信を行っています。
話を聞くと驚くべき実態が明らかに。
ドローンをとばす外国人登山客や…登山道を外れて危険な岩場に出て御来光の写真に夢中な登山客まで…
そして、こちらは、須走口の山頂で撮影された写真。
岩の間には寝袋が…
危険なため植田さんが声をかけましたが・・・
(植田さん)
「納得するまで1時間以上おりたくないと駄々をこねられて知らないよと言っても大丈夫だと」
命を落としかねない危険な行動はほかにも。
登山道ではない崖を登り御来光を待つ登山客。
崖は岩が崩れやすく、すぐ下にいる登山客に岩が落ちて当たれば大惨事となりかねません。
(植田さん)
「登山道の石がふってきたらそれで亡くなった方も今までいるし、そういった危険性があるということを伝えてもわかったわかったと笑って大げさな、と取る方が多いこちらからしたら恐怖で」
また、今シーズンは落雷による事故も発生。
親子3人が落雷で転倒し軽傷を負いました。
それでも、写真を撮ることをやめず危険性を認識しない人が後を絶たないといいます。
無理な登山で、“最悪の事態”が起きてしまったケースも。
今月、グループで登っていた50代の男性が山頂で体調を崩して倒れ、植田さんも救助に向かいました。
(植田さん)
「途中で頭痛薬を飲んだという話も聞いて同行者の方に登っている途中に体調不良は出ていたと思う。頭が痛いとか 吐き気がするだとかそういった 中でちょっと無理をして登って しまったのかなと感じた」
男性はその後5合目まで搬送されましたがその場で死亡が確認されました。
今後、静岡県側で本格的に“登山規制”が検討されていきますが、植田さんは「富士山のリアルを伝える必要がある」といいます。
(植田さん)
「事前登録の時の動画も見たが危機感が足りないと思って富士山で多い強風や雷とかそういったリアルな実際晴れていてもこういうこと は突然起きるかもしれないからそういう時に備えての装備をしてきてくださいというのをちゃんと伝えてかなくちゃだなというのをすごく思う
この夏、富士山の登山者数は環境省の速報値で19万9千人あまり。去年に比べ1割ほど減少しました。ただ、静岡県側でみるとほぼ去年と同程度でした。
ことしは山梨県側で新たな“登山規制”が始まりました。弾丸登山や混雑への対策として吉田ルート5合目にゲートを設置。1日の登山者数を4000人に制限し、また通行料として2000円を徴収しました。
一方、静岡県側は登山前に宿泊予約の有無などを入力する「事前登録システム」を導入しましたが、あくまで“任意”で、強制力はありません。
静岡と山梨で「登山規制」が大きく異なることで開山前、山小屋関係者からは不安の声が聞かれました。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「うちの山小屋ばかりではなく、ほとんどの山小屋がもう一杯ですね。山梨県が規制という報道が出始めてから、インバウンドの方々が一気にこっちへシフトした」
こう話していたのは須走口5合目で山小屋を経営する米山千晴さん。弾丸登山の登山者も静岡側に流入することを心配していました。
閉山となる10日、再び須走口5合目を訪ねました。山小屋で休憩する登山者を見るとほとんどが外国人です。
(外国人登山者)
「アメリカのオレゴン州から」「カリフォルニア州サンディエゴ」「カナダから来た」「イスラエル3人とも一緒」「日本と言ったら富士山だよ」
米山さんの山小屋の登山ガイドが下山してきました。背負っているのは大量のごみ。小山町から委託され、登山道のごみ拾いをしています。
(登山ガイド)
「ごみの量はきのうきょうは多い、土日の日帰りが多かったので」
2人が1泊2日で集めたごみは45キロあまりになりました。こうして登山ガイドたちが交代で、山頂までゴミ拾いをしています。
この夏は20回ほど実施し、期間中、拾ったごみは合計でおよそ1200キロにもなったといいます。
(登山ガイド)
「ごみはごみを生むと言います、ごみがちょっとあるとそこへ捨てる人がでてくるだからマメに拾っていくのが大事なのかな」
登山シーズンを終えて、米山さんにあらためてことしの夏を振り返ってもらいました。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「登山者数はさほど変わらない、しかしながら各山小屋が忙しかった、というのは今までの日帰り登山、夜の弾丸登山が減って山小屋を利用する人が多かったということ、山小屋にとってはありがたいこと」
米山さんは開山前に心配した混乱はなかったといいます。
(東富士山荘 米山千晴代表)
「やっぱり富士山はどこから登ってもよかったという形にするべき、やはり静岡県の考え方が私は少し遅れていると常々言わせてもらっているそういう状態がこれから改善されていくならどういう形になるか分からないけれど、私は期待しています」
一つの山に2つのルールが存在することとなった今年の富士山。来年は、静岡側も山梨側に足並みを揃える方針です。