「千歳で一番高いラウンジ」も強気の進出!“半導体特需に沸くマチ・北海道千歳市の驚くべき変貌
北海道千歳市ではラピダスの工場建設が進み、マチづくりに大きく影響しています。
新たなマンションの建設など再開発の動きが加速しています。
次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」。
2025年4月の試作ライン稼働に向けて、工場の建設は佳境を迎えています。
製造されるのは、スマートフォンや家電製品など私たちの生活に身近な電子機器の頭脳の役割を果たすものです。
ラピダスの進出には政府が9000億円余りの巨額の支援を決めている国家プロジェクトで、最大18兆8000億円の経済効果が見込まれています。
ラピダス工場のお膝元・千歳市。
9万7千人が暮らすマチでは、新たなマンションやホテルの建設に向けた工事が進められていました。
なかでもひときわ目を引くのが、10月に完成したこちらの賃貸マンションです。
(森永記者)「広々としたリビングですが、大きい窓からは街並みが一望できます。奥には建設中のラピダスの工場も見ることができます」
広々とした窓が特徴のこちらのマンションは10階建てであわせて96室。
間取りは2LDKから3LDKの世帯向けで、賃料は11万8000円から18万9000円です。
すでに4割以上が予約済みとなっていて、ラピダス進出が関連している個人や法人の申し込みもあるといいます。
需要を取り込もうとする動きはほかにもー
(西岡建設 川﨑匡取締役部長)「こちらが弊社で建築していますアパートの建築現場になります。ラピダス関係者・仕事関係者の単身の人が対象・ターゲット」
2025年4月に完成予定で、単身向けの1LDKが8室、賃料は6万8000円ほど。
土地などの高騰もあり、ラピダス進出前に比べて賃料を1万円ほど高く設定しているといいます。
(西岡建設 川﨑匡取締役部長)「土地自体が少ないというのと、金額がほかのエリアと比べても上がってきているので買いづらい」
道内の地価上昇率は千歳市が住宅地・商業地ともに1位。
いずれも2年連続となり、まさに「半導体バブル」の様相です。
また、ラピダス進出の効果による人口増加予測は、2040年までに累計でおよそ7800人。
総人口は2036年にピークを迎え、現在からおよそ5000人多い10万人を超えると推計しています。
千歳市内の不動産会社でもー
(居住支援千歳プロジェクトチーム 梶田多恵子さん)「うちの管理物件の一部ですが、現在は満室です。本来は12月はいろいろ動くが、紹介できる物件はない。千歳の活気のよさ、盛り上がりの証拠」
工事関係者などの転入者も増え、こちらの不動産会社で管理している賃貸物件はすべて満室に。
さらに、賃貸物件は全体的に2割ほど高くなっていて、しばらくは続くと分析しています。
(居住支援千歳プロジェクトチーム 梶田多恵子さん)「地価が上がった、建築資材の高騰、いろいろなことが噛みあって建築費が高くなっているので、家賃を上げなければ収支が合わない。今の状態では高値安定だと思う」
地元の繁華街は多くの人が行き交い活気にあふれていました。
(千歳市民)「北海道がどんどん活性化していくには、千歳を足掛りにこれからどんどん道内のいろいろなところに発展してほしい」
特需効果はこちらにもー
2024年9月にオープンしたラウンジです。
すすきのに2店舗を展開していましたが、将来性を見込んで千歳に新たに出店しました。
セット料金は1時間5000円から6000円。
「千歳で一番高い店」と謳っています。
狙いはもちろんラピダス需要です。
(プライベートカフェきちのせ千歳店 小林輝代表)「(道内の)所得ベースで考えると少し高いんですけど、ターゲット層にしているのが内地の客なので、強気で価格を決めました。1年後2年後にいろいろな企業が千歳に入ってきて、そこで店が定着してもらえれば」
中心部の居酒屋は月曜日にもかかわらずこのにぎわい。
工事関係者などの客を中心に売り上げが2倍ほど増えたと言います。
(川 川田和裕店主)「予約で8割入ってフリーでお客さんが来て満席になりました。忙しいですね。夏も冬も忘年会も関係ないですね」
店主の川田さんは長年、東京や道内のホテルで料理の腕を磨き、居酒屋として12年前に千歳で独立し、念願の自分の店を持ちました。
当時は想像もしていなかった変化もー
(川 川田和裕店主)「旅館だったけどなくなって更地になった。この奥も建物が2つあったけどなくなって、向こう側もなくなって5階建てマンションができるようになる。将来的にここもなくなってしまうのでは」
周りにあった建物は再開発の波にのまれ次々と更地にー
川田さん自身もマチが発展するためにはやむを得ない面もあると言います。
(川 川田和裕店主)「時代の流れで建物は古くなるし大家さんとの絡みもあるし、僕の力でどうにもならないので自然にまかせていきたい。これから千歳はいいマチですよ。千歳にいたいですね、千歳で頑張っていきたいと思います」
千歳市では、ラピダスの事業を推進することでマチの発展が道内全体の活性化に繋がると期待を寄せています。
(千歳市次世代半導体拠点推進室 森周一室長)「工場が立地することで、税金も増えるし人の雇用も増える。活力が増えていく。北海道の発展に寄与するので、ラピダス工場の所在する自治体としては力を入れて、北海道の活性化のためにも取り組んでいきたい」
巨大な国家プロジェクトで動き始めた「再開発」。
人の流れとともに千歳のマチが大きく変わろうとしています。