殺人計画の事前認識が争点 殺人ほう助の罪は認定せず 札幌地検コメント「残念」 すすきの殺人
(石黒記者)「有罪か無罪か。主張が真っ向から対立し、全国的にも注目されていたこの裁判は、求刑を大きく下回る判決となりました」
(裁判長)「主文、被告人を懲役1年4か月に処する。4年間は、刑の執行を猶予する」
いつも通りスーツ姿で証言台に立った修被告。
判決を言い渡された瞬間、正面を向いたまま動じることはありませんでした。
裁判所が下したのは、懲役10年の求刑を大きく下回る懲役1年4か月・執行猶予4年の判決でした。
殺人ほう助などの罪に問われていたのは田村修被告61歳。
起訴状によりますと、修被告は2023年、のこぎりなどを購入し、娘の瑠奈被告に提供して殺人を手助けしたほか、男性の頭部を損壊する様子をビデオで撮影するなどした罪に問われていました。
この裁判の最大の争点がー
「瑠奈被告の殺害計画を事前に認識していたのか」
これまで修被告は、自分は何も知らなかったと無罪を主張してきました。
裁判員裁判の初公判で修被告は起訴内容を否認。
(修被告)「娘の犯行を知ったのは、事件があったあと」
事件前に購入したのこぎりなどの凶器は、使い道を瑠奈被告に聞いていないなどと述べてきました。
検察は論告で、「瑠奈被告の計画は十分に練られたもので、修被告の手助けが不可欠」「凶器は修被告が購入しなければ犯行がなされなかった」などと指摘し、懲役10年を求刑しました。
一方、弁護側は「瑠奈被告の殺意などを事前に知っていたと推認できる証拠が全くない」。
凶器の購入についても、「のちに犯行に使われたと判明した」などと無罪を主張してきました。
(山本記者)「開廷前の札幌地裁前です。多くの傍聴希望者が列を作っていて、注目の高さがうかがえます」
一家3人が起訴されるという衝撃的な事件とあって、市民の意見もさまざまです。
(傍聴希望者)「無罪を主張していても、娘がやっていることに対しての責任感。一緒にやっている身として有罪なのかなと」
(傍聴希望者)「加害者も苦しみながら生活していたと思うので、そこを考慮して判断していただければなと思う」
有罪か無罪か。
午後2時から言い渡された判決はー
(裁判長)「主文、被告人を懲役1年4か月に処する。4年間は、刑の執行を猶予する」
札幌地裁は、瑠奈被告が頭部を損壊する様子をビデオで撮影したことについて、「犯意を増強させ、心理的にほう助した」と指摘。
一方で、瑠奈被告の殺害計画については、「被害者を殺害するとまで、事前に認識していたとは断定できない」などと結論付け、殺人ほう助の罪については認定しませんでした。
この判決を受け札幌地検はー
(検察)「検察官の主張が受け入れられなかったことは残念である。今後については、判決文の内容を精査し、適切に対応したい」
世間を震撼させた猟奇的な事件から1年8か月。
11回に及んだ裁判員裁判は求刑を大きく下回る判決となりました。