【特集】生まれ変わるJR新潟駅 大きな転換期を迎える政令指定市・新潟市 その戦略は 《新潟》
新潟市は過去最大規模の4000億円を超える新年度予算案を編成しました。
ことしの3月、新たなバスターミナルも完成する新潟の玄関口。
生まれ変わる街の姿とは・・・。
雨の日も、雪の日も。
いつも変わらぬ姿で出迎えてくれた新潟駅。
開業からことしで120年・・大きな変化を遂げようとしています。
〈新潟市 中原八一市長〉
「新しいバスターミナル、観光案内センターができて、古町までつないでいく。街づくりの大きな転換期にあって、非常にチャンスがある」
加藤裕子さん。新潟駅のすぐそばで酒店を営んでいます。
〈錦屋酒店 加藤裕子さん〉
「ここにバスが通るということが、ずっと小さい頃からここで育ってきた者にとっては新鮮であり、うれしいこと」
コロナ禍の影響を受けてきましたが、最近は県外からの観光客も戻ってきたといいます。
〈錦屋酒店 加藤裕子さん〉
「新潟は発信するのが上手じゃないと思うんですね。もっといいものがいっぱいあるのにそれを新潟の中でとどめているものがあるので、来た方が満足していただけるような接客を目指していますね」
店の歴史は、新潟駅の歴史と重なります。
万代口の駅舎が開業したのがいまから66年前。
その年、新潟市の本町にあった酒店。先々代である祖父が、駅前への移転を決めました。
子どもの頃から店の手伝いをしていた加藤さん。
〈錦屋酒店 加藤裕子さん〉
「小さい頃よくやったのが、この前で人形をおんぶしながらビラを配ったりとか、台車に乗って配達に一緒に付いていったりとか。駅とかが遊び場だったので」
小学校で教壇に立っていましたが2012年、3代目として酒店の跡を継ぎました。
新潟の日本酒を多くの人に発信したい・・・。
いま、新潟の玄関口の行く末に大きな期待を寄せています。
〈錦屋酒店 加藤裕子さん〉
「昔とは全然違う、新しい新潟駅が誕生したというか。今までにはない風景なのでいいと思いますよ、あとは(万代)広場がどうなるのか」
着々とリニューアル工事が進む新潟駅・・・。
新潟市は新年度も駅周辺の開発に力を入れています。
“都市の庭”をコンセプトに、以前の2倍の広さになる万代広場。
すでにガラスの屋根が設置された通路も。新潟の川や潟をイメージしているといいます。
来年度中の完成を目指して、現在整備が進められています。
市は、この万代広場などの駅周辺の整備におよそ396億円を計上しました。
そして3月末に開業するのが、新たなバスターミナルです。
駅の南北がつながり、利便性の向上が期待されています。
路線バスの利用を促すため、1億3000万円が充てられました。
新潟市が進める街づくりの要、新潟駅から古町までの「にいがた2km」。
このエリアでは新しいオフィスビルが誕生しています。
一方、駅の南側には30階建てのマンションとオフィスビルが建設中です。
この開発を後押しするため、市はおよそ5億2000万円を充てました。
新潟市はここ数年、駅周辺でビルの建設を進めていて企業の誘致に力を入れています。
この5年間で東京や大阪など県外から50社以上が進出しました。
背景にあるのが、新潟市の促進事業です。
「にいがた2km」エリアに進出した企業はビルの賃料が4分の1になるほか、正社員を1年以上雇用すると1人あたり100万円が交付されるなど、手厚い支援を行っています。
〈大阪から進出したグッドニュース 北村信樹さん〉
「(新潟は)首都へのアクセスもいいし、新潟の専門学校生を採用した別の企業がめちゃくちゃよかったという話を聞いて。優秀なITの専門学校生が新潟って結構多い。せっかくなのでこっちに、現地に開発拠点をつくりたい」
新年度はさらなる誘致に向け、およそ3億5000万円を盛り込みました。
〈新潟市 中原八一市長〉
「本市が持続的に発展するためには、市民の所得向上が欠かせません。そのためには再開発や交流人口の拡大などにより地域の外から投資や消費を呼びこみ、そこからしっかりと利益をあげられるよう、市内事業者の稼ぐ力を高めることが重要です」
新潟市は人口減少が深刻化しています。
この10年でおよそ2万人減り、ことし1月末時点で77万人を割り込みました。
駅のリニューアルが転換点となるのか・・・。
市は過去最大となる4185億円の予算を編成し、活力と魅力あふれる街づくりをめざすとしています。
新潟駅のすぐそばで酒店を営む加藤さんです。
常連客との会話も再開発の話題があがります。
日本酒を通じて新潟を知ってもらい、また来たいと思ってもらえるように・・・。
〈大阪からの観光客〉
「ぜひ来たいと思います。日本酒がおいしいのでそれだけでも来る価値があるかなと」
〈錦屋酒店 加藤裕子さん〉
「ひとが集まってきて、県外の人を含めて『新潟って来たら面白いね』、『なかなか来なかったけど一度来たら虜になるよね』といった、そんな街づくりができたら(と思います)。この新潟駅に来ることが楽しみという思いが持てるとまた変わってくる気がします。」
選ばれる都市の実現へ、大きな転換期を迎える新潟市。
中心部に熱い視線が注がれています。