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能登半島地震で工場が被災 「奇跡のぶなしめじ」復興の象徴に

2024年7月16日 21:08
能登半島地震で工場が被災 「奇跡のぶなしめじ」復興の象徴に

上水内郡飯綱町の企業が能登半島地震で被災した工場で生き残ったブナシメジを復活させるプロジェクトを進めています。その名も“奇跡のぶなしめじ”。復興の象徴として商品化を目指しています。

次々と運ばれていくキノコ。収穫を迎えたブナシメジです。よく見てみると…、大きさはバラバラ。中にはエリンギのように大ぶりのものも。

育てるのは飯綱町のミスズライフです。全国8か所に自社工場を構え、年間8000トンものカットブナシメジを生産しています。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「これが今回の“奇跡のぶなしめじ”になります。弊社石川県穴水町の能登工場から飯綱工場に瓶でいうと約1500本移動しまして」

青色のケースに入るブナシメジは石川県穴水町にある能登工場で育てられてきました。元日に発生した能登半島地震。穴水町は震度6強の揺れを観測し、工場も被災しました。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「(地震発生後)私も行っていたんですけど、当時の状況は本当に一言で言うならすごい、えっていうくらい、瓶がそこら辺に散らばっていて」

培養中の瓶は倒れ、温度管理を行う設備なども停止。およそ280万本あった瓶は半分以上が廃棄せざるを得ない状況に…。そんな中、菌糸を育てていた培養室のブナシメジが奇跡的に被害を免れたのです。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「培養室にあるものは比較的倒れなかったというのが多かったので、その倒れなったものを中を見るとまだ菌糸が生きていたんですよね。生きているものとなるとこれはもしかしたらまあ売れるんじゃないかと、そのまま成長させてもシメジになると」

ブナシメジはまず瓶に土台となる培地を作りブナシメジの菌を接種。菌糸の成長を促す培養を70日間行います。その後、温度などが管理された部屋で芽出しを10日間、生育室で14日間の生育を行います。今回は能登工場の稼働がストップしたため通常の3倍となる210日間以上培養し、飯綱工場に移して生育を進めてきました。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「正常な培養期間の日数を要していないので長期間培養したということでばらつきや傘の色という部分も全然違いがあるかなと」

能登工場から移されておよそ1か月。15日、収穫を迎えました。瓶およそ1500本の“奇跡のぶなしめじ”。丁寧にカットされ、袋詰めされていきます。

通常のブナシメジとともに特別に調理してもらいました。その味はというと…。

北沢ななか記者
「普段販売しているブナシメジからいただきます。こちらが今回の奇跡のぶなしめじです。かなり弾力もあって歯ごたえがすごく強いです。味も濃くて風味が強いのでワイルドさを感じます」

県工業技術総合センターによる試験でも“奇跡のぶなしめじ”はうまみ成分のグルタミン酸やアラニンが通常よりも1.5倍程度に高まるといった結果が出たということです。

復旧作業が進められている穴水町の能登工場。ミスズライフでは“奇跡のぶなしめじ”の生産が復興の象徴となればと考えています。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「われわれが作る奇跡のぶなしめじを食べていただくことによって少しでも復興に役立つというか、日本全国の人が石川県を思い出してもらえたりまたこのシメジを食べたことによって復興への思いとかそういったものが少しでも生み出していければなと思います」

“奇跡のぶなしめじ”は今後、能登工場で生育が進められ、8月以降に出荷を予定。石川県や長野県を中心に販売されるということです。また、石川県の被災地で振る舞いも検討しています。

ミスズライフ広報室 北浦舜さん
「早く届くことを願ってわれわれも頑張ります。石川県、能登地震の復興の少しでも役に立てるようにこれからまい進していきたいと思います」

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