【特集】東日本大震災から14年 学校と地域が連携 防災への取り組みは今…見えてきた課題は…
14年前に発生した東日本大震災。そのあとも甚大な被害をもたらす大地震が後を絶ちません。
それら、多くの地震の発生時間に注目してみると、実は、ある共通点がありました。
【信州大学教育学部附属松本小学校】
地震が起きて、避難所へ向かう途中…。
「あれ、分かれ道だ。商店街を通る道と広場を通る道どっちががいいんだろう」
演劇で伝える、防災のポイント。
信大附属松本小学校で開かれた地域防災報告会です。
「正解は落下物が少ない広場を通る道だよ!なんで?確かに商店街は人が多くて安心感が高まるよね、けど災害時は商店街に落下物が多くてそれが落ちてきやすいんだよ。へえ~勉強になったよ」
松本市の避難所にも指定されているこの小学校では、子どもたちと地域住民が連携して防災への取り組みを進めています。
こちらは、5年前の改修工事で学校内に導入したレジリエンストイレ。
通常の水洗トイレは5から8リットルの水が必要ですが、レジリエンストイレは、1リットルという少ない水でも流すことができます。
「説明者:一番は水洗トイレであるということと、普通のこういったブースなので、テントの中でしなくていいっていう安心感がありますね」
体験者「へぇ~」
避難所の設備を体験することは、いつ起こるか分からない万が一に備えること。。。
学校での防災のあり方を研究する信州大学の廣内大助教授は…。
信州大学教育学部 廣内大助 教授
「重要なのは作ったから良かったねってことじゃない。これ100点のうちの半分にも満たない。どう使うか、どんな課題があるのか、考えて練習するってやらないとできない。来てみたらそういうトイレあると知ってもどうやって使うのか分からなかったら意味ない」
去年の元日に発生した能登半島地震。
【信大教育学部】
石川・輪島市立東陽中学校 佐渡友己成 教諭
「教員は可能な範囲で自分が避難している避難先や近隣の避難所の運営補助に当たりなさいという指示が出ました。支援物資を配ったり環境整備をしたりということを行っていました」
石川県輪島市の中学校教諭、佐渡友己成さん24歳。母校・信州大学で当時の状況を報告しました。
実家が被災しながらも避難所の運営に。教師1年目に直面した出来事でした。
いまも各地で相次ぐ大きな地震。
東日本大震災のあとに発生した震度6強以上の地震には実は、ある共通点がありました。
注目すべきはその、発生した時間帯です。
石川・輪島市立東陽中学校 佐渡友己成 教諭
「私たちの災害はたまたま、1月1日以前にも(2023年)5月5日に地震があったり、で(去年)1月1日、全部休みの日だったんです。それが私たち教員としては、まだ学校にいたときよりも対応やりやすかったっていうのが正直なんですけど」
子どもたちが学校にいる時間に起きた東日本大震災。しかし、そのあとの大きな地震は、いずれも祝日や夜など「平日の日中」以外に発生、すなわち、学校の授業中には起きていません。
石川・輪島市立東陽中学校 佐渡友己成 教諭
「今回(能登半島地震)の場合は外に出たときに道がガタガタで危なくて出られない…。今までの避難訓練通りに動いていたら余計に危なくなった場面があったんですね。今までやってきた避難訓練通りにやるのが果たして一番いい対応だったんだろうかっていうのは私の中に疑問としてひとつ残っています」
学校現場での防災管理を、どうしていくべきか、専門家は…。
信州大学教育学部 廣内大助 教授
「学校側が何もやってないかというと避難訓練ですとか耐震の対策とかいろいろやっているんですが、普通の避難訓練は校庭まで並んで校長先生の話聞いて終わりですよね、だけど、実際には校庭に並んだ後も災害は続いているんです。その後、例えば、気温の状況によっては建物に戻らなきゃいけないとかありますし、保護者が迎えに来るようなところで引き渡しっていうような状況があったりとか」
「避難所が体育館に開設されたりとか、さまざまなことが起こっていくんですけど、そういったことに学校が組織としてどう対応していくのか決められていないっていうのが現状だと思います。」
「そういったものを見越しながらどういった対策をとっていくのかが重要だろうと考えています」
万が一に備えて、学校、保護者、地域の日ごろからの連携が不可欠だと指摘します。
信州大学教育学部 廣内大助 教授
「避難をする方々も学校が何かやってくれると思ってる人もいらっしゃるかもしれないけど、そうじゃなくて、避難したところでどんなことをしなきゃいけない、これもやっぱり普段から地域の人たちがよく避難所がどんなことしなきゃいけないのかって知って準備する必要があるんですけど、そういう訓練もなかなか行われていないですよね」
【諏訪・城南小】
2月、諏訪市の城南小学校では、地震の被害や火山のある地域の4つの小学校とオンラインでつなぎ、防災学習の成果を発表しました。
81年前、三重県熊野灘を震源とした昭和東南海地震で、大きな揺れを観測したといわれる諏訪地域。
「地震の揺れは丘の上にある高島小(現・上諏訪小学校)では小さく城南小では大きかったそうです。なぜ、城南小付近で揺れが大きかったのでしょうか。
「川や諏訪湖が近いので、地盤に水がたくさん含まれていて地盤が柔らかいからです。つまり、諏訪は地震が来ると揺れやすいということがわかりました」
学習を深めた子どもたちが興味を持ったのは、避難所での生活です。
「避難所になる城南小学校に10月4日に泊まることにしました。次の写真は、寝るときに使うベッドを組み立てている様子です。すごく重くて。運ぶのが大変だったけれど。 簡単に組立てることができて便利だなと思いました。寝るときは毛布だけだとすごく寒く感じたので、避難所で生活するときには暖かく過ごせるように準備する必要があるとわかりました」
今、各地で防災学習が進む中、子どもたちが感じることは…。
児童は
「お母さんとか長野全体に伝えて、地震の危険さとか、地震でどの場所に行くとかの 安全さを学んでほしいなって思いました」
児童は
「家族は全然、災害に対する備えが全然。しっかりと準備をした方がいいんだよって伝えています。」
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実際、日々の忙しさを理由になかなか対策が進んでいない家庭も多いのでは。
春休みになりますので、近所のハザードマップの確認や遊びに行く先々の災害リスクを確認してみるのもいいですね。