【長野3人殺傷事件】・犯行前後の足取り・押収された証拠品 ・生活状況・動機は…「孤立」が犯罪のリスクを高める「計画性」と「ずさんさ」の混在 犯罪心理に詳しい専門家の分析は…
これまでの取材で明らかになっていることなどを4つの項目に分けて事件を整理します。
1つ目は犯行前後の足取り
2つ目は矢口容疑者の自宅から押収された証拠品について
3つ目は矢口容疑者の生活状況について。
最後は、まだ明らかになっていない動機についてです。
■矢口容疑者の足取り■
現場となったJR長野駅前から矢口容疑者の自宅までは直線距離でおよそ3キロ。矢口容疑者は夕方ごろに自宅を出て国道19号沿いを歩いて長野駅の方へと向かいます。事件があった2時間前には長野市役所近くにある防犯カメラに似た人物が映っていました。
さらに、犯行のおよそ1時間前には百貨店前や駅構内で、そして20分前には現場近くで似た人物がいるのを防犯カメラなどが捉えています。事件が発生するまでのいわゆる「前足」と呼ばれる足取りがここまで判明しています。
そして犯行後の逃走経路です。矢口容疑者は3人を刃物で刺したあと南西方向へと逃走しました。
その後は陸橋を渡ったところまでは足取りが判明していますが、その後については分かっていません。ただ、事件があった日のうちに徒歩で帰宅しているとみられています
■ 押収品■
続いて家宅捜索で押収された証拠品についてです。これまでに分かっている押収品は包丁2本や白い手袋などがあります。包丁については犯行に使われたものがどうか警察が慎重に捜査しています。また、白い手袋については切り刻まれ、燃やされた跡があったことから矢口容疑者が証拠隠滅を図った可能性があります。このほかにもこの画像の特徴によく似たジャンパーや頭に巻けるタオルが押収されているということです。
■矢口容疑者の生活状況■
矢口容疑者は7畳ほどの1ルームに1人で暮らしていました。生活保護を受給し、逮捕された際、電気やガスなどが止められていました。生活に困窮していたとみられています。
■最後に未だ黙秘を続け判明していない動機について■
犯罪心理に詳しい専門家の分析は
筑波大学 犯罪心理に詳しい原田隆之 教授
「犯罪心理学の研究の中で“孤立”というのは犯罪のリスクを極めて高める。
この人(矢口容疑者)の孤立はまず仕事をしていない家族もいなかったり疎遠だったりする。普通の人であってもそういう人に反感を持って反社会的になるということが一つの動機にあるのかもしれません」
さらに原田教授が指摘するのは矢口容疑者の「計画性」と「ずさんさ」の混在です。
事前に刃物を用意していた点や容姿を変えた点は計画性を感じる一方で、長野駅前という人通りが多いところでの犯行や目立つ白い布を頭に巻くなどずさんな点もあることに矛盾を感じるとしています。
矢口容疑者は依然、黙秘を続けていてなぜ凶行に及んだのか。動機の解明が待たれます。 解説:県警キャップ湯本翔太記者