ウクライナ侵攻から3年…現地で支援続ける千曲市出身男性が伝える平和【長野】
ロシアによるウクライナ侵攻から2月24日で3年。
平和への出口がいまだ見えない中、ウクライナの隣国、ポーランドを拠点に支援活動を続ける千曲市出身の男性が一時帰国し、県内外で講演を続けています。
子どもたちに今、伝えたいこととは…。
ロシアによる攻撃で破壊された建物。ウクライナの首都キーウの中心部にある独立広場には、犠牲者を追悼する旗が並び、ウクライナ側の戦死者は3年間でおよそ4万6000人にのぼります。ロシアによるウクライナ侵攻からきょうで3年。節目となる日を前に、千曲市の東小学校を訪れる男性がいました。
ウクライナの隣国、ポーランドで日本語学校の教頭を務める千曲市出身の坂本龍太朗さん。3年前に侵攻が始まって以降、ウクライナへの支援を続けていて、県内外の小中学校で講演するために今回、一時帰国しました。
この日、講演を聞いたのは小学4年の児童たち。
「みんな戦争いつ始まってるか、知ってる人いる? 」
「3年前!」
「3年前のいつかわかる?」
「2月24日!」
「おーすごい、みんな勉強してるね。そう、3年前の2月です。」
児童たちは事前にウクライナの勉強をしていました。坂本さんは、侵攻直後から、ポーランドで避難民の受け入れや物資などウクライナへの援助を続けています。
「こういうの(ノート)を作ってウクライナの子供たちにこうやってあげてるんです。みんなノート持ってるよね。教科書も持ってるよね。鉛筆もある?でもこういうノートとかない人がいっぱいいるの。みんなあってよかったって思うかもしれないんだけど、あって良かったじゃなくて、そういった子供たちが、もしみんながそうだったらどうするか。こういう勉強できるってことは、実はすごい幸せなことなんです」
15年前からポーランドで暮らす坂本さん。ウクライナへの支援には「後悔したくない」という強い思いが込められています。
坂本さん
「2011年に東日本大震災があった時に、私もうポーランドに住んでいて。周りはポーランドの日常生活の中で、自分だけが日本に対して心だけそこに持っていかれた、その辛さっていうか、一言で言ってしまうと、罪悪感を感じてずっと生きてきたんですよ。その罪悪感をどこかで解消したいという思いもあって」
いまだ平和への出口が見えない中、アメリカのトランプ大統領は戦闘の終結に向けて、ロシアとの和平交渉を進めようとしています。
坂本さん
「私もいろんなウクライナの子供たちと接する中で、1週間でいいから停戦してほしいと思うんですね。 今日は空襲警報がない、ゆっくり寝れるとか、そういった環境を1週間でも本当に3日でもいいから子供たちにあげたいと思っています」
ロシアによるウクライナ侵攻から3年。
日本は「戦後80年」という節目の年。改めて平和へ願いを寄せます。
坂本さん
「戦争というのはもちろん悲劇なんですけど、その悲劇を通じた平和のための人づくりということを進めていきたい。平和を求めるウクライナの子供たちも増えていますし、また、日本の子供たちも、このウクライナから学んで、将来平和を考えるような人づくりをしていきたい。平和のための人づくり、これをキーワードに今後も活動していきたいと思います」
県が把握している数字では、ウクライナから長野県内に避難している人は今年1月19日時点で3人。このうち2人は飯田市内に滞在しています。中には公表を希望しない避難者や関係者もいるため、その人たちはこの数字に含まれていません。