ネコの保護活動続けて10年 NPO法人「もりねこ」の歩み 岩手県盛岡市
ネコの保護活動を続けている盛岡のNPO法人「もりねこ」が、2024年で活動10年の節目の年を迎えました。もりねこの活動10年を記念した冊子です。ネコのかわいらしい写真をたくさん紹介しながら小さな命を守ることの大切さを訴えています。遠藤記者の取材です。
盛岡市の中心部、菜園のビルの一室にある「もりねこ」。ここには20匹ほどのネコが暮らしています。暮らしているネコは全て保護ネコ。捨てネコだったり、飼い主が高齢になったなどの理由で飼えなくなったネコです。
NPO法人もりねこの工藤幸枝理事長は、妹がネコアレルギーだったこともあって、幼いころ好きだけど飼えませんでした。大人になって、ブリーダーからネコを購入したことがきっかけで、殺処分のことや野良ネコのことが気になり始めました。
NPO法人もりねこ 工藤幸枝理事長
「雪の中をネコが歩いているのを見て、うちのネコは雪なんか踏んだことがないのに外にネコがいるという状況がすごく不思議に思ってきた。今までは当たり前だと思っていた野良ネコが外にいる。何の疑問も持たなかった自分がネコと暮らし始めて外にネコがいるのってすごくつらいことなんじゃないか、かわいそうなことなんじゃないかとすごく感じ始めて、そこからいろいろ調べていくうちに、野良ネコの問題とか殺処分の問題、飼い主がいないネコがたくさんいるという問題を知って、何かできることがないかと考え始めたのがきっかけですね」
もりねこがこれまでに保護したネコは996匹。譲渡会などで876匹が新たな飼い主に引き取られました。譲渡会は毎月開催していて、3月は24日に行われました。
訪れた子ども
「(Qネコ好き?)好き(連れて帰りたいネコはいた?かわいいネコはいた?)うん(どの子がいい?お母さんに頼んで連れて帰れるかな?)ママはダメって言う絶対ダメって言う」
訪れた女性
「野良ネコちゃんとか見るとあっと思うので、こういう活動をしている方は本当にすごいなと思います」
訪れた男性
「今2匹ですけどもう1匹ぐらいは増えてもいいかなとは思います」
譲渡会は、ネコを引き取ってもらうだけでなく、もりねこの活動を知ってもらう良い機会になっています。しかし、里親になってもらうにも社会情勢が影響すると言います。
NPO法人もりねこ 工藤幸枝理事長
「物価高騰とか、いろいろな光熱費が上がったりとか皆さんの生活が苦しくなってきているということもあって、そういう中でネコの飼育費を考えるとなかなか飼育を躊躇してしまう方も多くなっている気がします」
盛岡市は2016年度まで、毎年ネコの殺処分を行ってきました。しかし、2017年度からもりねこと協力してボランティア支援などの活動を展開し、以来7年間殺処分ゼロを続けています。
盛岡市保健所動物愛護担当 獣医主査 岩崎ささ子さん
「ネコの問題というのがネコの繁殖力によって数が増えやすいことに起因しているので、多頭飼育崩壊の問題にしてもそこはすごく大きい。飼い主のいないネコ専門の去勢手術避妊手術のクリニックを立ち上げたというのはこの地域にとってものすごく大きいことだなと思っています」
もりねこは、保護活動だけではなく、2022年10月「もりねこ診療所」をオープンしました。ここでは野良ネコや保護ネコの避妊去勢手術を専門に行っていて、これまでの1年半で500件もの手術を行っています。
NPO法人もりねこ 工藤幸枝理事長
「保健所とか私たち保護団体だけが問題を知って何とかしようとしているだけではなく、社会全体でこういう問題があることを共有して、例えば引き取るだけではなくて何か支援をしようとか、施設の費用とかお掃除だけでもしてみようとか、ネコの預かりとかいろいろな方法があって、飼うだけではなくていろいろ私たちも提案していこうと思っているので、いろいろな方に参加してもらいたいと思っています」
老後もかわいいネコと暮らしたいと願っても、高齢者にとって自らの病気や、あるいは生活の変化などから不安を持つ人も少なくありません。そこで、もりねこが主催し盛岡市保健所も共催する「ねことの暮らしを考えるお話し会」が4月20日に開かれます。