【二刀流】リンゴ農家×ダンサーとして活躍 モットーは「楽しく」 岩手・奥州市
大谷選手のように「二刀流」で頑張る人たちを紹介する、11月のシリーズです。2回目は、江刺りんごの生産者にして、ダンサーとしても活躍する男性です。どちらにも共通するモットーがあるんだそうです。
二刀流で活躍する大谷選手の故郷、岩手県奥州市。中でも江刺地区の特産といえば、リンゴ。収穫の最盛期を迎えているりんご園・岩渕ファームの岩渕世寿人さんが今回の二刀流の主人公です。
岩渕さん
「江刺で一番有名な『サンふじ』で、いつだったか1箱140万円の値段が付いたりんごですね。あの、農業のイメージちょっと変えたくて、ちょっと服装とかも小ぎれいにしたいですし、やはりオシャレに農業楽しみながらやってますね」
岩渕さんのモットーは、「農業も楽しく」。実は岩渕さん、リンゴ農家の他に活動していることが…
岩渕さんのもう一つの顔、それがダンサー!現在は県内を中心にリンゴ農家とダンサーの二刀流で活躍しています。
岩渕さん
「これはEXILEのUSAさんのサインですね。色々バックダンサーは経験してまして、歌手のAIさんのバックダンサーは仙台でも踊ったりとか、サザンさんの後ろで踊ったりとかしてましたね」
そう、もともと岩渕さんは数々の有名アーティストのバックでダンサーを務めていた実力派。18歳で東京の専門学校に入学し、ダンスのスキルを磨きました。奥州市にUターンし、家業のりんご園で働くようになったきっかけは、東日本大震災でした。
岩渕さん
「地震がきっかけで、もう岩手に帰ろうというか使命感みたいなのがちょっと出てきて、ダンスも諦めきれない部分はあったんですけど、それよりも地元にちょっと貢献したいなという気持ちの方が大きかったので帰ってきました」
故郷に戻って13年。今では一家でリンゴ栽培に力を入れる岩渕ファーム。兄の勝之さんもまた、農業を盛り上げるため、弟と共に様々なアイデアを出し合います。
兄・勝之さん
「兄弟でタッグを組んだらもっと面白くなるかなという、プラスの発想ですね。やはり得意分野はそれぞれ違うと思うので、商売というか、そういう部分でアイデアを出したりとか」
岩渕さん
「それこそうちのブランドをみんなに知ってもらいたいというのもあって、こういうユニホームだったり。やはり若い人がどんどんいなくなってますし、年配の方も70代とかで、あと10年後もしかしたら農業やってないという可能性もあるので。若い人どんどん取り入れていくために、こうやってオシャレにやっていきたいと思ってる」
農業のイメージを変えるため、オリジナルのパーカーや帽子なども製作。さらに、リンゴジュースなど加工品のパッケージデザインを一新し、若い世代が興味を持つ工夫をしてきました。
父親
「まさかね、うちの代で終わりかなと半分諦めてた部分もある。まさか(息子)2人がやってくれると思わなかったね。ニ男はニ男、三男は三男で特技があるから。それが兄弟でうまくやっていければいいなと思ってます」
地元江刺の農業を変えようと、日々奮闘する岩渕さん。その姿は、地元の農業関係者にもいい刺激となっているようです。
岩渕さん
「店長すごくうれしいのが、自分よくこういうキャップとか被ってるんですけど、店長買ってくれたんですよ 」
店長
「そういう発信っていうんですかね。若い人たちにも農業ってこういうものだと興味を持ってもらえるような取り組みもされていると、個人的には思ってます」
農業の発展に向け、精力的に活動をする岩渕さんですが、もう一つの顔、ダンサーに対してはこんな本音が…
岩渕さん
「(東京の)未練はちょっとありますね、正直。同期の子たちだったり一緒に組んでた後輩とかがテレビで活躍されてたりとか、優勝したりしてるのを見てると、ちょっと羨ましいなみたいな部分はありますけど、先輩が『地元戻ってダンス教えてみなよ』と言われたので。ダンス上手くなりたいというのはあまり無くなって、むしろ子供たちにダンスの楽しさ伝えたいなっていう気持ちにだんだん変わってきたので、今は結構満足してますね」
奥州市水沢にあるレンタルスタジオ。岩渕さんは2012年からダンススクールを開き、週に2回子どもたちにダンスのレッスンをしています。
教えているのは、主に地元に住む10代の子どもたち。今では生徒数も増え、躍ることの楽しさが子どもたちに広まっています。
生徒「他のスクールでは習えないような動きだったりを取り入れたりしてるので、そこがすごく面白いなと思いながら」
生徒「ダンスで気持ちを伝えるだとか、楽しい気持ちをお客さんに伝えるために、どうやって自分が表現したらいいかというのをすごくヨス先生から学んでます」
岩渕さん
「笑顔で踊ってもらってるというのが楽しいですし、お客さんも一体となって笑顔になってるという姿を見て、それが一番楽しいです。やはりつらいと思ってやっていたら、時間が進むのも遅いですし、そうなると『ちょっとここのリンゴ買うのよそうかな』みたいな。楽しくないとやはりお客さんにも伝わらないと思うので。口癖なんでしょうね"楽しい"というのが。人生やっぱり楽しみたいですね 」
ダンサーとリンゴ農家の二刀流。野球を楽しむ大谷選手の故郷で、岩渕さんは「楽しい」を発信していきます。