トラック運転手の時間外労働に上限スタート 「2024年問題」懸念 天童市の運送業者に聞く
物流業界では1日からトラック運転手の時間外労働に上限が設けられました。一方で運送の現場からは1日に運ぶことのできる荷物が少なくなるなどいわゆる物流の「2024年問題」を危惧する声が上がっています。山形県内の運送業者を取材しました。
国は労働者の働き方改革を進める一環で1日から、トラック運転手の時間外労働について年間960時間を上限と規制しました。さらに、4時間連続で運転するごとに、30分以上の休憩を確保することや業務と業務の間に最低9時間の休息を設けることなども定められ、ドライバーの労働時間がこれまでに比べて短縮されました。その一方、1人のドライバーが扱える荷物の数が減り、収入の減少や荷物が届きづらくなる恐れがあるなどいわゆる物流の「2024年問題」が懸念されています。
天童市内の運送業者で聞きました。
ドライバー歴8年「1日走れる時間が短くなるのでドライバー個人が走る時間を考えて動かないといけないのでそこが大変。月トータルで稼げる日数が減ってしまうので不安」
県トラック協会 熊沢貞二会長「働く人の健康管理は当然のことだと思うが、働く人からすると息苦しさを感じるんじゃないか」
天童市の運送会社「ベア・ロジコ」を経営し県トラック協会の会長も務める熊沢貞二さんによりますと、これまで、物流の業界では配達先までの距離からかかる時間を計算してドライバーの賃金を決めていたため、時間外労働という概念がありませんでした。
規制によってこれまで以上にドライバー1日の労働を管理し、決まった時間の範囲内で休憩や配達を行わなければならないといいます。そのため、これまで1人で行ってきた業務を複数で分担して行うなどの工夫が求められ、より多くのドライバーが必要になるということです。しかし、近年は業界全体で人手不足が深刻な課題になっているといいます。
県トラック協会熊沢貞二会長「ドライバーの平均年齢が高くなってきている。ベテランの人が抜けるとそれを補充することが大変厳しい状況」
規制をきっかけに長時間労働をなくすことで、若い人材の確保につながることが期待されています。
ドライバー歴1年「規制がかかって色々大変な面はあると思うが、少しでも労働時間が軽減できていくのであれば法改正に従いたい」
この運送会社では、今回の規制で仕事量が減った場合、ドライバーの収入を保証するなどして人材を確保し安定した運送体制を作るよう対策しているということです。
しかし、「2024年問題」を解消するためには企業努力だけでは難しいとして、消費者に対して再配達を防ぐ宅配ボックスの利用などドライバーの負担軽減への理解を求めています。