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米沢市周辺に生息する「吾妻の白猿」 3匹のうちめったに姿をみせない「とくら」を撮影

2023年12月20日 18:17
米沢市周辺に生息する「吾妻の白猿」 3匹のうちめったに姿をみせない「とくら」を撮影

山形県米沢市周辺にのみ生息が確認されている白いサル「吾妻の白猿」。現在生息しているのはわずか3匹と見られています。3匹のうち1匹はめったに出合うことのできない白ザルですが、その姿を追い続けたYBCのカメラがついに撮影に成功しました。

全国でも米沢市内の西吾妻山周辺でのみ存在が確認されている白いサル「吾妻の白猿」。真っ白い毛に覆われ、その神秘性と珍しさから地元では「山の神の使い」とも呼ばれています。
その吾妻の白猿に魅せられ、40年以上にわたって追いかけている男性がいます。米沢市の縮文夫さん(85)。白ザルの観察を行う「白猿会」の会長で、市からの依頼で生態調査も行っています。「吾妻の白猿」の生態を最もよく知る人といっても過言ではありません。

縮さん「綱木川ダムができる前に雪景色を撮りに行った。そのとき、2匹の白ザルが雪の上を歩いていたおお、これが白ザルかと感動したのが最初」

YBCでは過去に何度も縮さんに同行し、その白い姿の撮影に挑みましたが、カメラの前に姿を見せてくれることは滅多にない貴重な存在です。
カメラマンが最初に白猿に出合うことができたのはことし2月でした。

発見「下の方に、見える?」「あ、いました」

撮影したのは1歳のメス「さくら」。そして、3歳のメス「つばき」の2匹です。普通のサルと比べると色の違いは一目瞭然。周りに積もった雪のような白い姿は、まさに「神の使い」を感じさせました。

縮さん「見つかってよかった。おかげさまで魅力は見た通りだな探し当てるのも待つ時間も楽しい」

山形大学で白ザルを研究している小酒井貴晴教授は次のように話します。

小酒井貴晴教授「山形の特徴は群れとして年に1、2匹白猿が必ず出てくる。日本においては間違いなく山形だけ非常に珍しいサルの群れだと思う」

吾妻の白猿がなぜ白くなるのか。現在もその理由ははっきりとは分かっていません。小酒井教授は、西吾妻山周辺のサルが持つ遺伝子が原因と推測しています。

小酒井貴晴教授「色の原料を作る遺伝子がいくつかあるがそのうちの2個にほかのサルと違いがあるこれが白猿が生まれる原因の可能性がある」

縮さんによりますと、米沢市内で現在生息が確認されているのはわずか3匹。しかし、まだ出合えていない3匹目に合うのはとても難しいと言います。

「10匹くらいの小さい群れだ。いないなとくらはいないと思う」

「とくら」と名付けられた3匹目の白ザル。その姿も撮影したいと何度も取材を続けましたがに出合うことはできませんでした。

米沢市内が白い雪で覆われた11月25日。
「とくらが山のふもとに降りてきている」と縮さんから連絡を受け、現場に向かいました。

縮さん「こっちからずーっときてカーブのところから上がってしまった。いま上がったばかり一瞬を逃してはダメ。わずかな時間だけど」

周辺にはサルの姿が確認できますが、白いサルの姿は見えません。先ほどまで「とくら」がいたということですが、すでに山の中に入ってしまいました。

縮さん「あとはどこにいるか・・・ここに降りてくればきのうはこっちの田んぼにいて上に上がった」

しかし、縮さんは再び姿を見せる可能性があるといいます。

群れの動きとしては出てきそう?「出てきそうだね。もう大きいサルも出てきてる。鳴き声もだんだん田んぼの方に移動してる」

山から移動してくるタイミングを狙うため、同じ場所でサルが出てくるのを待つことにしました。
カメラを向けながら待つことおよそ1時間。

。縮さん「あ~いた、来た来た撮った?抑えた?」

最初の撮影からおよそ10か月。ついに3匹目の白ザル「とくら」の姿をカメラが捉えました。

縮さん「あれがとくら」

縮さんもすかさずカメラのシャッターを切ります。

縮さん「ビデオも大丈夫だな。撮った撮った。待ったかいがあったな。こんなに近いのは滅多にない」

この日、民家になっているカキを手にしている白ザルの姿がありました。貴重な存在の白ザルですが、一方で、空き家の増加に伴い生息範囲が里山に近づいていて、近年は農作物被害も出ています。

縮さん「地元の方で花火上げるなど対策している。白ザル可愛いといったって農家の人を考えると面白おかしくはできない。これがなければみんな楽しく白ザルを見られるんだけど」

神秘的で米沢市のシンボルの一つにもなっている「吾妻の白猿」。一方で、近年、白ザルの生息範囲と人間の間の距離が近づいていることによる影響といった難しい課題も生まれています。

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