【ニュースその後】「途方に暮れる」住宅8棟全焼…爪痕残る過疎の村 “クラファン”活用し復興へ 山梨・丹波山村
2024年に伝えたトピックスのその後を追うシリーズです。10月、山梨県丹波山村で住宅8棟を全焼した火災。過疎の村が直面する厳しい現状と復興に向けた動きを追います。
10月8日の夕方、東京都に隣接する丹波山村の鴨沢地区で発生した住宅火災。現場は空き家などが密集した傾斜地で、火は上へ上へとほかの家に燃え広がりました。
火が消し止められたのは出火から約14時間後のこと。失火とみられますが結局、空き家5棟を含む住宅8棟が全焼しました。
丹波山村総務課 長谷川達弥 課長
「こちらが火災現場です」
丹波山村総務課 長谷川達弥 課長
「見ていただいて分かると思うが、家が数少ない中で8軒燃えた跡があり今、非常にさびしい風景になっている」
火災から2か月余り。家を失った3世帯の住民は村外の家族を頼ったり、村営住宅に生活の拠点を移したりしました。焼け跡のがれきは今もそのままです。
残った地区の住民は23世帯34人。 多くは高齢者で「このままでは若い世代が集落を離れてしまう」と不安の声を上げています。
鴨沢地区の住民
「焼け跡を見るたびに思い出すし私はもう歳だから何年生きられるか分からないけど、子どもたちはこれからどうしていったらいいんだか、途方に暮れる」
がれき撤去の費用は1棟当たり約100万円。高齢化が進んだ住民には重い負担です。
村も手立てを考えましたが、自然災害と違い直接的な支援は難しいと頭を抱えていました。
丹波山村総務課 長谷川達弥 課長
「どうしても全てが民間の持ち物で、(撤去に)税金を投入することができない状況。大変困っているところです」
こうした中、村が望みを託したのはインターネットを通じて資金を募る「クラウドファンディング」です。
丹波山村の人口はわずか500人。過疎が進む一方で近年は首都圏からの近さも手伝い、都市部との交流人口は増加しています。
丹波山村総務課 長谷川達弥 課長
「ここ鴨沢地区は東京都で一番高い雲取山の登山口になっている。ぜひ多くのみなさまに(クラウドファンディングに)ご協力いただき、ここを何とか片付けられればと思っている」
クラウドファンディングの目標額は800万円。開始から1か月余りで200万円を越えました。募集期間は来年2月まで。村はホームページで協力を呼びかけています。
丹波山村総務課 長谷川達弥 課長
「(目標額の)800万円に到達したら、その資金を焼け跡の撤去費用にあてさせていただき、その後は復興を目指してこの地区を復活させるようなことを考えている。みなさんからのご協力を本当にお願いしたいと思う」
村に愛着を持つ人々の力を借りて、焼け跡からの復興を目指している丹波山村。火災が残した爪痕は、過疎地域の厳しい現状を浮き彫りにしています。