【今どこに?】集団で殺害した男性は人違いだった…『六本木クラブ襲撃事件』から12年 リーダー格・元『関東連合』見立真一容疑者は現在も逃亡中…警察はフィリピンと日本の“4都県”をマーク
2012年9月、東京・六本木のクラブのVIP席で、飲食店経営の男性が集団で襲われ殺害された事件。その後の捜査で、人違いで事件に巻き込まれたことが判明し、『関東連合』が関与したことも明らかになりましたが、リーダー格とされる見立真一容疑者はいまだ逃走しています。12年が経った2024年、警視庁は新たな似顔絵を公開。見立容疑者は今、どこにいるのか?警察がマークする潜伏先とは?元『日刊まにら新聞』記者・水谷竹秀氏、元埼玉県警捜査1課・佐々木成三氏のダブル解説です。
■わずか5分…男性を金属バットで殴って殺害 日本を震撼させた『六本木クラブ襲撃事件』
2012年9月2日。防犯カメラは、東京・六本木のクラブ『FLOWER』前に停められた2台のワンボックスカーから降りてくる男らを捉えていました。白い手袋をした男の手には、金属バットのようなものが…。
その後、男ら9人は『FLOWER』の奥にあるVIP席に向かい、座っていた被害男性を金属バットのようなもので1~2分間・無言で殴り続けたといいます。現場に到着してから逃走するまで、わずか5分の出来事でした。
事件発生から約3か月後、警視庁は襲撃に関わった疑いのある男らを特定。その後の捜査で、死亡した男性は犯行グループとトラブルはなく、人違いで事件に巻き込まれたことがわかりました。そして2013年1月、主導的な役割を果たしたとして『関東連合』元幹部・石元太一受刑者らをはじめとする18人を逮捕しました。
しかし、リーダー格で“残虐王子”の異名を持っていたとされる『関東連合』元メンバー・見立真一容疑者(現在45/写真撮影時33)は、事件の2か月後にフィリピンに入国していたことが判明。事件以来12年も行方がわかっておらず、現在も逃走中です。
2013年には殺人・凶器準備集合の疑いで国際指名手配を受け、懸賞金上限額は600万円(国籍問わず)となっています。
フィリピンで日本語新聞を発行する『日刊まにら新聞』の元記者で、現在はノンフィクションライターとして活動する水谷竹秀氏は、事件当時、見立容疑者のフィリピン逃亡を報じたといいます。
Q.見立容疑者がフィリピンに入国したことは、間違いないのですか?
(元『日刊まにら新聞』記者・水谷竹秀氏)
「間違いないです。事件発生から1週間後ぐらいにフィリピンに入っていて、その後、韓国・ソウルやインドネシア・ジャカルタなどアジアを周遊し、最終的に2012年11月にフィリピンに戻ってきています。恐らく、フィリピンに行ったほうが良い事情があったのではないかと、私は見ています」
■フィリピン人になりすまし日本入国の可能性も?考えられる潜伏先とは
警視庁ホームページによると、予想される立ち回り先として『フィリピン』と『日本』の名前が挙がっています。
水谷氏の取材によると、「2023年10月、フィリピンの入国管理局に聞いた時は、マニラのコンドミニアムに潜伏している情報をキャッチして、実際に捜査員を2人派遣している。入管側は、首都・マニラにいるという情報を把握していた」としています。
Q.マニラのコンドミニアムは値段が上がっていて、とても高いですよね?
(水谷氏)
「高いですけど、日本と比べると物価は2分の1~3分の1ぐらいです。もし『関東連合』からまとまった逃走資金が渡っていれば、いまだに逃亡生活は可能なのだと思います」
Q.「コンドミニアムに捜査員を派遣した」ということは、12年経ってもフィリピン側は相当動いているということですか?
(水谷氏)
「僕も、その話を聞いた時に驚きました。また、それ以外の可能性として、フィリピン国内で生計を立てている、あるいは『ひょっとしたら亡くなっているのではないか』ということも言っていました。もう一つは、やはり日本国内にいる可能性もあって、その場合はパスポートを偽造といいますか、なりすましで発行しなくてはいけません。そうなると、日本のパスポートはチェックが厳しく難しいので、フィリピンのパスポートを使って出国している可能性は、あるかもしれません」
Q.フィリピン人として、ということですか?
(水谷氏)
「フィリピン人として、ということです。顔写真は本人ですが、フィリピン人の名義を使っている可能性はあります。ただ、フィリピンから日本に直で行くにはビザが必要なので、例えばタイなど、ビザを取らなくていい国などを経由して日本に行くというパターンも、なくはないです」
Q.フィリピンには小さな島々がたくさんあり、一時期、そういった所に逃げているという話もありましたよね?
(水谷氏)
「ありました。私も取材を続けている中で『関東連合』の幹部から接触を受けたのですが、彼らも、捜査当局も、“セブ島など南のほうの島にいるのではないか”という情報を把握しています。あるいは、もっと南にミンダナオ島という島があって、そこから船でマレーシアやインドネシアに密入国といったルートも、なくはないです」
また、12年に及ぶ見立容疑者の逃亡には、手助けしている人物がいる可能性があるといいます。
(水谷氏)
「フィリピン側の事情に詳しい人のバックアップは、あるかもしれません。見立容疑者には、ほぼフィリピンでの生活経験はないと思いますので、その彼がいきなりフィリピンに行って、捜査の網の目をくぐって、逃亡生活が長期間できるのかどうかは、ちょっと疑問です」
■「土地鑑のある場所が挙げられている」日本に潜伏の場合、東京・静岡・埼玉・宮城の可能性大
見立容疑者が日本に帰国している場合、潜伏している可能性が高い地域として挙がっているのが、東京・静岡・埼玉・宮城の4都県です。
元埼玉県警捜査1課・佐々木成三氏によると、「水谷氏がおっしゃったように、“偽造パスポート”で日本国内に帰ってくる可能性も十分あります。その中で、見立容疑者が以前住んでいた場所・『関東連合』の拠点がある場所・匿う人物がいる場所など、土地鑑のある場所が挙げられている」ということです。
Q.日本の警察も、この辺りは重点的に調べているということですね?
(佐々木氏)
「調べていると思います。もちろん、この情報は東京・静岡・埼玉・宮城の4都県にも共有していますので、捜査班だけではなく、各都道府県警も力を入れて捜索しています」
Q.日本に帰っていたとしても、12年間も潜伏し続けるのは非常に難しいと思いますが…。
(佐々木氏)
「難しいと思います。ただ、日本国内にいる場合は、公開手配をして幅広く情報提供することで、情報が集まってくる可能性は十分あると感じます」
■警視庁が新たな似顔絵公開「この事件を風化させたくない」
警視庁は2024年8月29日、現在の見立容疑者を想定した新たな似顔絵を公開しました。経年変化による痩せた顔・太った顔・笑顔など計4枚です。
Q.このタイミングで新たに似顔絵を公開した意図は、何でしょうか?
(佐々木氏)
「12年も経つと、公開手配されている写真とは容姿が変わっていると容易に予測できますし、多くの人に記憶を喚起させる目的もあります。ただ、今はAI技術がありますので、整形したらどうなるのかなど、いろんな情報を提供できます。『この事件を風化させたくない』という警察の強い考えもあると思います」
Q.今回新たに公開された似顔絵は、フィリピン国内でも出回っているのでしょうか?
(水谷氏)
「公開翌日にフィリピンの捜査当局に確認しましたが、把握はしていませんでした。ただ、その情報は知りたいということだったので、見立容疑者に関してはかなり過敏に反応するというか、マークしている意識はすごく強いなと感じました」
■「海外からの情報提供にも懸賞金」情報提供は03-3479-0110まで
見立容疑者に関する情報提供は、03-3479-0110(警視庁麻布警察署)までお願いします。有力情報の提供者には、最高で600万円が支払われます。警視庁は、「海外からの情報提供にも懸賞金は支払われます。広く情報提供をお願いしたい」としています。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年9月3日放送)