【独自取材】「私が一番バカでした」偽・森永卓郎氏と偽・堀江貴文氏に騙され2000万円以上を失った被害者が激白「自分は大丈夫と思っていた」 急増する“著名人なりすまし投資詐欺”…あなたがやり取りしているその有名人、本当に“公式”ですか?
今、急増している“著名人になりすましたSNS型投資詐欺”。『ミヤネ屋』は、“偽・森永卓郎氏”が呼び掛ける詐欺広告によって、実際に2000万円もの投資詐欺に遭った被害者を独自取材。「そんな詐欺広告に、私は絶対騙されない」―そんな方こそ危ない、巧妙過ぎる偽広告とは?自身もニセ広告に使われてしまっているという、元経産官僚・岸博幸氏の解説です。
「私が一番バカでした」“森永卓郎氏を名乗る人物”のオススメ株に次々と振り込み、総額2000万円の被害に遭った女性 騙されたと気づいた後に頼ってしまったのは、“公式・堀江貴文”を名乗る人物
(Aさん)
「もう、生きてられないという感じ。あぁ、何てことしてしまったんだろうと思って…」
こう落胆するAさん(70代)。日頃から株式投資をしていて、今後の株価の動向が気になってネットで検索したのは、2024年2月末のことでした。
(Aさん)
「自分が開いたホームページに顔写真が7~8人載っていて、そこに森永さんやホリエモンの名前があったんです。一個一個、顔の下にLINEの窓口があって」
Aさんが行きついたのは、経済アナリスト・森永卓郎氏ら著名人の写真が掲載された、投資を呼び掛けるホームページ。写真の下にはLINEの友達登録に繋がるリンクがあり、クリックしたところ、森永氏(を名乗る人物)と繋がったといいます。
-(偽・森永卓郎氏)
-『投資市場においては、タイミングが非常に重要です。一瞬のチャンスを逃すこともあります』
巧みな口車に乗せられ、Aさんは疑うことなく“お買い得株”について相談。開始2日で11万円の儲けが出たため、すっかり信じ込んでしまいました。
-(Aさん)
-『先生もお体充分ご自愛くださいませ』
-(偽・森永氏)
-『あなたの心配をしていただき、ありがとうございます。私の体調は回復に向かっています』
言葉におかしい部分があるものの、特に違和感に気づくことはありませんでした。
少しでも投資の指示に背いた場合は…。
-(偽・森永氏)
-『残念ながら私が提供した操作戦略に従って実行できないことは遺憾です。今回逃したら次にいつ来るかは未知数です』
(Aさん)
「専門家じゃないと、ここまでつづるかっていうような文章。だから、私みたいに浅はかな人間は、騙されちゃう」
さらに3月頭には、偽・森永氏のアシスタント『香子』から、老後の“資金倍増計画”と称して追加の投資を持ちかけられました。
(Aさん)
「最初に200万円。次に100万円振り込んで300万円になって、じゃあ500万円にしようかって200万円振り込んで、そのうち何だかんだ言うから900万円、そこから600万円振り込んで、全部で2000万円」
“資金倍増計画”に費やした金額は、1週間で計2000万円。ある“投資アプリ”を紹介され、そこで投資用の口座を開設したといいます。株を売買するタイミングは全て、アシスタントが指示。Aさんは、指示が来ると即、株を売買。得た儲けや損失は、逐一アシスタントに報告していました。
Q.資金を投資するのは、どのような方法でしたか?
(Aさん)
「口座振込です。お金を振り込むためのLINE登録を、もう一つするんです。そこに、例えば『300万円振り込みたい』と言うと、『今、口座番号をお知らせしますね』と来るんです。『30分以内に口座に入金してください』って。とにかく30分以内です」
投資用の資金は、全て銀行振込。指定された振込口座には、個人名義のものもありました。
(Aさん)
「個人名や会社名だったりするので、その時には『え~』と思ったんですけど、まぁ魔が差して、振り込んでしまって」
みるみるうちに、“投資アプリ”上での利益は3000万円超えに。元本の2000万円を合わせると、5000万円を超えました。
しかし、3月末に“資金倍増計画”を終え、いざ金を引きだそうとすると、手数料として500万円が必要だと判明しました。支払うための所持金がなく、先に“引き出し”を依頼するも…。
(Aさん)
「結局、凍結されて、全然アプリも動かなくなっちゃった。そのうち、アプリもなくなっちゃいました」
4月初めには“投資アプリ”が消え、アプリ内の口座も全て消滅。実は投資アプリは架空のもので、ようやく騙されたことに気づいたといいます。
しかし、悲劇はこれだけでは終わりませんでした。
(Aさん)
「インターネットで調べ直して、『公式・堀江貴文』ってところにメールしたんです。『実は、森永さんのところで、こういうふうになっているんですけど、おたくのところは大丈夫ですか?』って」
Aさんは、詐欺被害を“偽・堀江貴文氏”に相談したのです。
-(Aさん)
-『私は森永卓郎さんの金取引に参加しまして、騙されてしまいました』
-(偽・堀江貴文氏)
-『これは詐欺です。もし私を信じていただけるなら、原油を購入して、あなたの以前の損失を取り戻しましょう』
そして、原油への投資を誘うと同時に送られてきたのは、マイナンバーカードを手に持つ堀江氏とみられる人物の写真でした。
-(偽・堀江氏)
-『私は自分の身分証を持っている写真を、資金の安全を保証する信託の証として使用しています』
Aさんは、こちらも信じて投資した結果、“偽・森永氏”と同様の手口で30万円が奪われてしまいました。被害が発覚後は警察に相談し、被害届を出したということです。
(Aさん)
「今まで、そういったものはすごく注意してきて、そういう話があっても『自分は大丈夫』と思っていたけど、私が一番バカだった」
Aさんも騙された“森永卓郎氏のニセ広告”について、森永氏の息子・康平氏は…。
(経済アナリスト・森永康平氏)
「父親を使った広告とかを見ていると、『がんで、残された時間はそんなにないから、皆さんに投資のノウハウを教えたい』みたいな形で書かれている詐欺広告が多くて、すごく怒っています」
その被害額は―。
(康平氏)
「聞いている限りで、二人合わせると10億円ぐらい。父親が7億円強、残りが僕って感じです。父親は、ラジオで自身の病気の最近の話とかする機会が多いのですが、そういう最近の話を広告に反映していたりするので、詐欺師も“顔を勝手に使っている著名人たち”が出ているラジオ・テレビの内容をある程度は見ているんだな、というのもわかります」
また、堀江氏の事務所は「ミヤネ屋」の取材に対し、「活動とは一切関係ありません」と話しています。
LINEグループの“友だち”が実は…巧妙すぎる手口を専門家が解説「詐欺師は“短期間で、どんどん追い込んで、お金を出させる”」
Q. Aさんは1週間に5回・計2000万円を振り込んでいますが、詐欺師は「今がチャンスです」「これを逃したらチャンスはないですよ」と煽って、訳がわからなくなって金を振り込んでしまうという心理にさせるんですよね?
(元経産官僚・岸博幸氏)
「投資詐欺をやる詐欺師たちは典型的に、短期間で『今がチャンス』『これを逃したら大変だ』ということを何度も言ってきます。“短期間で、どんどん追い込んで、お金を出させる”というのが、明確な手口だと思います。また、著名人を使った入り口からLINEグループに引っ張り込み、タチが悪い所だと、そこの会員も詐欺師側の人間で、『ここは大丈夫だ』みたいなことを言ってくるというのも聞きます」
Q.Aさんの場合は“偽・森永氏のアシスタント”が出てきましたが、グループLINEだと同じ投資講座に集まった“友だち”が、いかにも「儲かっています」みたいなことを言ってくるということですか?
(岸氏)
「そうです。明らかにサクラなんですけど、そのグループの“友だち”が『ここは信用できる』『自分は儲かった』というようなことを言ってくるらしいです」
Q.「無料で教えます」とあったら、本を出版している著名人だと特に、「本のPRも兼ねて無料なのかな」と思ってしまいそうですよね?
(岸氏)
「知り合いからも“変な詐欺がある”と連絡をもらうんですけど、『よくネット上で講演や本の告知があるが、本物なのか区別がつかない』と言われます。これも問題だと思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年4月24日放送)