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【独自解説】12月の改正法で「固定資産税6倍」に⁉増加の一途を辿る『空き家問題』取り巻く厳しい現実…しかし多くが“きれい”で海外からは大注目!活用できる未来は―

2023年11月27日 16:00
【独自解説】12月の改正法で「固定資産税6倍」に⁉増加の一途を辿る『空き家問題』取り巻く厳しい現実…しかし多くが“きれい”で海外からは大注目!活用できる未来は―
「空き家対策」改正法で税金6倍に⁉

 日本全国で増加の一途を辿る「空き家問題」。2023年12月に法律が改正され、空き家を放置していると、税金が6倍になる恐れも…。空き家活用株式会社・和田貴充CEOの解説です。

20年で激増へ⁉放置するとコスト2000万円の恐れも

 早速ですが、クイズです。固定資産税が高いのは、どちらだと思いますか?

A:土地だけ
B:土地に家が立っている

 正解は、Aです。土地の上に家が立っていれば、固定資産税は更地のときの6分の1に減額されます(小規模住宅用地200平方メートル以下の場合)。しかし、12月13日に施行される改正法で、管理不十分な物件は固定資産税の軽減対象から外れることになります。これにより、固定資産税が現在の6倍に増えてしまう恐れがあるということです。

Q.その家に住めなくなったときに、別の家に住む家族や親戚がその家をどうするかということが今、問題になっていますよね?
(空き家活用株式会社・和田貴充CEO)
「核家族化で、昔なら実家にそのまま住むという流れがありましたが、今や一人ひとりが家を持つ時代で、相続した後も必要ないので、どんどん空き家が増えていっています」

 続いて、もう1問クイズです。15年後の空き家の数は?

A:約5軒に1軒
B:約3軒に1軒

 正解は、Bです。2018年時点の空き家数は849万戸で、空き家対策をしなければ、2038年には2356万戸になると予想されます。空き家率は32.0%となり、約3軒に1軒が空き家になるといわれています。

Q.マンションを含めた数ですか?
(和田CEO)
「そうです。マンションやアパートを含めた戸数が現状849万戸あって、今後2000万戸以上になります」

 空き家の数が日本一多いのが、東京・世田谷区。一つの区だけで、約5万戸あるといいます。その理由の1つは「23区最大の宅地面積だということ」、さらに「高齢者の人口が増えていること」です。

 さらに、背景には“人気都市ゆえの悩み”があります。世田谷区・建築安全課の千葉妙子係長は、「いつでも現金化できる、と思われている節もある。『いつか整理をやろうと思っているんだけどね』というような空き家が、増えてきていると思う」といいます。

Q.「いつでも現金化できる」とのことですが、世田谷なら空き家でも売れますか?
(和田CEO)
「やっぱり、売れるんです。でも、なぜ売らないかというと、“何となく”空き家にしている人が多いからです。相続した人に思い入れがあったり、片付けができなかったり、きょうだい間で話がついていないなどで、前に進めたいけど面倒で、そのまま放置しているケースが多いです」

 国土交通省の調査によると、放置する理由の第1位は「物置として必要」ということです。そして、「解体費用の負担」「使い道がない」と続きます。

Q.「物置」といいながら、親が残した物をずっと置いているということですか?
(和田CEO)
「その通りです。これが、横浜市立大学・斎藤先生が言う『何となく空き家』です。物置とは言い訳で、片付けができていないので、それがずるずると…というところです」

 また、空き家になるきっかけは、「両親が亡くなったとき」や「施設に入所するとき」など、想定外のタイミングだということです。

Q.想定はしているけど、まだ先だと思っていたら…ということですか?
(和田CEO)
「親が生きているうちに『家、どうするの?』などと話すと、『死ぬと思っているのか?』などとケンカになって大変なことになるので、言わない人が多いです。それで結局、亡くなった後どうしたら良いのか決められず、ずるずると空き家になってしまいます。お正月などにお酒を飲みながら、昔話でもしながら、流れでチラッとでも話しておいてほしいなと思います」

 しかし、空き家を放置したときのコストは高額です。「固定資産税」「火災保険」、現地までの「交通費」などの維持コスト、さらに修繕コストとして「リフォーム代」「ゴミの処分費用」「庭木の剪定代」などがかかります。場合によっては、総額で2000万円ほどになる恐れもあるということです。

(和田CEO)
「タレントの松本明子さんが本を出されていて、香川県のご実家を処分するまでに維持費だけで1800万円かかったということを書かれていました。それぐらいかかる可能性は十分あります」

話し合いや処分も難しく…空き家の厳しい現実

 「空き家」は、通年で人の出入りがなく、水道・電気・ガスの使用状況などを見て、空き家かどうか自治体が判断しています。12月の改正法の大きなポイントの1つが、「管理不全空き家」に認定できるようになることです。このまま放置すれば「特定空き家」になる物件は、指針に即して所有者を指導し、改善しなければ勧告、固定資産税の軽減は解除されます。

 「特定空き家」とは、「建物が倒壊する危険がある」「衛生上有害とみなされる」「周辺の景観を損なう」「生活環境を悪化させる」など周囲に著しく悪影響を及ぼす物件を指定するもので、改善されなければ代執行で行政側が撤去することもあります。これが、12月の改正法で強化されます。

Q.行政側が撤去するとのことですが、所有者不明な場合はどうするのですか?
(和田CEO)
「所有者がいない場合は、弁護士に管財人という形でなってもらい、解体した債権を請求するところまではできるのですが、それもかなり手続きがかかるので、職員さんも大変です」

Q.所有者が亡くなって、遠方に住んでいる家族や子どもが相続し、もう何年・何十年も会っていなかったとしても、代執行の費用を請求されるということは、あり得ますか?
(和田CEO)
「もちろんです。法定相続になりますので、その方に請求するという形になると思います」

 しかし、空き家を解体・リフォームしようとしても、費用が高額になる可能性が高く、深刻な大工不足で思うような施工ができないケースも発生しています。また、更地にすると、固定資産税が最大で6倍になる恐れがあります。

Q.解体して、すぐに家を建てる場合でも、固定資産税は6倍になるのですか?
(和田CEO)
「その場合は、1年以内など期間内に着工していれば、問題ありません」

 また、「不動産業者に売却」しようとしても、築年数が古い、立地が悪いなどの物件は需要が低いため、費用をかけてリフォームしても、買い手がつかない場合があります。無料での「寄付・譲渡」も、隣接する土地の所有者が希望するなどのケースを除き成立することは少なく、自治体も基本的には受け入れてくれないといいます。

Q.自治体も受け入れてくれないのですか?
(和田CEO)
「基本的には難しいです。建物が立っていれば、余計に難しいです」

 よく聞く「相続放棄」も、相続が発生してから3か月以内であれば可能ですが、「家だけ」は相続放棄できず、家以外の資産や負債の全てを手放すことになります。

実は90%は“きれい”な空き家…「AKIYA」として海外で大人気!

 今、海外で日本の古い家が大人気です。日本在住歴の長いアメリカ人2人組が「空き家ハンター」として1000件以上の空き家をリスト化し、外国人客に紹介しています。また、和田CEOのYouTubeも、視聴者の約10%が海外の方だそうです。

Q.海外の方は、日本家屋に興味のある人が多いのですか?
(和田CEO)
「大好きです。今、世界中から『AKIYA』と呼ばれ、日本家屋は信じられないぐらい良い物が安く買えるということで、注目されています」

 実は、空き家全体の90%以上がまだ十分に使える家で、倒壊の恐れがある「特定空き家」に指定されているようなボロボロの家は、0.2%程度だといいます。

Q.大改築しなくても使える空き家が、たくさんあるのですか?
(和田CEO)
「日本全国に『おもしろい空き家』や『使える空き家』がたくさんあるので、それはそのまま残して、次の世代に使ってほしいなと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年11月24日放送)

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