【ナゼ?】世界遺産・宮島に持ち上がった一部屋10万円以上の高級宿泊施設誘致計画を巡り市と住民が対立!島民の7割が反対署名を提出する事態に…「自然をどう守るかの説明がない」
世界遺産・厳島神社のある広島・宮島で、行政による高級宿泊施設の誘致計画が持ち上がり、住民らが猛反対する事態になっています。いったい何があったのでしょうか?
誘致を計画している場所は、宮島の厳島神社から約3km、車で約10分のところにある「宮島包ケ浦自然公園」です。ここに富裕層向けの高級宿泊施設を誘致する計画で、その場合誘致は公募になり、宿泊施設は主に2階建て、土地は貸し付けで、一部屋の平均価格は素泊まりで10万円以上(食事含まず)になる予定です。ここに誘致の話が持ち上がった背景は、この公園の利用者の激減にあるといいます。公園の利用者はピーク時の1991年は16万人を超えていましたが、2023年は約3万人程度になっています。赤字が続き、今年3月に有料施設は利用停止となってしまいました。廿日市市はここに高級宿泊施設を誘致することで、年間約2000万円かかっていた公園の管理費が削減され、島全体として年間約4億5000万円の経済効果があるとしています。
しかし、住民側の「宮島包ケ浦自然公園を守る会」の正木文雄共同代表は、「宿泊施設を誘致することにより自然環境を破壊する。島内で人手不足が生じ、時給が高騰する」などと反対の声を上げています。対して、行政側の廿日市市・松本太郎市長は「自然と調和した施設。従業員は島外から採用する。外国語専門スタッフなどを雇用する」としています。
5月23日、市民団体らが建設に反対する1万3815人分の署名を提出しました。これに宮島の島民は約7割が署名したということです。廿日市市は、ほぼ全体が「宿泊施設エリア」だったものから、新たに海岸全体を「公共エリア」とする案を6月に提出するなど、歩み寄りをみせています。また、市と住民で互いに意見を出し合う協議会を5月から開催しており、その中で「あくまで自然公園として残してほしい」「ホテルではない形でにぎわいができたらいいと思う」などといった意見が出ています。
廿日市市の松本市長は、「世界遺産が抹消されるのではないかとか、自然が破壊されるといった正確な情報が伝わってない方に、できるだけ早く正確な情報を伝えることが大事だと考えている」と話しています。
私たちの取材に地元住民からは、「自然をどう守るかの説明がない。このまま進めると思うとすごく不安」という声や「環境も大事。住民の意思も大事。発展も大事。その三者が合致するところでやっていただかないといけない」といった意見がありました。
次回の協議会は7月19日で、現地を視察する予定だということです。
(「情報ライブミヤネ屋」2024年6月26日放送)