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【解説】台風10号「非常に強い勢力」で勢力落とさず九州に接近 30日(金)に近畿方面に

2024年8月27日 18:46
【解説】台風10号「非常に強い勢力」で勢力落とさず九州に接近 30日(金)に近畿方面に

 (解説:蓬莱大介 気象予報士)

 衛星画像を見ていくと、台風の中心が奄美大島のすぐそばにあり、台風の目がはっきりしています。

■台風10号衛星画像(27日午後4時現在)

 まずポイントは、台風本体がどこに行くのか。あと、台風から離れているところでも、この時間、紀伊半島はあまり雲はありませんが、離れているところでも、南からの湿った空気の影響で雨が降る。秋雨前線の雲もありますので、台風から離れているところでも、日本海側も雨は降りやすい状況です。

 台風が接近している奄美大島の状況を見ていただきます。すごい風ですね。台風の中心の左側なんです。吹き返しの北風。台風というのは時計と反対回りに風が回っています。時計でいうと12時から9時の方向。北風ですね。奄美大島ではこの風が吹いています。台風の右側は、時計でいうと6時から3時の方向。南風なりますが、そっちの方が風強いんです。だから台風の右側に当たると、これの倍ぐらいの強い風が吹いているような状況です。

■迷走台風の理由は

 進路予想を見ていきます。まず28日(水)と29日(木)、台風がゆっくりと鹿児島県に近づいているような状況ですね。中心付近は最大瞬間風速が60メートル。今見ていただいた映像がだいたい30メートルぐらいの風なので、倍ぐらいの風が、台風の右側では吹いていることになります。

 ゆっくりと進み、30日(金)、31日(土)の予報円のブレ幅が大きいです。なぜゆっくりなのか?上空に流す風があれば、台風がある程度どこに進むのかというのは予想できます。例えば、太平洋高気圧がドーンと張り出してくれば、この高気圧が、見えない空気の壁みたいになって、この縁に沿って台風が進みます。

 しかし、上空の低気圧というのが、小笠原諸島あたりに発生していて、高気圧が張り出してくるのをブロックしてしまっている。そうすると、この縁を回る風はない状況。

 偏西風という上空の風、これが、朝鮮半島から日本海側が吹いています。この風に乗れば、スーッと日本海を進むのですが、今はまだ遠いです。そうなると、台風の自身の風で、どこに進むのかを予想しなければならなくなります。だからコマを回して、それがどこ進むのかというのを予想しなければならないぐらい予報が難しい。

 これがいわゆる「迷走台風」で、どんなに予想技術が発達しても、やはりブレ幅は、先の予想になればなるほど大きくなってしまう。

 28日(水)、29日(木)のあたりで、流す風がないのでゆっくり進み、台風の回転するコマが、ほんのちょっと北よりを進めば、日本海の可能性もあるし、ちょっとでも南に進めば、太平洋側の可能性もあるという状況です。ただし、きょう言えることは、中国の方に行くことはないです。

 西日本のどこかに進む。その進む場所によって、台風のどこに、右側が当たるかによって、風のエリアも変わってくるので、近畿地方も最悪を想定して備えをしていただきたい。

(Q、今の予報円で言いますと、九州に上陸する可能性は高いですよね。その後、関西に来るときに勢力というのはどうなるんでしょうか?)

 現在は、最大瞬間風速60メートルでゆっくりです。明日は、まだ種子島、屋久島と奄美大島の間ぐらい。時速はゆっくり、最大瞬間風速70メートル、勢力が強まります。

 29日(木)になると、九州に上陸するタイミングで、955ヘクトパスカルの最大瞬間風速60メートル。台風の右側に当たります。しかも時速はゆっくり10キロ以下なので、29日(木)まる1日かけて九州をゆっくりと進む。ちょっとでも北へ進めば日本海、ちょっとでも南へ進めば、太平洋側の可能性もゼロではない。

 続いて予報円見てみると、30日(金)午後3時の時点で、予報円のちょうど真ん中を通れば、瀬戸内海へ進む可能性がある。瀬戸内海を進むとどうなるかというと、海水温度が非常に高いので、これよりももっと強い勢力で、来てしまう可能性もある。発達する可能性がある。

 その先を見ていきます。31日(土)午後3時になると、かなりブレ幅は大きくなりますよね。きょうの段階で、近畿地方に関して言えることは、まず29日(木)に九州に接近するときに、台風から離れていても、南風で近畿南部を中心に、大雨になります。

 30日(金)の段階で、日本海を進むか、太平洋を進むのか、瀬戸内海を進むのか、どこを進むのかブレ幅はありますが、いずれにせよ、30日(金)午後から、遅れれば31日(土)にかけて、近畿地方は大きく影響が出る恐れがあります。台風の右側で、南風が強いという状況です。

 台風が、日本海を進むとなると、一番影響が出るのは近畿北部、近畿中部も大阪湾からのかなり強い風は吹きます。近畿南部も南西からの強い風が吹いて、大雨が広い範囲で広がります。

 瀬戸内海を通った場合は、特に京阪神は大雨、暴風になります。太平洋を進むと、近畿南部を中心に雨風は強いですが、大阪よりも北の地域は、紀伊山地に風がブロックされるので、比較的、影響は他の想定に比べれば雨風は弱まります。

 しかし、今のところは近畿の皆さんは、最悪を想定して、30日(金)午後から31日(土)にかけて備えをしていただきたいと思います。

 週間予報です。台風から離れていても、南からの湿った空気の影響で、ずっと雨ですね、31日(土)にかけて。30日(金)は今のところ台風が最も接近するタイミングではありますが、早まる可能性も、少し遅れる可能性もあります。

 きょうの段階で言えることは、30日(金)前後、雨風が強まる恐れがあります。台風から離れていても、雨量が大きくなりますので、特に近畿南部の方は土砂災害に警戒してください。総雨量は500ミリを超えてくる恐れもあります。

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