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【特集】「今から心臓マッサージのやり方を言うので、やってください!」“命の最前線”「消防管制室」で奮闘する『通信指令員』 中には救急車の出動を断らなければいけない場面も…求められる“集中力”と“判断力” SOSに応える24時間に密着

2024年5月6日 2:00

(薮内さん)
「木のおもちゃ屋さんです。こんな感じ」
(カメラマン)
「おっ、カメラ!すごい」
(薮内さん)
「思いがけないものを作って、思いがけない顔をしているのを見ることが楽しい(笑)」

 中学生の時から続けている木工細工が、仕事を忘れられる束の間の時間。腕前は相当なもので、ツーリングができる木製の自転車までも作ってしまうほど。

 薮内さんは高校を卒業してすぐ、希望していた消防局に配属。その後、消防隊や救急隊員として様々な現場を経験する中で、阪神・淡路大震災のすさまじい現場もくぐり抜けてきました。

(薮内さん)
「自分の思った通りに人を助けられなかったことが、すごくたくさんあります。心もへこたれるときがありますから、大勢の仲間に助けてもらった。自分は人を助けるけど、みんなに助けてもらっていた―そんな42年間です」

鳴り止まないSOSと真摯に向き合い、命を助ける『消防管制室』 ここは、“命の砦”であり、“命を救う最前線”―

-(通報者)
-「コンビニの前におっちゃんが倒れていて。お酒を飲んでいるのかな。酔っぱらっているのかもわからへんけど、『複雑骨折や』と言って倒れているんです」
(通信指令員)
「お兄さんに、ケガをしているのか確認してもらえますか?」
-(通報者)
-「『複雑骨折や』と言ってます」
(通信指令員)
「もう一回、確認して。酔っぱらっていたら、違うことを言うかもわからないから」
-(通報者)
-「お兄さん、足、大丈夫?今は大丈夫?『大丈夫』と言っています」

(薮内さん)
「はい119番、神戸消防です。救急車ですか?火事ですか?」

 この日の夜も、通報のコールが鳴り止むことはありません。

(薮内さん)
「男性・女性、どちらでしょう?」
-(通報者)
-「女性です」
(薮内さん)
「一番、今ツラい症状は何ですか?」
-(通報者)
-「もう意識がボーッとされていまして」
(薮内さん)
「その方、年齢は何歳?」
-(通報者)
-「80歳です」
(薮内さん)
「今、救急車を出動させたんですけど、まず患者さんに呼びかけて、目を開けるか試してください」
-(通報者)
-「目を開けられません」
(薮内さん)
「じゃあ、意識が全くないです。下あごを動かしながら、口を開けたり閉めたりするような、そんな口の動き・あごの動きはありますか?」
-(通報者)
-「あごの動きはありますね」
(薮内さん)
「念のために心臓マッサージをしましょう。心臓が止まりかけのときに、そういう動きがありますから。一回やってみて、嫌がる仕草があれば、やめたらいいです。今、とりあえず30回、やってみてもらえますか?」
-(通報者)
-「1・2・3・4・5・6・7・8…」
(薮内さん)
「どうですか?痛がるような顔つきがありますか?」
-(通報者)
-「それは、ないです」
(薮内さん)
「なかったら続けてください。生きている方にやってもかまいませんから、今は。救急隊が1分で建物の下に着きます。救急隊が横に来るまで、続けておいてください」

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