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31歳今井 最初で最後の箱根路に感謝の涙

2022年1月4日 19:49
31歳今井 最初で最後の箱根路に感謝の涙

今月2日・3日に行われた第98回箱根駅伝には、31歳で箱根駅伝に挑戦する異色のランナーがいました。

初出場・駿河台大学の4年、今井隆生選手。埼玉県の中学校で体育教師をしていましたが、2020年の4月に「自己啓発等休業」制度を利用し、駿河台大学の心理学部3年に編入学しました。

“1度目”の大学生活では日本体育大学に所属していましたが、陸上ではなくトライアスロンの道へ。卒業後も実業団でトライアスロンを続け、引退後も市民ランナーとしてトライアスロンを続ける中で、駿河台大学の徳本一善監督と出会い、駿河台大学でのトレーニングを重ねる中で箱根駅伝への思いが強くなった今井選手。駿河台大での“2度目”の大学生活で箱根路を目指すことになりました。

駿河台大学では10歳年下で、かつての教え子である永井竜二選手(3年)と再会しました。“教師と生徒”から“チームメイト”に関係性を変え、共に箱根駅伝に挑戦しました。

迎えたレース当日、4区を任された今井選手は1時間06分58秒の区間20位。小田原中継所ではかつての教え子・永井選手へのタスキリレーが実現しました。

走り終えた今井選手に対し、徳本監督が乗る運営管理車からは「2年間ありがとう。俺に謝ってきたらぶっ飛ばすから」と、“徳本流”の感謝の言葉が。今井選手はその場に立ち尽くし、涙を浮かべました。

レース後、開口一番「自分の中で悔いなく走れた部分はありますけど、順位を落としてしまって永井に申し訳ない。このままじゃダメだと思って走ったんですけど、力足らずというか。でもこれが自分の精一杯なので悔いはないです」と振り返った今井選手。

レースの感想を聞かれると「最後に監督に『ここにものを置いていくな。諦めないでここまで来たんだろ』と言われて、監督があってこの挑戦ができたので、本当に感謝しかないです」と、恩師・徳本監督と過ごした2年間を涙ながらに振り返りました。

終盤での徳本監督からの声かけについて「苦しいのに監督の言葉が心に突き刺さって、呼吸が逆にどんどんきつくなって、本当に監督とここまで来られたのは本当にうれしいです」と、感謝を改めて口にしました。

かつての教え子・永井選手へのタスキリレーを振り返ると「永井がいたから自分がここまで来られたと思っているので、あいつには感謝しています。ありがとうの気持ちを込めてタスキを渡した。あいつは僕がいることで苦労したこともいっぱいあったと思う。来年はあいつが駿河台を引っ張っていってほしい」と、エールを送りました。

「箱根駅伝は自分を成長させてくれる場だったと思います。僕は“箱根から世界へ”ではなく、この2年間を通して学んだことを体育教師として次の世代に伝えていくことが僕の使命なので、徳本監督に学んだ一番弟子として4月1日からこの思いを胸に教壇に立ちたいと思います」と、箱根駅伝に挑戦した2年間で得た経験を教師として伝えていく決意を口にしました。