箱根駅伝出場へ 31歳の4年生最後の挑戦
これまで数々のドラマがうまれた、箱根駅伝予選会。夢の舞台・本大会への切符をつかめるのは、41校中わずか10校です。
今年の注目は、箱根駅伝本大会初出場を狙う駿河台大学。特別な思いで挑むのは31歳の4年生、今井隆生選手です。
埼玉県の中学校で教鞭(きょうべん)をとっていましたが、より生徒の気持ちに寄り添える教師になりたいと去年心理学部のある駿河台大学へ編入しました。
今井選手は高校時代陸上部に所属。当時から憧れていた箱根駅伝の舞台に挑戦したいと駿河台大学で駅伝部に入部します。チームとしても本大会初出場を目指した去年の予選会。駿河台大学は5キロ地点、ボーダーラインの10位につけますが、レースは近年まれに見るハイペースの戦いとなり結果は15位。全員が自己ベストを更新したものの、箱根駅伝への出場はかないませんでした。
今年度で大学を卒業し、春からは再び教師に戻る今井選手。憧れの箱根駅伝出場へ、今回がラストチャンスです。
ミーティングでは積極的に発言し、苦しい練習の後には年下のチームメートに声をかけます。そんな今井選手について阪本大貴主将は「いい着火剤みたいな感じの人。熱いし、やるときはめちゃめちゃやるし、背中で引っ張っていってくれるところもある」と話します。
今年こそ箱根駅伝出場へ。チームは練習の量も質も去年よりレベルアップしました。夏合宿では、1キロを3分で走るメニューを20本。実はこの1キロ3分というペース、「10人がクリアできれば予選会を突破できる」と監督がチームに掲げてきた基準です。練習では苦しい終盤も全員が遅れることなく走り切りました。今井選手は「確実に強くなってますね。去年と同じ練習をしていても全然タイムが違いますし、チーム力は上がっているなというふうに感じています」と手応えを語りました。
念願の箱根駅伝初出場へ、今井選手の最後の挑戦が始まります。「あの時こうしておけばよかったとか、それだけは絶対に言いたくない。そんなカッコ悪いことはしたくないので。嘘(うそ)偽りのないスタートラインに立ちたい、自分自身が今持てる力をしっかり出したい、それが自分の今の目標です」
箱根駅伝予選会は23日午前9時35分にスタートします。