高校サッカー 矢板中央高校ベスト16で涙
第100回全国高校サッカー選手権。栃木代表・矢板中央高校は3回戦で東京B代表・関東第一高校と対戦。接戦の末に2-3で敗れました。試合を振り返ります。
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開始早々の前半6分、先制したのは関東第一。初戦の2回戦・米子北戦と同様に相手に先制された矢板中央は、早くも前半21分に交代カードを切ります。登録メンバーで唯一、下部組織・矢板SCの1期生、生え抜きのMF星景虎選手を投入。すると直後、持ち味のドリブルで相手ゴール前へ迫ると、関東第一からPKをもぎ取ります。これを島崎勝也選手が落ち着いてゴール左隅に決め1-1の同点。
しかし、直後の27分に再び失点。1点ビハインドで試合を折り返します。交代選手でリズムを作るのも矢板中央サッカー。ハーフタイム明け、高橋監督はFW小森雄斗選手、MF片岡駿太選手を投入。さらに46分にはスピードドリブラー・久野木力丸選手をピッチに送り込みます。
すると、その直後でした。右サイドをドリブルで駆け上がった久野木選手のクロスが相手ディフェンダーにあたってオウンゴール。選手交代が功を奏した矢板中央が逃げる関東第一に対して2-2、再び同点に追いつきます。
その後、お互い追加点を奪えずに迎えた後半終了間際の78分、関東第一にゴールを奪われ、3度突き放された矢板中央。無念の試合終了のホイッスルがスタジアムに響く中、ピッチに倒れこむ赤いユニホームの選手たち。矢板中央、100回大会は惜しくもベスト16で涙をのむこととなりました。
試合後、矢板中央の高橋監督は、「取り組んでいた新しいスタイルは、得点を挙げるというところで一定の成果は出せた。一方で堅守速攻を標榜していながらの3失点は、やはり多い。悔しさは当然あるが、最後まで諦めずに戦ってくれた選手たちをたたえたい」と話しました。
また、キャプテンのGK藤井選手は、「この悔しい思いは、次のステップでも大事になってくる。勝ちだけではなく、負けることからもしっかり学んで、さらに成長していきたい」と語ってくれました。
過去4度、準決勝に進出したものの、いずれも得点を奪えずに敗退した教訓から、今季は伝統の「堅守速攻」に、「ハイプレス」+αを信条に加え、得点を奪えるサッカーを標榜。ベスト4の壁越えを目指し、新たなサッカースタイルを実現するべく日々練習に取り組んできました。
Jリーグ内定の選手こそいない矢板中央ですが、大学進学などを経てプロ入りを決めた先輩たちは数多くいます。GK藤井陽登選手やMF大畑凜生選手など、多くの選手が大学へ進学する予定です。また、エースのFW藤野和哉選手はスペインに挑戦。「支えてくれた多くの人たちに感謝し、3年生それぞれが、それぞれの道で再出発して、立派な大人になってほしい」と高橋監督。矢板市を全国区に押し上げた矢板中央高校、これからも栃木のサッカー界を牽引していきます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/とちぎテレビ)