世界最速キプチョゲ“ストロング”な走りで圧巻V 日本国内初の2時間2分台
◇東京マラソン2021(3月6日 東京都庁~東京駅前・行幸通り 42.195キロ)
新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催となった東京マラソンに、オリンピック2連覇、世界記録(2時間1分39秒)保持者のエリウド・キプチョゲ選手(37歳・ケニア)が出場。
自身の持つ世界記録の更新とはなりませんでしたが、圧巻の走りを披露し、日本国内最高記録となる2時間2分40秒の大会新記録で優勝しました。
スタート直後、キプチョゲ選手を中心とした、海外招待選手らがトップ集団を形成。設定タイムより5秒ほど速いペースで走り、日本人選手は誰もついていきません。
レースは序盤から世界記録を上回る超ハイペースで進みます。10キロすぎにはペースメーカーがコースを間違えるアクシデントがあり、約10秒のタイムロス。それでもすぐにペースを戻し、世界新記録ペースの走りをみせます。
中間点をすぎてもなお世界記録を上回るペース。すると24キロすぎ、2019年世界選手権銀メダルのモシネト・ゲレメウ選手(エチオピア)がレースをやめてしまいます。
さらには、30キロまで引っ張る予定だったペースメーカー3人のうち、2人が脱落。それほど過酷なハイペースでレースは進みます。
26キロすぎ、ここからキプチョゲ選手の強さが発揮されます。ペースが遅いと感じたのか、キプチョゲ選手がペースメーカーの前に出てペースアップ。そのハイペースについていけない選手たちがふるい落とされていきます。
29キロすぎ、先頭争いは、キプチョゲ選手と、2019年世界選手権銅メダリストで、同じケニア出身のアモス・キプルト選手の2人にしぼられます。
キプチョゲ選手は世界記録を視野に入れてのレース。ペースメーカーがいないなか、設定タイムより4秒速いタイムでリズムに乗った走りをみせます。
そして36キロの給水ポイントで、キプチョゲ選手がしかけます。キプルト選手を突き放すと、再びペースアップ。
しかし、終盤は風の影響もあり、ペースが上がらず。世界記録の更新とはなりませんでしたが、日本国内で開催されたマラソンの最高タイムとなる2時間2分40秒をマーク。東京の舞台で、圧倒的な速さと強さを見せつけました。
レース後、キプチョゲ選手は、「札幌でオリンピックの金メダルをとったが、もう一度日本で、この東京で走れるということでとてもワクワクしていた。感謝の気持ちでいっぱいです」と東京の舞台で走れた喜びを語りました。
さらに、「記者会見の時に“ストロングな走りをしたい”と話したが、2時間2分台で走れたということで、それがどういう意味だったかわかっていただけたのではないかと思います。大変うれしく思っています」とコメントしました。