なぜ? パリ五輪 相次ぐアスリートへの"ひぼう中傷"問題 選手が攻撃の標的に 専門家「自分がひぼう中傷をしていることに気がついていない」
なぜ選手へのひぼう中傷がおきるのか、専門家は「国際大会で社会的注目度が高いほど、ひぼう中傷がおきると指摘します。
■アスリートへの"ひぼう中傷" 相次ぐ
柔道では、2回戦で敗れて号泣した阿部詩選手に対して心ない言葉が投稿され、陸上では、リレーに専念するため20キロ競歩への出場を辞退すると発表した柳井綾音選手に対し、"わがまま"であるかのような間違った解釈で批判するコメントが相次ぎました。
また、バレーボールの選手も標的とされ、バレーボール協会の川合俊一会長は「SNSを通じた応援もアスリートたちの大きな力となる一方で、怒りに任せた暴力的なコメントやアスリート本人の尊厳を傷つけるようなメッセージ。悪口をいうことで人を傷つける行為、いわゆる"ひぼう中傷"を見過ごすことはできません」と警鐘をならしています。
■専門家「五輪は熱くなりやすい」「投稿する前に読み返して」
なぜ、選手が攻撃の標的になるのでしょうか?ソーシャルメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は、「五輪はそもそもひぼう中傷が問題になりやすい」とした上で。
国際大学 山口真一准教授
「オリンピックは、国と国とがメダルの数を競いあうため、熱くなりやすいです。その結果、『競技内容』『容姿』『態度』『素行』『人種』など幅広い観点から"ひぼう中傷"に至る人がいます」
山口教授は、「オリンピックは国際的な祭典で、社会的注目度が高いため、"ひぼう”中傷を書く人の数が多い」と話します。また、投稿者の中には、"ひぼう中傷"をしていることに気がつかないまま投稿している人もいると指摘します。
国際大学 山口真一准教授
「ひぼう中傷している人の多くは、"自分の価値観”を押しつけて、攻撃をしています。"相手が悪い”と思いこんでいるため、"ひぼう中傷”になっていることに気づいていない人がほとんどです」
山口教授は、
「昔はテレビの前や居酒屋で選手を罵倒していたのが、今、SNSでの批判はアスリートに直接届き、場合によってはひぼう中傷になってしまう。だからこそ、批判と"ひぼう中傷”の違いを知っておくこ
と、自分が言われて嫌なことを相手に言わないこと。SNSで自分の書いたものを読み返す癖をつけてほしい」と呼びかけています。