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羽生結弦 プロ転向後テレビ初演技 カメラマンが"神写真"解説「序奏とロンド・カプリチオーソ」

2022年9月16日 19:18
羽生結弦 プロ転向後テレビ初演技 カメラマンが"神写真"解説「序奏とロンド・カプリチオーソ」
(c) sunao noto

8月に放送された「24時間テレビ」でプロ転向後のテレビ初演技を披露した羽生結弦さん。注目の演目は、北京五輪のショートプログラム「ロンド・カプリチオーソ」でした。本番前のリハーサルからアンコールまで、その一部始終をカメラマンの視点で紹介します。

ファンから"神カメラマン"と呼ばれる能登直さんに聞きました。

■競技のような"緊張感"

8月に放送された「24時間テレビ」。ソチ・平昌で五輪連覇した羽生結弦さんが、プロ転向後のテレビ初演技を披露しました。

こちらは、能登さんが撮影した本番前のリハーサルの様子です。

今回、能登さんは、いわゆる"正面"、試合ではジャッジが座る位置を撮影場所に選びました。通常、試合ではスチールカメラマンが入れない位置のため、本番で取り逃さないよう、事前リハーサルでは予行演習も兼ねたとか。

能登さん
「一番良いと思っていたジャッジ側で撮れるプレッシャーを感じながら撮りました。過去の大会とは比べものにならないほど多くの瞬間が狙えました」

また、今回は"全身"を捉えることを重視してレンズを選んだといいます。

能登さん
「『ロンカプ(序奏とロンド・カプリチオーソ)』は、体のラインが綺麗に出る印象が強いので、極力全身をおさめようと狙いました」

こちらは演技直前の1枚。羽生さんには本番前から緊張感が漂い、競技会を撮影しているような感じがしたといいます。

■北京五輪の"心の傷"に挑む

羽生さんが「序奏とロンド・カプリチオーソ」を公の場で演技したのは、過去に2回だけ。2021年12月の全日本選手権と、2022年2月の北京五輪です。北京五輪では、冒頭の4回転サルコウでリンクにあいた溝にはまるアクシデントがあり、得点を伸ばせませんでした。

そのプログラムを今回、24時間テレビで演技するにあたって、羽生さんは覚悟が必要だったといいます。

羽生さん
「自分自身、オリンピックでミスをしてしまったある意味心の傷というか...心残りのあるプログラムです。だからこそまた改めて挑戦したいなと思いました」

「24時間テレビ」の演技構成は北京五輪と同じ。

ジャンプは4回転2本とトリプルアクセル、そしてスピンやステップも全て最高難度のレベル4で構成した超高難度のプログラムです。

羽生さんは演技前、「競技のプログラムなので、自分の気持ちの作り方もしっかり、試合と同様に作っていきたい」と話しました。

その羽生さんの緊張感を、撮影した能登さんも感じたといいます。

能登さん
「本番は競技会以上の緊張感みたいなものがありました。僕自身も緊張感を感じながら撮影しました」

こちらは、今回能登さんが一番気に入っているという1枚。

カメラを射抜く、羽生さんの視線。

「本番にかける本人の意気込みが伝わってきました」と能登さんは言います。

羽生さんは今回、大きな重圧を感じたといいます。

羽生さん
「またオリンピックと同じ事にならないかという怖さがあった。完璧なものがしたいというプレッシャーもありました」

それでも、本番では、緊張感の中でジャンプを全て成功。美しく、流れるような演技に、フィニッシュの後にはガッツポーズが出ました。

演技後、羽生さんは。

羽生さん
「初めてこのプログラムが自分の中での完成形として滑りきれました。やっとこれを乗り越えて『また前に進めるな』って僕自身が思えました」

そして、安心したような表情を見せました。

羽生さん
「はぁ~、疲れた。泣きそうだった、緊張しすぎて。しかもオリンピックで出来なかったものをノーミスでしなきゃ、っていう」

ようやく笑みがこぼれました。

■アンコール"SEIMEI"

羽生さんは「序奏とロンドカプリチオーソ」の後、平昌五輪で金メダルに輝いた時のフリープログラム「SEIMEI」のコレオシークエンスを披露しました。

こちらは羽生さんの代名詞「ハイドロブレーディング」。

少し笑顔にも見える表情について、能登さんは。

能登さん
「この直前まで険しい表情だったんですが、この辺から『やってやるぜ』というような本人の意思を感じました」

また、普段はもう少し頭が下がっていますが、今回は顔が常に見える高さだったということです。

今回の撮影で能登さんは、羽生さんの"すごさ"を改めて感じたといいます。

能登さん
「あの緊張感の中でノーミスで収録を終わらせ、集中して出来る。本番に強いのがすごいですね」

また、演技から"プロとしてやっていく"という強い意気込みを感じたといいます。

能登さん
「プロに転向してどういう感じになっていくのか分からなかったんですが、なるほどこういう事かと思いました。今後の結弦君の生き様、滑っていく姿・形がある。緊張感の中で今後もお客さんの前で披露していくのかなと感じました」

*カメラマン・能登直さん
人物撮影を中心に広告やフィギュアスケートなど幅広く活動。
羽生結弦写真集「光-Be the Light」「YUZURU」「YUZURU II」など

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