【箱根駅伝】早稲田大チーム唯一の27分台・石塚陽士 "大エース"の走りで6年ぶりの表彰台へ
■就任2年目の花田勝彦駅伝監督「非常に刺激のあった1年」
早稲田大学は大正9年に4校で始まった第1回大会から出場し、総合優勝13回、現在47年連続で出場を続けている伝統校です。しかし第98回大会ではシード圏外の13位に沈み、前回大会では予選会からの出場となりました。それでも「早稲田の三羽ガラス」の1人として名をはせた花田勝彦駅伝監督の就任後初となる箱根駅伝で、総合6位に浮上し、シード圏内に返り咲きました。
2022年6月に就任した花田監督は「6年くらい(駅伝監督から)離れていましたが、久しぶりで逆に新鮮な部分も多かったですし、自分自身が上武大学でやっていた時とはまた違うタイプのチームでもあったので、すごく可能性を感じました。実際に箱根駅伝でも上位争いに参加できたりもしましたので、非常に刺激のあった1年でした」と前回大会からの1年間を振り返ります。
節目の第100回大会の目標は表彰台争いに加わること。花田監督は「『100回なんで優勝ですよね』と言われることもありますが、他の大学も非常に強いので。チャンスが巡ってきたときにトップをつかみ取れるチーム状況は作っておきたいなと思っています」と、謙虚ながらトップを見据えてコメントしました。
■「打率がいい」 6年ぶり表彰台へ感じた手応え
現在のチーム状況を「打率がいいって言うんですかね。非常に安定感がある選手が増えてきたので、そこに爆発力が出てくると本当に他大学から見ても脅威を感じるチームになるんじゃないか」と花田監督は評価します。
実際に、今シーズン前半は多くの選手が自己記録を更新するなど、チームとして好調な早稲田大学。菖蒲(しょうぶ)敦司駅伝主将(4年)も「トラックシーズンを終わってみて、思った以上にみんなが頑張ってくれたので、花田監督からも僕たちの中でも3番いけるんじゃないかって思いが出てきています。狙っていってもいいんじゃないか」と手応えを口にしました。
■チーム唯一の27分台 石塚陽士(はると) 大エースへの1歩目
表彰台を目指すチームに花田監督が求めるのは、「大エース」の登場です。
「エースというよりも、さらにもう一つ上の大エースと言うんですかね。早稲田イコール誰々。私たちの時代だったら早稲田イコール渡辺康幸とか名前の出てくるスーパースターがいましたので、そういう選手を今年、来年のうちに作りたいなと思っています」
今その位置に一番近い選手と目されているのが、3年生の石塚陽士(はると)選手です。今年4月には1万mで27分58秒53をマーク。チームで唯一、トップランナーの称号である27分台に入りました。それでも石塚選手は27分台を記録したことについて「エースになるためのスタートに立てた。そこからどう戦っていくかが、今後の自分の真価が問われるところだと思っています」と厳しい目線で語ります。
さらに前回大会の総合6位を「あの段階では順当というか、それなりに全員が自分たちの力を出した結果」とし、「それじゃだめだよねってところが大きい。もっと何かを変えなきゃいけないというのを僕もチームメートも思っている」と向上心をむき出しにします。
「みんなが考えてやった結果が記録に表れつつあるので、前回の順位も踏まえてワクワクしている。もう少し今回はいけるんじゃないかと感じています」と笑顔で語った石塚選手。"大エース"の1歩目となる走りで、早稲田大学を表彰台へ導きます。