卒論は"箱根駅伝出場に必要な能力"について 駿河台大・新山舜心100回の歴史で2度目の箱根路へ
■「もうキャプテンを辞めたい」対立の末に得た出場権
2022年の98回大会で、悲願の箱根駅伝初出場を果たした駿河台大学。しかし、前回大会では予選会で19位に終わり、無念の敗退。初出場を決めてから、チームが燃え尽き症候群となっていたことが背景にありました。
それでも「ぶつかり合いが激しかったからこそ、まとまりが強くなった」と徳本一善監督。『箱根駅伝出場』という共通目的のもとでチームは団結し、100回大会の予選会では12位に入って、2年ぶり2度目の本選出場を決めました。
■自信を"見える化" 箱根出場につながった研究とは
箱根駅伝出場には学業も一役買っていました。新山選手は、卒業論文で箱根駅伝にフォーカス。持久的な能力の測定結果を論文にまとめ、スポーツ生理学的にどのような能力が箱根駅伝出場に必要なのかを評価していました。
その成果もあってか、新山選手自身も力を伸ばし、12月の日体大長距離競技会では1万mを28分14秒30で走り切り、駿河台大学における日本選手歴代2位のタイムをマークしました。「スポーツ生理学にフォーカスして1年間監督と相談しながら練習をやっていたことと、予選会の日も自信を"見える化"して『こういう能力があなたにはある』というのを評価できたことで、みんなの自信につながって本番で発揮できたのかなと思います」と納得の表情で語ります。
■いざ100回大会へ「今回は戦うところまで来ている」
箱根駅伝100回の歴史の中で、わずか2回目の出場となる駿河台大学。徳本監督は「うちの選手は待ち焦がれてやっとスタートラインに立った。その努力が実った選手たちなので、好きなように勝負してくれと。その代わり、今回は勝負してくれと(伝えた)」と明かします。
現在のチームで本選の出場経験を持つのは、98回大会で7区を走った新山選手ただ一人。「歓声だけで7区に道ができていた。それを知らない1、2年生、そこに立っていない3年生に同じ景色を見せてあげたい」と当時を振り返り、思いを語ります。
自身2度目の大舞台に向けて、新山選手は「往路だけでもシード権に食い込めるように。見ていて『駿河台大学は(19位だった)98回大会ではタスキをつないだだけだったけれど、今回は戦うところまで来ているんだ』とワクワクできるように、徳本さん率いる駿河台大学らしい走りをしたい」と力強く意気込みました。