推しは「イニエスタ、お顔が丸いでしょ」 神戸J1残留の陰に意外なサポーターの存在
Jリーグ・J1に残留したヴィッセル神戸。その残留の陰には、意外なサポーターの存在がありました。
認知症のお年寄りが暮らす総合福祉施設「オリンピア兵庫」では、6月からJリーグの応援を開始。そこにはテレビの前で、ヴィッセル神戸に熱い声援を送るおばあちゃんたちの姿がありました。
これは『Be supporters!』というプロジェクトで、Jリーグの4つのクラブ(川崎フロンターレ、ヴィッセル神戸、レノファ山口、カターレ富山)が参加し、高齢者や認知症の方にサポーターになってもらい、クラブを応援してもらう活動。
普段は多くの“サポートを必要とする”おばあちゃんたちですが、その彼女たちが“誰かをサポートする側になる”ことで生きがいを見つけ、日々の活力が生まれるのではないかと、この取り組みが始まりした。
発案者の小国士朗さんは「応援とか誰かを支えるというところから一番遠いと思われている人たちが、すごく誰かの力になるとか、そういう世界が作れたら素敵だなという思いがあった」と、思いを語ります。
そんなおばあちゃんたちにはすでに“推し”の選手がいました。服部千恵子さん(86)の推しは「イニエスタさんです。お顔がね、丸顔でしょ」と、イニエスタ選手にエールを届けるため、現在スペイン語を勉強しているといいます。
藤本憲明選手を推している81歳の松本照子(てるこ)さんは、「のりくーん!頑張れー!ほんま可愛い」と、TVを見ながら応援。
その姿を職員がSNSに投稿すると、藤本選手本人が「テルコー」と反応し、これに松本照子さんは「あーうれしい、こんなことないわ絶対」と、笑顔を見せました。
じつはこの取り組み、選手たちの力になっていたといいます。今季J2降格の危機にあったヴィッセル神戸は、9月に「人生の先輩からのエール」と題して、高齢者サポーターからの応援メッセージが届けられました。
そこには最高齢107歳の竹本繁野さんから「命つきるときまでサッカーを楽しみなさい」と、言葉がありました。
すると、おばあちゃんたちのエールもあり、そこからヴィッセル神戸はクラブ記録に並ぶ5連勝を達成。最終的にJ1残留を決めました。
このプロジェクトに施設の職員の方は「入居者の皆さんの笑顔がめちゃくちゃ増えた。元気になられて、(色々なことを)忘れてしまうこともあるけれども、なぜかヴィッセルのことは覚えてらっしゃってすごく好印象。私たちも驚いています」と、その効果を語りました。