大東大2年の棟方一楽が上尾ハーフを制す “三浦龍司超え”のU20日本最高記録で初の箱根路に弾み
レースは、箱根駅伝予選会で日本選手トップだった吉田礼志選手(中央学院大学4年)を先頭に、5キロを14分30秒、10キロ29分06秒とハイペースで進みます。
強い日差しが照り付け、気温も20度を超える暑さのなか10キロから15キロペースが停滞すると、15キロ過ぎにレースが動きました。
ここまで集団を引っ張ってきた吉田選手に代わって、駒澤大学の帰山侑大選手(3年)が先頭に立つと、小泉樹選手(法政大学4年)、村上響選手(駒澤大学2年)、棟方一楽(むなかた・かずら)選手(大東文化大学2年)ら4人の争いに絞られます。
勝負が決したのは18キロ手前でした。
「引っ張ってくれていた駒澤の選手のリズムが落ちたところで、直感で“ここだ”って思い仕掛けました。それがうまくはまりました」
棟方選手がスパートし集団を抜け出します。そして、後続を突き放すと、2位に21秒の差を付けて優勝を飾りました。
棟方選手は自己記録を1分30秒以上更新したフィニッシュタイムは1時間1分38秒。これは2020年の箱根駅伝予選会で三浦龍司選手(SUBARU/順天堂大学OB)がマークした従来の記録を3秒上回る、U20日本最高記録でした。(*棟方選手は大学2年ですが、2005年1月10日生まれでU20の有資格者)
「箱根駅伝の1区を想定した今回の上尾ハーフを走りました。チーム目標は総合5位以内なので、最低でも区間5位以内を目指しています。なので、今回の上尾では5位以内を取ることが目標で、タイムは気にせず、順位にこだわっていました。箱根の1区に向けて良い手応えだったと思います」
目標を大きく上回る快走を見せ、棟方選手は大きな手応えを得た様子でした。
真名子圭監督も「1時間2分頭で走る力はあると思っていたが、思ったよりもタイムも良かった。強さがついてきた」と棟方選手を称えます。
一方で、「彼は1区を走りたいと言っていますが、今日走り過ぎたから(棟方選手を)1区に使うのはもったいない」とも口にしていました。
真名子監督にとって、予想を超える棟方選手の力走は、うれしい誤算でもあったようです。
前回の箱根駅伝、棟方選手は1年生にして16人のエントリーメンバーに入りながらも、出場することは叶いませんでした。
「本番の10日ぐらい前のポイント練習(重要な練習)で監督の信頼を勝ち取ることができなくて、走れなかったと思っています。すごく悔しかったですし、忘れられないですね」
その悔しさを成長につなげ、今季は全日本大学駅伝でメンバーを勝ち取り5区6位と好走すると、上尾路でも活躍を見せました。
「自分はこれから大東のエースになってチームを引っ張っていこうと思っているので、箱根までの1カ月半、しっかり気を引き締めて練習を引っ張っていこうと思っています」
高い向上心を持って、憧れの舞台である箱根駅伝に初めて挑みます。